IoTで常にモニタリングする業務用食洗機「厨芯X1」事例

2020年7月8日掲載

厨芯X1 厨芯X1

食の安全がさらに重視されている昨今。現在中国のスタートアップ界隈は冬の時代を迎えていると言われていますが、それでも材料にこだわった食品ブランドや、安全を求めた弁当のデリバリーなどは新たに資金調達をしており、ニーズがありそうです。今回は業務用食洗器を貸し出している北京のスタートアップ「厨芯」を紹介します。

「食洗器は白物家電なので、クラウドはと関係ないのでは?」と思う方もいらっしゃるしれません。しかし、「厨芯」の業務用食洗機は、クラウドをかなり活用しているのです。

「厨芯」が貸し出す食洗器「厨芯X1」。「厨芯X1」を活用したソリューションの特徴は、同社のサイトによると「IoTスマート食洗器」「濃縮型専用洗剤」「即時応対サービス」「データ管理ツール」となります。さらに、何かお困りごとがあれば年中無休で2時間以内にスタッフが到着して対応してくれるそうです。同社は食洗機の洗浄能力や省エネ性能についても、研究を重ねています。その結果、「厨芯X1」は高く評価されており、すき家(中国)など1500超の中国地場のチェーン店で採用されています。

さて「厨芯X1」のIoT活用についてです。「厨芯X1」はIoT・AI・ビッグデータを融合した食洗機であり、常にリアルタイムでモニタリングしています。「厨芯」アプリは微信(WeChat)のミニプログラムで提供されているので、インストールは不要です。「厨芯」と検索すれば、ユーザー登録不要でサンプルが閲覧できます。もしこの記事を読んで興味をもたれたら、ぜひ試してみてください。

それから食洗器のいくつかのパーツには、センサーがついています。食洗機の故障や不調の主な原因は、配管の各所で水垢が溜まることだそうです。そのため、水垢が溜まってきたタイミングで洗浄する必要があります。そこでパーツのセンサーが水垢を把握し、ある程度溜まったらスタッフが訪問しメンテナンスを行う仕組みとなっています。各パーツが問題なく動作しているか、水垢がどれくらい溜まっているか、それを微信の「厨芯」のミニプログラムからも確認できます。このプログラムは厨芯サポートスタッフ側もチェックできるため、ベストなタイミングでメンテナンス対応が可能なのです。

WeChatのミニプログラムから利用状況を確認 WeChatのミニプログラムから利用状況を確認

さらに利用者は、食洗器の利用データをスマートフォンで把握できます。具体的な項目としては、「利用回数」「1日の消費電力」「洗浄時の平均水温」「食器カバーを空けた時間」「水交換によるセルフメンテナンス」「洗浄途中で食器カバーをあけて中断した回数」を知ることができます。またそれらをまとめた長期での消費電力や平均利用回数などの統計も閲覧可能です。またサポートやトレーニングでスタッフが来た場合は、写真付きでログが残ります。

ミニプログラムによるレポート ミニプログラムによるレポート

さらにチェーン店の各店舗で導入した食洗器のデータを、ひとつのアプリでまとめて表示できます。すると各店舗の食洗器の稼働頻度やコストがわかり、水や電力の無駄はないか確認できるのです。チェーン店全体で導入されている食洗器のデータが見られるのであれば、店舗の管理者にとっては非常に大きなメリットとなりますね。厨芯の方でも、多数のIoT業務用家電を貸し出すことで利用データをより多く収集できます。ひいては、ビッグデータを分析して壊れる予兆を把握することができるわけです。

云掌財経が同社のCEOの劉昌毅氏を取材した際、小米(シャオミ)がIoT家電を多数出ていることに対して意見を求めたところ、「商用のスマート厨房製品で業界のリーダーとなる。食洗器だけでなく、他の製品の開発も進める」と語ったとのこと。高品質な業務用スマート厨房製品の登場を、今後も期待できそうです。

余談ですが、新型コロナウイルスが感染拡大した2月は、厨芯は、サポートはそのままにレンタル費用を2月だけ徴収しない方針を決めました。混乱に陥った中国企業には、この対処はかなり喜ばれたといえるでしょう。

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