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データ活用をもっと身近に。「Yahoo! JAPAN DATA CAMP 2023」を開催

データ活用をもっと身近に「Yahoo! JAPAN DATA CAMP 2023」を開催

ChatGPTなど生成AIの急速な進化により、データ分析にもAIを活用する場面がますます増えています。データ分析に苦手意識を持っていたり、もっとデータ活用を推進したいと考えている方に向け、7月19日に「Yahoo! JAPAN DATA CAMP 2023」がオンラインで開催されました。イベントの様子と開催の狙いについて担当者に取材しました。

目次

「Yahoo! JAPAN DATA CAMP」とは?

今年で2回目の開催となる「Yahoo! JAPAN DATA CAMP」は、データ活用サービス「データ・ソリューション」を提供しているヤフー株式会社が主催し、「データ活用がもっと身近になる1日!」をテーマに、データの面白さや可能性を感じてもらい、データに興味を持ってくれる人を少しでも増やしたいという思いから開催されています。

データ活用のキーパーソンによる最前線の情報、ヤフーのデータアナリストによる実際に業務で分析している中で意識していることや気づいた点などの事例を紹介するセッションを用意しており、多くの方にデータを身近に感じてもらうことを目指して構成されています。

Yahoo! JAPAN DATA CAMP 2023

専門家が語る。組織でデータを生かすポイント

滋賀大学と丸亀製麺より最前線で活躍するデータ活用の専門家が招かれ、企業内でのデータの生かし方や意識すべき点などを講演しました。

データ分析を生かすには「意思決定プロセス」が重要

滋賀大学の河本氏は、大阪ガスでデータ分析を手段とした業務改革に取り組んでいた経験を元に、企業・自治体などの組織が意識すべき「意思決定プロセスとデータ活用の関係」について話しました。

河本 薫 (かわもと・かおる)氏

滋賀大学
データサイエンス学部 教授 兼 データサイエンス・AIイノベーション研究推進センター 副センター長
河本 薫 (かわもと・かおる)氏

「データサイエンティストを育てたがビジネスに役立つ成果を出せていない、データ基盤や分析ツールに投資したがそれに見合った成果ができているのか分からない、といった悩みをかかえる企業は多いです。そういった企業の共通点は、『分かる』と『役立つ』の違いが分かっていない点です。

データ分析をして新たな発見や予測が分かっても、それがビジネスの課題解決に役立たないと意味がありません。新たな発見や予測ができれば課題解決ができると勘違いすると、『分かる』止まりで『役立つ』までには至りません。発見や予測は、それらを生かして意思決定プロセス(意思決定の生産方法)を改めて始めて課題解決するのです。会社とは、意思決定を生産する工場です。

会社では、日々、さまざまな意思決定を生産し、その結果、新たなサービスが生まれたり利益が増えたりします。これまでは、勘と経験を主軸に意思決定を生産してきました。勘や経験に頼る意思決定プロセスでは不適切な意思決定を生み出し、その結果として利益が下がる、品質が下がるといった問題が生じているのです。それを、データやAIを活用した合理的な意思決定プロセス(データドリブンな意思決定プロセス)に改めることで、ベターな意思決定を生産できるようになり、問題を解消できるのです」

丸亀製麺が実践する、右脳と左脳に働きかけるマーケティング

店内製麺で、手づくり・できたてのこだわりのうどんを提供する丸亀製麺は、味の追求だけではなく、顧客・従業員それぞれの体験価値向上のためにさまざまな施策を実施しています。データを生かした持続的な事業成長について話しました。

間部 徹(まべ・とおる)氏

株式会社丸亀製麺
マーケティング本部 コミュニケーション&CXデザイン部 次長
間部 徹(まべ・とおる)氏

「丸亀製麺の勝ち筋は、ブランド力と顧客体験価値(CX)を向上させ『持続的に選ばれ続ける確率を上げる』ことです。全ての店で粉からうどんをつくる店内製麺など、お客さまに丸亀製麺を選択していただけるようにロジックで左脳へアプローチし、一方、美味しそう! ワクワクするなど五感に訴えかけられるように右脳へアプローチしています。左脳と右脳を行き来するような施策を繰り返すことで、最終的に『丸亀製麺に行きたい』と思ってもらえるようなマーケティングを目指しています」

