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2020年10月1日掲載
孝徳智能(Xiaode)
超高齢化社会に突入していると言われている日本にとって、現役世代への老人介護の負担は、大きな社会問題となっています。実は中国でも、老人介護問題に取り組んでいる企業があるのです。それが、江蘇省南京にある南京孝徳智能科技有限公司(略称:孝徳智能、Xiaode)。同社はIT製品やクラウドサービスを駆使して、老人介護の負担を減らそうとしています。
同社の目玉となる製品は、「スマート介護ベッド」。小売はしておらず、パッケージとして提供しているようです。このベッドは、スマートフォンアプリを使って上下左右に傾けるようコントロールすることができます。
また、ベッドの高さを変えることも可能です。上下に動かしたり傾けたりすることで、体を拭いたり、用を足すことが簡単にできます。アプリでタイマーを設定し、決まった時間に傾けることもできます。定刻に、ごろごろと体位を変えることもできるのです。さらにマッサージ機能までついており、こちらもアプリから操作することが可能です。
またエアコンが内蔵されているので、常に最適な温度を保ちます。また足元にエアロバイクを設置すれば、寝ながら足の運動をすることもできます。
このような機能のベッドであれば、スマートフォンアプリには非対応ではあるものの、日本でも類似製品はあります。孝徳智能のベッドは様々なセンサーを内蔵し、またクラウドサービスに対応しています。具体的には、まずベッドで寝る老人から異常データが検出されたら専門医が確認しにいったり、スマートスピーカーのように音声を拾い、異常ある音声を検出したら看護師がすぐにかけつけたりするといったことが挙げられます。
アプリからカルテに記入後クラウド保存したり、専門医や看護師が容態をチェックし、ベッドの設定を本人に合わせた形で変更したりすることも可能です。ベッドで老人の患者が拾えることから、音声を拾い上げて対応することもできます。クラウド側では患者の尿と便のタイミングを分析・学習し、事前に用を足すタイミングを察知することで、より人的負担を減らすことができます。
これだけハイテクなベッドともなると、濡れやすく汚れやすいことから壊れやすそうですよね。ですがベッドにセンサーが多数内蔵されていて、ベッドの異常を感知すると修理スタッフが修理にかけつけて対処するそうです。
孝徳智能はスマートベッド以外にも、さまざまなソリューションを提供しています。
同社の老人ホーム向けソリューションでは、看護師と患者の居場所をリアルタイムに把握し、看護師を効率的に各部屋に行かせて負担を減らすソリューションを用意しています。発想としては、アリババの物流会社「菜鳥(Cainiao)」が、関連する物流会社にスマートに小包を割り振り、特定の物流会社に量が偏らないように効率化しているのに似ています。この規模をうんと小さくして、リアルタイムでスタッフを効率的に配備する仕組みが取られているのです。
孝徳智能のスマート見守りサービス
スマート見守りサービスの紹介動画はこちらのリンク先からご覧いただけます。
また日本では、老人が勝手に徘徊する問題が度々取り上げられます。同社の老人の徘徊対策ソリューションでは、建物周辺にセンサーバーによるスマート電子柵を用意し、老人が決められた地域の外に出た際にセンターと家族に通知が行き、センターからスタッフが急行し老人を発見し、元に連れ戻します。同社製品ではないですがGPS内蔵のスマートウォッチでも、決まったエリアを離れると警告するものがあるので、活用できそうです。
孝徳智能のスマート徘徊抑制サービス
スマート徘徊抑制サービスの紹介動画はこちらのリンク先からご覧いただけます。
他にも同社の一人住まいの老人向けソリューションでは、ネットワークカメラとIoT家電を配備し、住民が倒れたら自動でセンターと家族の微信(WeChat)などのテキストベースでの通知が行き、スタッフが駆け付けます。また、レンジで火をつけたまま外出した際は、センサーが反応し異常をセンターに通知し、センターが老人に電話をするとともに、火をリモートで消すそうです。
老人向け福祉介護では日本が先行していると言われています。一方で、福祉や介護にITを惜しみなく導入する動きは、中国のほうが進んでいると言えるでしょう。粗削りな部分はあるとはいえ、老人福祉や介護にIT技術を思い切って使う中国の姿勢から、日本も学べる部分はあるでしょう。
さまざまなソリューションを日本流にカスタマイズしたり、クラウドサービスをうまく活用できたりすると、人的負担などさまざまな問題が解決できるのではないでしょうか。
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