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2020年8月18日掲載
熊猫星厨(同社サイトより)
シェアサイクルを筆頭としたシェアサービスブームの中で登場した「シェアキッチン(共享厨房)」が注目されています。日本では「ゴーストレストラン」「ゴーストキッチン」「クラウドキッチン」とも呼ばれていますね。
北京では熊猫星厨という企業が、上海や杭州や深センなどでは吉刻聯盟、黄小逓、食雲集が頭一つ抜けた企業です。シェアキッチンとは、数百平米の場所をいくつかの独立したスペースにわけ、それぞれに厨房をレンタルで提供するというサービスです。
火鍋で知られる海底撈や、何かとお騒がせのラッキンコーヒー(瑞幸珈琲)など、さまざまな企業に活用されています。シェアキッチンは、基本的にそのスペースでは調理だけ行います。客が中に入って視察したり食べたりすることはできません。ただ、食雲集だけは一部で客にも開放し、食事を楽しめるようになっています。
熊猫星厨の上海での展開(同社サイトより)
今年6月、「熊猫星厨」を筆頭に関連企業が共同で「シェアキッチンサービス規範」を発表し、政府メディアの人民網らがそれを見届ける形で報道しました。業界が一団となって発表する場合は、業界が盛り上がってきて自制のために発表する(させられる)ということがこれまでよくありました。発表においては「シェアキッチン業界標準を発表した背景には、キッチンの標準化によって安全を常態化し業界関係者に信頼をしてもらい、業界を発展することが目的」としています。
シェアキッチンサービス規範発表会
なぜシェアキッチンサービス規範ができるほど盛り上がってきているのかと言いますと、新型コロナウイルス感染拡大の中で食事のデリバリーの重要性がますます高まってきたためです。日本でも、新型コロナウイルス前後でフードデリバリー業者を見る頻度がだいぶ増えてきた印象がありますよね。「デリバリーのニーズが高まっているならば、店舗はシェアキッチンでいいじゃないか」となるのは自然の流れです。
当然テナントを入れるため、シェアキッチン各社は都市内のよい場所に展開します。つまり商業地や幹線道路沿いや人口密集地に近いところなど、デリバリーのニーズの高いところに展開するわけです。
WeWorkのようなシェアオフィスのキッチン版とも言えるシェアキッチン。そのメリットとして、設備が整っていることのほか、ロードサイドの建物やショッピングモール内のテナントを借りるよりコスト削減が見込めることが挙げられています。コスト削減目的なので、特に地価・テナント料の高い北京や上海などで店舗が増えています。
ただし、安いといってもそれなりにかかります。賃料は月8,000~12,000元(1元は約15円なので、日本円で換算すると約12~18万円)、そこに敷金3カ月、礼金2カ月などがかかります。さらに食品安全敷金1~2万元など様々な名目で費用が掛かり、なんだかんだで初期費用は10数万元が必要になります。
ですが、飲食可能な物件を借りる場合、通常は厨房に必要な設備や内装を導入しなければなりません。また行政の許可を取る手間もかかります。シェアキッチンであれば、この手間が省略できます。資金力がある外食企業であれば、この回転の良さを活用して、先にシェアキッチンの場所を確保しデリバリーだけでサービスを行い、ブランドイメージをスピーディに認識させていくこともできます。
また、シェアキッチンは食品トラブルを防止するため清潔に管理されているほか、食材も指定された安心できるところから調達することで、食の安全品質を高めています。また各店に店長やメンテナンススタッフを用意し、いざというときに対応する体制が整っています。前述しましたが、デリバリーでよい結果が見込める立地もまた魅力です。
中国のデリバリーと言えば「餓了麼(ウーラマ、Ele.me)」と「美団(Meituan)」の2大プラットフォームが特に活用されています。シェアキッチンでは、この登録作業代行もしてくれます。また、両方のプラットフォームを活用すればそれぞれの売上データが出てきますが、シェアキッチンでは複数のプラットフォームを一元管理するツールを提供しています。
このように、シェアキッチンではテナント料以外の付加価値もしっかりつけて、サービス提供しています。フードデリバリーが当たり前になった中国で、厨房を担うサービスとして改めて注目されているのも頷けます。日本でも新型コロナウイルス感染拡大防止のため、店舗での営業が減りデリバリーが増えました。デリバリーニーズが高まる中で、システムも含めてキッチンを提供できる企業があってもよいのではないでしょうか。
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