ウォーターマークとは? 種類、目的、課題を解説!

2024年4月16日掲載

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本記事では、特定のAIプロダクトのウォーターマークの使い方ではなく、ウォーターマークが生まれた背景、仕組み、およびその検知方法などについて解説します。

AWSのAIサービスであるBedrockに、Watermark detectionという機能が追加されていました。たまたまAWSの環境で見つけたものですが、おそらく他のプロバイダによる類似サービスでも、同様の機能が実装されている、または実装されることでしょう。

実際にTitanモデルで生成した画像を、この機能でチェックすると、Watermark detectedと表示されました。どのモデルで生成したかも分かるようです。埋め込まれていたウォーターマークを、写真の中央部で視覚的に見せてくれています。

重要性が高まってきているウォーターマークについて正確な知識を得てもらうため、本記事では、特定のAIプロダクトのウォーターマークの使い方ではなく、ウォーターマークが生まれた背景、仕組み、およびその検知方法などについて解説します。

目次

ウォーターマークとは何か?

ウォーターマークとは、画像、音楽、動画、文書などのコンテンツに、所有権などを表すシグネチャを透かしとして入れる技術のことです。

コンテンツの著作権保護、データの認証、完全性、トレーサビリティの確保のために欠かせない技術となっています。

ウォーターマーク検知とは何か?

ウォーターマーク検知(Watermark detection)とは、ウォーターマークが埋め込まれたコンテンツから、そのウォーターマークを検出する、または取り出す技術のことです。これにより、正当性や確認したり、コンテンツが不正に変更されたりしていないかを確認することが可能となります。

ウォーターマークの種類

ウォーターマークの概要が分かったところで、もう少し深掘りしていきましょう。

ウォーターマークにはさまざまな種類があります。どのような種類があり、違いと特徴はどうなっているのでしょうか。

1. 見えるウォーターマークと見えないウォーターマーク
見えるウォーターマークは、通常、画像や動画などのファイルに重ねて表示されるテキストやロゴなどです。このタイプのウォーターマークは、他の人が内容を見たときに容易に識別できることから、所有権や著作権を明示的に表示させたい場合に使用されることが多いです。

見えないウォーターマークは、埋め込まれても視覚的には感知できません。このタイプもコンテンツの保護目的でも使われますが、他にはデータの認証、完全性、追跡などにも使用されます。

2. デジタルウォーターマークとアナログウォーターマークの違い
デジタルウォーターマークは、デジタルデータに直接組み込まれるウォーターマークです。例えば、画像ファイルの特定のビットに情報を埋め込んだりすることがあります。

一方、アナログウォーターマークは、物理的な媒体に印刷されるウォーターマークです。通貨や公式書類などで使用される透かしやシールがこれにあたります。

3. 静的ウォーターマークと動的ウォーターマークの違い
静的ウォーターマークは、データが変更されてもそのまま表示され続けるウォーターマークです。一度埋め込まれたウォーターマークは、後から削除や変更することができません。このため、著作権表示などに使用されることが多いです。

動的ウォーターマークは、状況に応じて変化します。例えば、動画の再生回数や視聴者の情報に基づいて変わることがあります。個々の利用者にカスタマイズした情報を提供したい場合などに利用されることがあります。

ウォーターマークの利用目的

ウォーターマークの利用目的について改めてまとめてみます。

1. 著作権保護
画像や動画、音楽などのコンテンツにウォーターマークを埋め込むことで、コンテンツの所有者を明確に示し、不正な使用や盗用を防止することができます。

2. 認証と完全性の確保
コンテンツの認証にも利用されます。例えば、重要な文書やデジタルアセットにウォーターマークを埋め込むことで、そのデータの真正性を確認することができます。また、データの改ざんや偽造を防ぐためにもウォーターマークは有効です。データの完全性を確保し、信頼性の高い情報を提供することが可能となります。

3. デジタルメディアのトレーサビリティ
デジタルメディアのトレーサビリティを向上させることにも役立ちます。動画や音楽の流通経路を追跡したり、特定のコンテンツがどこで使用されたかを把握できるようになります。

4. 顧客エンゲージメントとマーケティング
顧客エンゲージメントやマーケティングにも活用されています。例えば、動画や画像に動的なウォーターマークを利用することで、視聴者に対して個別化された情報やコンテンツを提供することができます。顧客との関係を強化し、マーケティング効果を向上させることができます。

ウォーターマークの課題

ウォーターマークの課題についてまとめます。

1. ウォーターマークの攻撃手法の進化
ウォーターマークの技術が進歩する一方で、悪意をもった利用者は、その検出を回避するための手法を発展させています。ウォーターマークを削除する技術や、ウォーターマークを不可視化する手法などがあります。これらに対抗するために、より強固なウォーターマーク技術や検出アルゴリズムの開発が求められます。

2. ウォーターマークのロバスト性と視覚的品質のバランス
ウォーターマークを埋め込む際には、そのロバスト性(攻撃に対する耐性)と視覚的品質のバランスを保つことが重要です。一般的に、強固なウォーターマークは視覚的品質を低下させる傾向がありますが、逆に視覚的品質を重視すると攻撃に弱くなる可能性があります。このバランスを調整することが課題となっています。

3. 大規模データ処理とリアルタイム性
ウォーターマーク検知は、大量のデジタルデータを効率的に処理しなければなりません。特に、リアルタイムでの検出が求められる場面では、処理速度やリソースの効率性が重要になってきます。高速なアルゴリズムや分散処理技術の開発なども必要です。

まとめ

コンテンツを提供する側は、どのコンテンツにウォーターマークを付与するのか、または付与しないかを判断する必要があります。ユーザー体験を損なわないよう配慮もしなければなりません。

一方、利用者としても、ウォーターマークの存在について理解し、コンテンツの利用において慎重な判断が求められます。

提供者と利用者の両者が、ウォーターマークに関する知識を有して、適切な対応を取ることがますます重要になってくるでしょう。

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Amazon Web Services (AWS)

ソフトバンクはAWS アドバンストティアサービスパートナーです。「はじめてのAWS導入」から大規模なサービス基盤や基幹システムの構築まで、お客さまのご要望にあわせて最適なAWS環境の導入を支援します。

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