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現代ビジネスにおいて、クラウドは非常に重要なITインフラとなっています。クラウドの利用を第一に検討して事業を展開する「クラウドファースト」という考えが普及してきました。さらに昨今では、クラウドのメリットを徹底的に活用する「クラウドネイティブ」が注目されています。
今回のコラムでは、Alibaba Cloud(アリババクラウド)が定義する「クラウドネイティブ」について詳しく紹介していきます。
役職ソフトバンク株式会社
クラウドエンジニアリング本部 PaaSエンジニアリング統括部
インフラエンジニアとしてオンプレミス・プライベートクラウド・パブリッククラウド環境での構築運用に携わり、2018年にSBクラウドにジョイン。コンテナ・IaC等を活用したAlibaba Cloud でのスケーラブルなシステムの提案・ 導入支援を行なっています。
Alibaba Cloud(アリババクラウド)におけるクラウドの定義は「サーバ、データベース、ストレージ、プラットフォーム、アプリケーションなどを含むインターネットを介したオンデマンドコンピューティングリソースの提供」です。必要な時に必要な分だけ利用できる従量課金制のため、コストの効率化につながります。
〈Alibaba Cloudのクラウドネイティブサービス〉
サーバではCPUやメモリを細かく選択可能。ユーザのニーズに合わせた、柔軟なインスタンスの選択枠があります。
データベースではMySQL、PostgreSQL、Oracleと互換性のあるリレーショナルデータベースとして「ApsaraDB for PolarDB」を自社開発。低コスト高パフォーマンスが実現しました。 さらにさまざまなDBシステムでマネージド対応していることも大きな特長で、
RDBだと、
MySQL / PostgreSQL / SQL Server / MariaDB
NoSQLだと、
Table Store(フルマネージド型NoSQL) / Redis / Memcache / MongoDB
さらにデータ分析などで用いられる分散DBでも、
HBase / Cassandra / Kudu
といったラインナップをサポートします。
ストレージではIaaSのブロックストレージとしてハイパフォーマンスで低レイテンシなCloud Disk、オブジェクストスレージとして画像、オーディオおよびビデオを含む、インターネット上の大量の非構造化データの保存用に設計されたOSS、NASとしてはNFS や SMB といった標準的なプロトコルをサポートしているNASなど、堅ろう性と拡張性に優れたセキュアなストレージサービスを提供しています。
2015年、コンテナ技術の発展やテクノロジー業界連携支援を目的としてCNCF(Cloud Native Computing Foundation)が設立されました。同プロジェクトには、クラウドネイティブを推奨する大手クラウド事業者やソフトウェア企業など、世界500以上の団体が参画。Alibaba Cloudもそのプラチナメンバーとしてクラウドネイティブ技術の進化に貢献しています。
クラウドネイティブにとっての重要な技術とは何でしょうか。CNCFでは「コンテナはスケーラブルで迅速なアプリケーション開発には欠かせない、クラウドネイティブを構成する重要な技術要素の1つ」と定義しており、クラウド時代においてコンテナ技術は必要不可欠となっています。
Alibaba Cloudのコンテナプロダクトは「Container Service for Kubernetes(ACK) 」。これはコンテナ化されたワークロードやサービスを宣言的に構成管理し、自動化するオープンソースプラットフォームKubernetesを使用したマネージドサービスです。
〈Container Service for Kubernetes(ACK)全体像〉
「Container Service for Kubernetes(ACK)」には5タイプのクラスターがあり、それぞれ特色を持っています。
〈ACKのタイプ別クラスタ構成〉
1)専用クラスター(Dedicated Cluster)
マスターノードとワーカーノードが、IaaSのECSへ作成されます。インフラストラクチャをより細かく管理できるため、ユーザ自身で全てのクラスタを運用するケースで有効となります。
2)マネージドクラスター(Managed Cluster)
