DXによる社会課題解決でソフトバンクらしくSDGsに貢献する

日経SDGsフォーラム 今井副社長インタビュー (2021年2月16日 掲載)

グループを挙げてDX(デジタルトランスフォーメーション)に取り組むソフトバンクでは、課題が顕在化している医療・ヘルスケア分野、物流分野などでさまざまなサービスを提供し、社会の持続的発展に貢献している。

ソフトバンクは、「すべてのモノ・情報・心がつながる世の中を」というコンセプトの下、SDGsの達成に向けた6つのマテリアリティ(重要課題)の1つに『DXによる社会・産業の構築』を掲げている。 同社は日本社会におけるDXの必要性にいち早く気付き、2017年10月にはDX本部を発足させた。

 「メンバーは120名。もともと営業とSEだったメンバーを一気に集め、我々の持つテクノロジーで、中長期的な日本の社会課題を解決することに対峙(たいじ)してきました」と同社の今井康之副社長は語る。

重点分野の1つは、医療・ヘルスケア分野だ。高齢化社会の到来による医療費の高騰は日本の大きな課題となっている。同社ではその課題にいち早く着目し、ヘルスケアテクノロジーズを設立。同社構築のスマートフォンアプリを活用し課題を解決する。

今井「医療にかかるコストの大部分は症状が重症化した後にかかっています。我々は症状の重症化を防ぐため、病気になる前の段階からチャット形式で相談ができるオンライン健康医療相談サービス『HELPO』を提供しています」

 HELPOでは、このサービスのために雇用した医師や看護師、薬剤師などが24時間365日体制で相談に応じている。まずはソフトバンクの従業員とその家族向けにテストを実施したが、評判は上々。民間企業や自治体からの要望に応じて導入を進めている。

今井「現在の事業の対象は未病以上医療未満が対象範囲ですが、今後はオンライン医療・服薬指導や、処方薬の配送の支援へも広げていきたいと考えています」

注目されている唾液PCR検査サービスとも連携しており、外部からの問い合わせが非常に多いという。

HELPOが実現するヘルスケアサービス

医療・ヘルスケアと同様に注力しているのが物流分野だ。人手不足とeコマースの普及によって拡大する物流へのニーズに、やはりデジタルの力で応えようとしている。 代表的な取り組みは、日本通運との合弁会社であるMeeTruckによる配送システムのデジタル化だ。

今井「日本の高品質な運送業界は中小規模の運送会社の方々が支えてくださっていますが、そこでの業務はまだデジタル化されていない部分が多いのが実態です。ただ、何の手も打っていなかったわけではなく、システムを導入したものの複雑すぎて実用的ではないと判断されたケースも目立ちます。私たちはそうした現場に入り込み、何が課題になっているのかを洗い出すところから取り組みをスタートさせました」

ユーザーインターフェース(UI)は中小規模の運送事業者が最も使いやすい形とし、昨年10月に運用を開始。順次、提供範囲を拡大している。

社内の新規事業提案制度から誕生したMagicalMoveが提供するサービスも、配送効率の向上に一役買う。 これは、AIが当日の最適な配送ルートを提案するというものだ。ルートに応じた配送車への荷物の積み込み方も提示して、ドライバーの負担を低減する。受け取る側にも、早朝や深夜も含めて1~2時間単位で配送時間の指定ができるというメリットがある。

今井「アスクル社の個人向け通販『LOHACO』や、靴やファッションの通販大手の『ロコンド』など、続々と導入を進めていただいており、顧客満足度は98%に達しています」

さらに、スマートシティ実現のための取り組みも推進中だ。竹芝エリアに移転したソフトバンクの本社では、顔認証でセキュリティーを管理し、エレベーターのボタンを押す必要がないほどスマート化されている。こうした利便性を本社ビルの外でも提供していく。

今井「東京都から委託を受け、竹芝地区全体のマネジメントにも取り組んでいきます。例えば、最寄り駅の電車が止まってしまっていれば、その情報や代替バスのスケジュールがスマートフォンに届く、昼休みにはわざわざ店の前にまで行かなくても混雑状況が分かるようになります」

こうしたスマートシティ化は、ソフトバンクと包括連携協定を結んでいる全国50以上の自治体にも展開予定だ。

竹芝エリアで展開する都市型スマートシティ「Smart City Takeshiba」

これらの医療・ヘルスケア、物流、スマートシティの取り組み事例に共通するのは、いずれも「DXを通して社会構造を変革」すること。さらにその先でソフトバンクが目指すのは“情報革命で人々を幸せに”することだ。これはソフトバンクの経営理念だ。

今井「情報革命イコールDXと捉え、デジタルによって人々の利便性を向上し、幸せ度を増していきたい、それができる分野に私たちの資源を集中させていきたいと考えています。解決すべき社会課題にテクノロジーで向き合うことが、SDGs実現のために私たちにできることだと考えています」

日経ビジネスの許可により、日経SDGsフォーラム記事を再構成したものです。