ガソリンスタンド付設のコンビニ「易捷」の新型コロナ対策事例

2020年4月6日掲載

無接触でガソリンの充填を行う様子 無接触でガソリンの充填を行う様子

中国で最多のコンビニは、中国石化(SINOPEC)のガソリンスタンドに付設されているコンビニ「易捷(yi jie)」になります。中国の都市を見ると、ファミリーマートやセブンイレブンほか、中国の地場コンビニなど密にありますが、これらは地域限定なのですね。対して「易捷」は中国全土に展開しているガソリンスタンドに付属する店舗なので、密にあるわけではないけれど、総店舗数は2万7000店と店舗数では中国最多となっています。

そのようなことから、コンビニのレポートで「易捷」が1位になると「ガソリンスタンドに付属の店舗であって、あんなのコンビニじゃない」という声も出てきます。確かに近年の中国のコンビニ的なコンビニはモノを売るだけではなく、公共料金の支払対応や、シェアサービスのレンタル拠点や、ランドリーサービスの受け渡しなど、徐々に追加しています。それと比べると、「易捷」のコンビニは地味に見えます。

そんな「易捷」ですが、最近コンビニらしく、新しい業務を追加しています。ひとつは、中国のラッキンコーヒーらによるコーヒーブームの中で、コーヒー販売の店内販売やデリバリーを行い始めたことです。これは去年9月よりスタートしました。さらに去年12月よりケンタッキー・フライド・チキン(KFC)と提携し、「易捷」店内にKFCの店舗設置を開始しました。

「易捷」の新型コロナウイルス対策サービス

さらに「易捷」は新型コロナウイルスの猛威に対して、アクションを起こしています。一部店舗で生鮮やマスクのオンライン販売を行い始めたのです。といっても、デリバリーではありません。デリバリーは既にデリバリープラットフォームの美団で行っています。

「易捷」での販売商品一覧 「易捷」での販売商品一覧

新しい生鮮やマスクのオンライン販売とは、あらかじめアプリで商品購入をし、ガソリンスタンドを指定して、翌日ガソリンスタンドに車を走らせ、ドアを開けることなく、トランクに購入した商品をスタッフに入れてもらうというもの。

盒馬鮮生のアプリ画面。ガソリンスタンドで商品を受け取ることができる 盒馬鮮生のアプリ画面。ガソリンスタンドで商品を受け取ることができる

必ずしも主業務たるガソリンを入れる必要はありません。発想としては、テイクアウトを事前に購入して店舗でピックアップするLINEポケオのようなサービスを車向けにアレンジしたものといえます。中国では新型コロナウイルス騒ぎで「非接触」が話題となりましたが、デリバリー以上に接触が避けられるサービスといえます。同様に、ガソリンの補充自体も、ドライバーと店員が接触することなく、アプリによる決済で完結します。

首都・北京では340店舗の「易捷」で、現地でとれた農作物を販売しはじめ、毎日600箱が売れているそうです。また、アリババの城下町の杭州では、アリババのニューリテールスーパーの盒馬鮮生と提携し、盒馬鮮生が用意した「88元野菜パッケージ」か「158元野菜・肉パッケージ」から購入が可能です。中国各地で「易捷」と現地の農協漁協的な組織が提携し、農作物を販売する動きが出てきています。

このビジネスはむしろ日本に向いているように思えます。何しろ、中国のコンビニは駐車スペースがないので、ガソリンスタンドでこうしたサービスが開始されましたが、日本は特に郊外型店舗において駐車スペースは充実しています。日本も都市型店舗ではガソリンスタンドに付属した店舗で同様のことはできそうですし、郊外型店舗ではコンビニしかりドラッグストアしかりスーパーしかり、十分に駐車スペースがあるので、同様のサービスをスタートさせることができるはずです。或いはモールでも、モールに入居する店舗すべてから商品を購入できて、そのまま車のトランクに入れてもらうということができるのではないかと思うのです。

消費者がより多くの選択肢から買い物の選択ができることは良いことです。新型コロナウイルスが猛威を奮う昨今だからこそ検討したい新サービスではないでしょうか。

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