丸亀製麺が実践する、右脳と左脳に働きかけるマーケティング

「また、カテゴリーエントリーポイントも意識しています。日々の生活の中で丸亀製麺をより多く意識してもらえるように、もともと店内でのお食事だけでしたが、お持ち帰り(テイクアウト)の開始、お持ち帰り専用商品『うどん弁当』、直近ではお持ち帰りの新しい体験をしていただける『丸亀シェイクうどん』の販売を実施してきました」

丸亀製麺が実践する、右脳と左脳に働きかけるマーケティング

「こちらの図は、丸亀製麺で利用しているデータドリブンマーケティングのモデル図です。青は新規のお客さま、赤は既存のお客さま向けのモデルを表しています。モデル図の矢印の部分をトラッキングできるように、データ設計も実施しています。新規のお客さま向けには、イベントやCMなどで接触回数を増やす、既存のお客さま向けには、店舗体験を良くするなどの指標があります。

目的達成に向けて意味のあるデータ活用ができるように、データを客観的に判断する冷静さと、データに熱を込めて向き合い事業を進めていくパッション(情熱)の両面を大切にしています」

データ分析のプロが日常の課題を解決するヒントを解説

ヤフー株式会社でデータ分析の活用方法を推進する担当者が、実践に役立つデータ活用のコツについて事例を用いて説明しました。

「ストーリー」がデータ分析にさらなる説得力を持たせる

頑張って分析したデータが使われない、分析結果を共有しても反応がいまいちということはありませんか? データ分析では、必要としている人にいかに要点を伝えられるかどうかがとても大切です。データ分析における説得力とはいったい何なのか、どうすれば説得力は上がるのかをテーマに解説しました。

池宮 伸次(いけみや・しんじ)氏

ヤフー株式会社
シニアデータアナリスト 兼 Yahoo! JAPAN ビッグデータレポート編集長
池宮 伸次(いけみや・しんじ)氏

「分析したデータが使われない原因としては、専門用語が多く資料が読み取れなかったり、具体的なアクションや考察がなくデータのまとめでしかないことなどが考えられます。それはつまり、データ分析に『説得力』が不足しているからなのかもしれません。多くのデータ分析は、効率的な意思決定のために行われます。データ分析を正しく活用してもらうためには、意思決定者にデータは役に立つと認めてもらえるような説得力が必要です」

「ストーリー」がデータ分析にさらなる説得力を持たせる

「説得力を高める鍵は次の4点です。①ストーリーがある、②常に目的を共有する、③客観性、中立性を意識させる、④可視化は毒にも薬にもなるといった点です。ストーリーがあるとなぜ説得力が高まるのか。データ分析は、その結果を必要としている人に伝わって初めて意味があるものになるため、相手に伝わるような伝え方がとても大切だからです」

「ストーリー」がデータ分析にさらなる説得力を持たせる

「ストーリーがもたらす効果は、相手の理解度を大幅に向上させことができることです。データ分析の目的、概要、結果とサマリー、要点、提言を入れたストーリーを事前に設計することがポイントです。ストーリーという考え方は、伝わりにくい難しい用語に気づいたり、必要なデータや要素を整理しながら考えられたりするなど、さまざまな利点があります」

無意識に省略している条件を「ChatGPT」で発見! 仮説設計での活用方法

分析の仮説を立てたのに周りの人から「分かりにくい」と言われた経験はありますか? 仮説を立てるにあたっては「仮定条件」が重要ですが、無意識に条件を省略している場合が多いです。ChatGPTを利用して、周りの人にも伝わる分析仮説の作り方を紹介しました。

石川 貴明(いしかわ・たかあき)氏

ヤフー株式会社 
データソリューション本部 データアナリシス部 アナリシス1 リーダー
石川 貴明(いしかわ・たかあき)氏

無意識に省略している条件を「ChatGPT」で発見! 仮説設計での活用方法

「分析には『仮説検証型分析(仮説分析)』と『仮説探索型分析』があります。今回紹介する『仮説分析』は、事前に仮説を立ててから分析を始めます。仮説を立てるときは、まず前提理解、次に課題考察、そして仮説を立てるという流れで行います」

