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パソコン用ディスプレイやノートパソコンやスマートフォンなどのLCD/LEDディスプレイ製品を物色していると、まれにドット抜けや色ムラがある不良品に遭遇することがあります。各メーカーは出荷の段階でこのような初期不良を無くそうと努力していますが、中国の製造現場では人件費が上昇しているのもあって、なかなか改善できない状況にありました。
そこでパソコンのメーカーとして有名なレノボがAIを含むシステムを開発し、AOCブランドのディスプレイなどで知られるTPVがそのシステムを導入した結果、状況は大きく改善しました。今回はこの2社が関わった液晶検査のスマートソリューションについて、詳しく解説していきます。
従来、LCD(液晶ディスプレイ)やLED(発光ダイオード)画面の欠陥のテストと判断は人間の肉眼によって行われていました。このエラー検出方法は、精度の観点から見ると不確実です。人間が行っている以上、24時間稼働するというわけにもいきません。
そこでエラー検出をするAIを導入できれば、従来の人の手がかかっていたテストソリューションの欠点を補うことができ、製品品質が向上します。レノボのLCD / LEDスクリーンインテリジェントマシンビジョン検査システムと自動化装置は、こういった背景のもと開発されたのです。
レノボのLCD自動検出ソリューション機能モジュール(出典:Lenovo联想)
AI開発では、ディープラーニングを利用するケースがあります。ディープラーニングでは大量のデータから規則性や関連性を見つけ出し、判断や予測を行います。
ただし今回の場合、大量のデータ=ディスプレイの不良品サンプルはそうたくさんあるわけではなく、人為的に欠陥を作成することもできませんでした。そこで、液晶の不良を発見しそれをもとに学習しながら精度を高める、といったシステムが開発されたのです。
システムは写真を撮り加工するフロントエンドと、学習するエッジコンピューティングと、分析を行うバックグラウンドの機器群からつくられています。AIモデルはポジティブサンプルとネガティブサンプルに対して継続的なディープラーニングを実行することで、最適化されていきました。
フロントエンドでの表示(出典:Lenovo联想)
それぞれのシステムについても紹介しましょう。フロントエンドでは主に機器の撮影、サンプリング、前処理、サンプル写真のアップロード、および製品タイプに応じたその他の関連アクションを制御し、製品ごとに関連する撮影パラメータを自動的に調整します。テストされた製品の特性がサンプリングされ、リアルタイムかつ高速でバックグラウンド分析システムに送信されます。
バックグラウンドでは、実際に分析と意思決定を行います。一般的な主要な欠陥を正確に特定するだけでなく、未知の欠陥をも見つけてアラートを出すのです。
バックエンドでの表示(出典:Lenovo联想)
エッジコンピューティングはエラーの学習を行うパートです。つまり次々に送られる生産ラインの欠陥データを可能な限り収集して、少量のサンプルデータの条件下で、アルゴリズムを「知識を増やす」ようにトレーニングしていきます。
最初にメタ学習を通じて学習方法を学習し、次に距離学習(メトリック学習)を通じて新しいシーンに類似したデータを取得して事前知識を形成し、マシン自体の「認知レベル」を向上させます。と同時に、画像データの拡張(Data Augmentation)テクノロジーで、データサンプルをAI向け学習データ作成に増やします。こうして、数少ないサンプルで効率的にAIを鍛えるわけです。
レノボの生産ラインで鍛えあげられたAI品質検査ソリューションは、生産される液晶サイズの大きさを問わず、同業の生産現場でも活用ができるようになりました。そのためTPVの生産ラインにも導入され、欠陥を学習したことでさらにAIの精度が高まったのです。
結果、TPVの品質管理をアップグレードするだけでなく、TPVの液晶不良データがAIを含むシステムに提供されることで、液晶業界の品質管理において画期的な進歩を遂げることができたといいます。
スマート識別表示(出典:Lenovo联想)
このAIを活用したシステムを適用したことで、TPVは30種類以上の画面の欠陥検出が可能になり、人件費は最終的に50%節約されました。検査の効率と精度は「30%向上した」といわれています。
レノボに代表されるマシンビジョンなどのコアテクノロジーは、製造業の主要な検査作業において、より高度で自律的な「目」を提供し、効率と精度を大幅に向上させています。
また、業界でAIを鍛えるためのサンプルを共有することで、AIがより鍛えられ製造現場に反映されるわけです。今後もこの分野のテクノロジーの普及や発展に期待したいと思います。
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