マスターノードをAlibaba Cloudが管理し、ワーカーノードをユーザ側で用途にあわせて柔軟に構成、管理します。マスターノードの管理が不要なため、より開発やオペレーションに集中できるタイプです。
3)サーバレスクラスター(Serverless Cluster)
マスターノード、ワーカーノードの両方の管理をAlibaba Cloudが行います。このタイプでは、インフラストラクチャの管理が不要となる為、システム運用におけるメンテナンスコストを大幅に削減できるメリットがあります。
そして、プレビュー版として、「マネージドエッジクラスター」と「クラスター接続プロキシ」のクラスタータイプをリリースしました。
4)マネージドエッジクラスター(Managed Edge Cluster)
エッジコンピューティングシナリオに適用されるエッジ管理ソリューション異なる環境にあるサーバやIoTデバイス、Armなどのエッジノードを一元管理することで、各エッジへサービスを提供します。
5)クラスタ接続プロキシ(Cluster Connect Proxy)
「クラスタ接続プロキシ」は外部環境に構築されたKubernetesクラスタを統合管理するソリューション。マルチクラウドやハイブリッドクラウド環境のKubernetesクラスタを統合管理し、各クラスタへアプリケーションをデプロイしてライフサイクルを管理することができます。
「マネージドエッジクラスター」と「クラスター接続プロキシ」は、マルチクラウド、ハイブリッドクラウドアーキテクチャをサポート。異なる環境下でのワークロードを分散利用することが可能となります。このように、複数のKubernetesのクラスタタイプを柔軟に選択できるのは珍しく、特にボトルネックとなるインフラストラクチャの違いを吸収し管理できるのはAlibaba Cloudならではと言えるでしょう。
コンテナはアプリケーション開発に欠かせない技術です。Alibaba Cloudが提供する「Elastic Container Instance(ECI)」は、サーバを管理することなく簡単にコンテナを利用することができます。サーバレスでありながらCPUやメモリを柔軟に選択でき、GPUを使ったインスタンスを利用できるのも強み。
一方、コンテナのイメージを保存する「Container Registry」はコンテナイメージのビルドやデプロイ、セキュリティスキャンなどを実施。「ECI」と「Container Registry」はクラウドネイティブなアプリケーションを展開する基盤となります。
サービスに必要なプラットフォームをクラウド側が提供、管理することで、ユーザはアプリケーション開発に注力できます。Alibaba CloudはFaaS(Function as a Service)としてイベントドリブンなサーバレスプラットフォームの「Function Compute」や、PaaS(Platform as a Service)の「Web App Service」でアプリケーション実行に必要な環境を提供。運用負荷の軽減と安全性から、素早いデプロイを実現させています。
コンテナやPaaSに配備されたアプリケーションから利用できるクラウドネイティブ志向の次世代データベースが「ApsaraDB for PolarDB」です。これにより高可用性、スケーラブル、ハイパフォーマンスを備えたデータベースの構築が可能となります。
〈PolerDBアーキテクチャ〉
「ApsaraDB for PolarDB」は短時間のスペック変更、クエリ実行中でもReadインスタンスが削除可能なスケーリング性能、冗長化専用インスタンスを用いた高速フェイルオーバーなどを実現させた次世代データベース。急激なトラフィック増やスパイクが発生する環境に対応しているため、ゲームアプリやウェブ、ストリーミング、eコマースサイトなど、必要なリソースが大きく変動する全てのサービスに適していると言えます。
Alibaba Cloudが提供しているのは、高い技術と知見から裏打ちされたクラウドネイティブ環境とエコシステムです。変化が激しい現代ビジネスの中で、迅速かつ柔軟なシステム基盤を構築することは、非常に心強いもの。
事業はどのような状況でも継続、拡張させなければなりません。Alibaba Cloudには、安定したリリースサイクルを生み出すためのメリットが多く盛り込まれているのです。
次回のコラムでは、Alibaba Cloudを活用することで「コンテナ化されたアプリケーションを展開・管理するライフサイクルをどのように構築するのか」についてご紹介します。
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