無意識に省略している条件を「ChatGPT」で発見! 仮説設計での活用方法

「仮説を立てて人に説明すると、金額、場所、誰向けなのか、など人によって思い描くものが異なってくることが問題点として出てきます。なぜなら仮説に必要な『条件』を無意識のうちに省略してしまっているため、相手に自分の考えている仮説を正しく伝えることができていません。自分が無意識に省略した条件に気づくために活用するのが、ChatGPTです」

無意識に省略している条件を「ChatGPT」で発見! 仮説設計での活用方法

「ChatGPTを活用した仮説設計では、何度も質問を繰り返すことで、無意識だった条件を顕在化することができます。『レインボーパンを作って流行るかという分析仮説を立てる際の問題点は?』と質問すると、ターゲット、原材料、コスト、市場などに関する問題点を提起してくれます。次に、『問題点を考慮に入れて仮説を立ててください』と問いかけると、しっかりとした仮説を立てて回答してくれます。

このようにChatGPTを活用することで、従来の仮設立てでは、条件の説明が不足していて分かりづらいと言われていたところを、具体化することができ、人に伝えるときに具体的に説明することができるようになります」

数字やデータ分析に苦手意識を持たず、意思決定にデータを活用してほしい

「Yahoo! JAPAN DATA CAMP」を主催しヤフー株式会社でデータ活用サービス「ヤフー・データソリューション」の責任者を務める村田剛氏に聞きました。

村田 剛(むらた・つよし)氏

ヤフー株式会社
データソリューション本部 本部長
村田 剛(むらた・つよし)氏

日頃からデータ活用の重要性を熟知されていると思いますが、ヤフー・データソリューションはどういったサービスなのか教えていただけますでしょうか?

「ヤフーが保有するビッグデータを活用して、企業や自治体の皆さまの課題解決を支援するサービスを2019年10月31日に開始しました。
ヤフーの検索・位置情報などのビッグデータ分析ツール『DS.INSIGHT』、データアナリストがオーダーメイドに課題解決する『DS.ANALYSIS』、自社分析環境と連携できる『DS.API』などのサービスをご提供しています。自社データだけでは把握できない消費者の興味関心などを分析することができます」

DS.INSIGHT
DS.INSIGHT

ヤフーの保有する行動ビッグデータ(検索と位置情報など)から消費者理解を深める分析ツール。キーワードで人々の興味関心がわかる「People」、位置情報で人々の動きがわかる「Place」、今話題のトピックやこれから流行りそうなものがわかる「Trend」、ターゲットの詳細な人物像が可視化できる「Persona」などの機能があります。

DS.INSIGHTについて詳しく見る

どういった方にもっとデータを活用してほしいと思ってますか?

「われわれはデータの可能性を信じておりますので、現在必要性をあまり感じていない人にも使うメリットを実感し、日常的にデータを活用するようになってほしいと思っています。今以上にデータ活用の必要性を多くの方に感じてもらうためには、多種な業務で使えるようにしていかなくてはなりません。そのためにも意思決定の場面でデータを活用してもらいたいです。勘や経験に頼って意思決定をする場合もありますが、会社に重要なインパクトを与える意思決定にこそ、データを活用して精度の高い意思決定をしてほしいですね」

データ活用を推進したいと思っている方へメッセージをお願いします。

「数字が苦手、データ分析は難しそう、自分の業務に使えないかもと考えている人が多いですが、データ分析はハードルが高いものではなく、どの業務にも活用できる場面があることを知ってほしいです。まずは抵抗感やネガティブな感情を持たずにデータに触れ合うところからは始めていただけたらうれしいですね」

数字やデータ分析に苦手意識を持たず、意思決定にデータを活用してほしい

ありがとうございました!

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(掲載日:2023年8月15日)
文:ソフトバンクニュース編集部

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