ノーコードでVertex AI Search を利用してGoogle サイトでRAG構築してみた

１．今回構築する構成

Vertex AI Search は、ML（Machine Learning）の経験がなくても、シンプルなインターフェースを利用して、コーディングをせずに数分で検索のシステムを作れるプラットフォームです。

詳しくは、こちらのブログ「Vertex AI Search (旧称 Gen App Builder の Enterprise Search) の日本語版を試してみた」をご覧ください。

本記事では、Vertex AI Search を使い、自社独自のファイルの中を検索・回答するアプリを作成し、それをGoogleサイトに埋め込む手順と方法を紹介します。今回は自社独自のファイルの代わりに厚生労働省のWebサイトからダウンロードしたファイルを使用します。

利用ツール：

　ツール：Vertex AI Search 
　データ格納場所：Cloud Storage
　ウェブサイト：Google サイト

検索対象ファイル：

　厚生労働省のWebサイトからダウンロードしたファイル

２．Cloud Storage に検索対象のファイルをアップロードする

Cloud Storage > 任意のバケット にアクセスしファイルをアップロードします。

※今回は厚生労働省のWebサイトからダウンロードしたファイルを使用します。

３．検索アプリを作成する

[検索と会話] にアクセスします。初めて利用する方は、規約にチェックしAPIを有効化してください。

[新しいアプリ] をクリックし、アプリの種類で「検索」を選択します。

アプリの設定を行います。本アプリの設定は以下の通りです。

• Enterprise エディションの機能：オン
  
• 高度なLLM機能：オン

• アプリ名：sb-search-app *
• 会社名または組織名：ソフトバンク株式会社 *
• アプリのロケーション：global（グローバル） *

　* 適宜変更してください

４．データストアを作成する

新しいデータストアの作成時に、「Cloud Storage」を選択し、対象のバケットまたはファイルを選択します。

インポートするデータの種類は「非構造ドキュメント」を選択します。

【参考】OCR 処理の有効化

現在パブリックプレビューとなっている OCR 処理を有効化すると、検索不可能な PDF (スキャンされた PDF、または画像内にテキストが含まれる PDF (インフォグラフィックスなど)) からテキストブロックやテーブルなどの要素を抽出できるようになります。

データストアの構成に関する設定を行います。本アプリの設定は以下の通りです。

• データストアのロケーション：global（グローバル） ※変更不可
• データストア名：sb-search-datastore *

　* 適宜変更してください

作成したデータストアを選択し、アプリを作成します。

インポートが完了し、ドキュメントタブに Cloud Storage にアップロードしたデータが表示されれば、アプリの作成は完了です。

※インポート完了までには数分かかります。

作成したアプリから [構成] > [WIDGET] にアクセスし、検索タイプの設定変更を行います。本アプリの設定は以下の通りです。

• 検索タイプ：フォローアップ付きの検索
• その他の設定はデフォルト値のまま

【参考】言語モデルに Gemini Pro を選択することもできます。

ページ右部では、アプリの挙動をプレビューで確認できます。

引用は回答の根拠を示してくれます。該当箇所へのリンクもついているので、実際にドキュメントを確認しにいくことも可能です。

検索タイプで「フォローアップ付きの検索」を設定したので、回答に対する追加の質問も可能です。

５．Google サイトに埋め込む

作成したアプリから [統合] > [ウィジェット] にアクセスし、ウィジェットの設定を行います。本アプリの設定は以下の通りです。

• 認証タイプの選択： 公開アクセス
• ウィジェットで許可するドメインを追加する：「googleusercontent.com」を追加

　※Google サイト上でウィジェットを表示させるために必要なドメインとなります。

今回は認証タイプで「公開アクセス」を選択しましたが、「JWT または OAuth ベース」を選択したパターンを次の記事にて紹介する予定です。楽しみにしてください。

ページ下部のコードをコピーし、Google サイトに埋め込みます。

サイトを公開し、埋め込んだアプリに質問を投げ込んでみます。

プレビューで確認した時と同じ回答が返ってきました！

アプリの作成とサイトへの埋め込み方法は以上です。

おわりに

本記事では、UI上の操作だけで簡単に検索アプリを作成することが出来る手順を紹介しました。

社内資料や頻繁に寄せられる問い合わせの質問と回答のデータを Cloud Storage に格納することで、問い合わせ対応にかけている時間を大幅に削減することができるかと思います。

ぜひ一度、本記事を参考にして Vertex AI Search を使用してアプリを作成してみてください。

次回は、第 3 弾として、同じ Google Cloud 技術チームのチームメイトから「Vertex AI search で構築した検索アプリをGoogle Cloud Storage (GCS)で公開してみた」をお届けしますので、お楽しみに！

終わりに、当社が新たにリリースした「Vertex AI DIYプラン」サービスの紹介をさせていただきます。

Vertex AI DIYプランについて

Vertex AI Search を使って社内文書を検索する生成AIを構築してみませんか？
ソフトバンクのエンジニアが構築をサポートします。

Vertex AI DIYプランでは、以下の3つのことを体験いただけます。

詳細は、関連サービスにある「Vertex AI DIYプラン」をご確認ください。

関連サービス