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話題のNFTって何? 知っておきたい基礎知識を解説

話題のNFTって何? 知っておきたい基礎知識を解説

最近、何かと話題になっている「NFT」。「NFTアートが75億円で落札された」などというニュースが世間をにぎわせ、市場が拡大している一方、その本質をきちんと理解できていない人も多いのではないでしょうか。そこで今回は、『NFTの教科書』の編著者で弁護士の増田雅史さんに、NFTとはそもそも何なのか、今、話題となっている理由をうかがいました。

お話を聞いた人

増田 雅史(ますだ・まさふみ)さん

増田 雅史(ますだ・まさふみ)さん

弁護士・ニューヨーク州弁護士(森・濱田松本法律事務所)。スタンフォード大学ロースクール卒。理系から転じて弁護士となり、IT・デジタル関連のあらゆる法的問題を一貫して手掛け、業種を問わず数多くの案件に関与。特にゲームおよびウェブサービスへの豊富なアドバイスの経験を有する。金融庁でのブロックチェーン関連法制の立案経験もあり、コンテンツ分野、ブロックチェーン分野の双方に通じる。

目次

そもそもNFTとはどのようなもの?

そもそもNFTとはどのようなもの?

NFTとはそもそもどのようなものなのでしょうか。「電子データの正当性を証明するハンコのようなもの」「デジタルデータの所有を可能にする技術」など、世間ではさまざまな説明がされています。ただ、増田さんは「NFTは今までにない新しい概念なので、一言で説明するのは非常に難しい。一言で説明しようとすると、かえって大事なポイントが抜けおちてしまうことがあります」と言います。

そこで、まずは基本に戻り、言葉の意味から考えていきましょう。

NFTは、「Non-Fungible Token(ノン-ファンジブル トークン)」の頭文字を取ったもので、日本語に訳すと「非代替性トークン」となります。

「トークンとはゲームセンターのメダルや引換券のように、お金の代わりになる印のようなもののこと。これをデジタル形式で発行した『デジタルトークン』が、単に『トークン』と呼ばれることが増えました。ビットコインのような暗号資産もNFTも、ブロックチェーンという技術を使ったデジタルトークンです。ただ、ビットコインが無個性なトークン、つまりFungible Token(代替性トークン)であるのに対し、NFTはこれと大きく異なります」と増田さんは言います。

NFTはブロックチェーン技術を使っていること、そして「非代替性」という言葉が重要なキーワードといえそうです。

増田さん

「非代替性とは、他と取り替えがきかないということです。例えば、ビットコインには個性がありません。Aさんがもっている1ビットコインとBさんがもっている1ビットコインには違いがありません。

ですから、お互いの1ビットコインを取り替えても、何の問題もないのです。ところが、Aさんが持っている車とBさんが持っている車は、たとえ同じ車種でも、交換しても同じだということはありませんよね。それぞれ異なる“固有なモノ”だからです。このようにNFTは、それぞれ1点ものとして、代替することができないデジタルトークンなのです」

そもそもNFTとはどのようなもの?

このような特徴をもつNFT を活用すれば、ピカソの絵や有名選手のサイン入りボールのような、唯一無二の価値をもつデジタル資産をつくりだし、流通させることができるというわけです。まずはこの点が、NFTのもっとも画期的な点といえるでしょう。

増田さん

「NFTは、デジタルの世界に大きな革命をもたらす可能性を秘めています。そのため、現在ではさまざまな企業がNFTを活用して新しいビジネスはできないか、イノベーションを起こせないかと試行錯誤をしているのです」

ブロックチェーン

暗号資産を扱う基盤技術として開発された取引履歴をまとめた台帳のようなもの。インターネットに接続した複数のコンピューターで、ブロック単位の記録をチェーンのようにつないで記録します。典型的なパブリックブロックチェーンの場合、管理者がおらず、不特定多数の人が取り引きの正当性を検証するため、改ざんが極めて困難だといわれています。

NFTはどのような背景から生まれたの?

NFTはどのような背景から生まれたの?

現在、さまざまな分野から大きな注目が集まっているNFTですが、もともとは明確な目的があって開発されたものではないと、増田さんは言います。

増田さん

「ブロックチェーン技術を社会に応用し、活用する流れのなかで、自然発生的に生まれたようなところがあります。その先駆けの一つが、2017年11月にリリースされた『Crypto Kitties』というゲームです。このゲームでは、ブロックチェーン技術によって架空の猫のキャラクターをNFT化し、個性を与えました。その結果、珍しい個性の猫のキャラを集めようと売買する人や、売買目的でゲームのなかで猫を育てる人が現れました。現在の典型的なNFTの多くは、ほぼこのゲームのNFTのために作られた技術仕様が土台になっています」

ゲームがきっかけで注目され始めたNFTですが、その時点では世間的な認知度は高くはなかったようです。

増田さん

「『Crypto Kitties』が話題になったのはあくまで一部のブロックチェーンに詳しい人の間での出来事でした。NFTが一般の人から大きな注目を集めるようになったきっかけは、やはりアートの世界で使われるようになってからでしょう。とりわけデジタルアーティストBeeple氏のNFT作品『Everydays-The First 5000days』のNFTが、2021年3月にオークションで約75億円もの高価格で落札されたとのニュースのインパクトは、非常に大きかったと思います」

今、NFTが注目されている理由は?

今、NFTが注目されている理由は?

デジタルアートはこれまで、簡単にコピーされてしまうため、マネタイズが難しいという問題がありました。これを解決したといわれているのがNFTです。NFTとひもづけて販売することで、デジタルアートをあたかもリアルな絵画のように、一点モノや限定品として売ることが可能になったのです。

増田さん

「それも中抜きなしに、作品を世界中に直接売ることができるわけですから、デジタルアート作家にとっては福音だったと思います。その後、日本でも多くのアーティストがNFTに参入するようになったのは当然の流れです。昨年、せきぐちあいみさんのVRアート作品が約1,300万円で落札されましたが、このようなことはNFTなしには考えられなかったことです。NFTがクリエイターに大きな収益をもたらし、デジタルアートの活性化につながるなら、それは大変意義あることだと思います」

NFTはスマートコントラクトを活用することで、転売などの2次流通時の手数料や取引数を制限し、製作者の収益になるような設定もできるといわれています。そのため、例えば音楽家が、自分の曲を聴くことができる人数を限定し、希少性のあるものとして流通させ、資産価値を上げていくようなこともできる可能性があるのです。

スマートコントラクト

ブロックチェーン上においてさまざまな契約を自動的に行える仕組みのこと。イーサリアムなどの多くのブロックチェーンでスマートコントラクトの仕組みを利用することができます。

イーサリアム

ブロックチェーンの一つで、スマートコントラクト機能をもつ。多くのNFTはイーサリアム上で発行されている。

さまざまな分野で活用されるNFT

デジタルデータをあたかも「モノ」のように扱えるNFTは、アートだけでなくスポーツやファッション、音楽やゲームといった幅広い分野での活用が進んでいて、年々、参入する企業が増えています。2018年には約40億円ほどだった市場が2019年には約140億円、2020年には約340億円、2021年9月時点では約1.5兆円にまで急成長しています。

なかでももっとも盛りあがっているのが、「コレクティブル」と呼ばれる保有や収集を目的としたNFTです。イーサリアムにおける最初のコレクティブルNFTといわれるピクセルアート「CryptoPunks」は、その歴史的価値と希少性から、ものによっては数百万ドルもの価値で取り引きされてきています。

NFTをもつことのベネフィットが注目されるように

増田さん

「海外でのコレクションとしてのNFTの盛り上がりは、莫大な暗号資産をもっている人の道楽的な面があります。投機的な思惑で購入している方も多く、マネーゲームの側面もありました。しかし、今年に入ってから、そのような流れが変わりつつあります。NFTを保有することのベネフィットやユーティリティーに目を向ける人が増え、そのような要素を前面に出したNFTも増えてきています」

例えば、Yuga Labsという会社が発行している『BAYC(Bored Ape Yacht Club)』という猿をモチーフにしたNFTは、購入すると保有者が参加するクローズドなコミュニティに参加できます。最近では、アメリカの現代アーティストのトム・サックスが、自分が展開しているNFTを持っている人に、ナイキとコラボした新しいスニーカーを無償提供する、という出来事もありました。

増田さん

「今後はNFTを購入した人が特別なコミュニティーに参加できたり、あるアーティストのNFTを買うと、優先的にコンサートの抽選券がもらえたり、限定アイテムが買えたり。そのような形で、NFTを通じて何らかのベネフィットを提供し、ファンコミュニティの価値を高めていくようなサービスが増えていくでしょう」

NFTによって今までにない価値をつくりあげ、流通させることで、新しい経済圏をつくる。まずはそのようなかたちで、NFTを活用したビジネスモデルが普及していきそうです。

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メタバース

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(掲載日:2022年7月21日)
編集:エクスライト

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