【Looker x 生成AI】Explore Assistant で始める自然言語データ探索

2024年7月18日掲載

Weekly Google Cloud アップデート情報

生成AI を活用した Looker の拡張機能である、Looker Explore Assistant をソフトバンク社内の Looker 環境にも導入しましたので、その機能について紹介します!

Looker Explore Assistant を利用すると、生成AI と Looker のモデリング レイヤーを活用した自然言語によるデータの探索が可能になります。

BIツールの使い方に不慣れな人でも、自然言語で質問するだけで欲しいデータが手に入ります。

目次

サンプルダッシュボードの紹介

本サンプルダッシュボードは、全国に店舗を展開する小売業者の利用を想定した売上管理ダッシュボードです。主な目的は、売上データの可視化と管理を通じて、経営戦略の最適化を図ることです。想定ユーザーは、経営層や店舗責任者、データ分析担当者です。

データベースには BigQuery を利用しており、ダミーの注文情報や店舗・顧客情報を格納しています。

それでは、ダッシュボードの内容を紹介します。

Looker Explore Assistantとは

Looker Explore Assistant を実装すると、Looker のアプリケーションから簡単に自然言語で問いかけできるようになります。

Looker Explore Assistant では、2つの機能を提供しています。
 

1.Assistant

シングルターンでデータ探索ができます。

2.Chat

マルチターンでデータ探索ができます。
チャット ウィンドウ内で質問したり、説明を求めたり、さらには調査結果の概要を要求したりすることもできます。

 

順番に使ってみましょう。

今回使用するデータは、小売業者のユースケースを想定して作成したダミーデータです。購入情報や店舗・顧客情報を含みます。サンプルダッシュボードの紹介については別途記事を執筆中ですので、お楽しみに!

Assistant を使ってみよう

まずは、Assistant を選択してクエリを投げてみます。

クエリ1:サブカテゴリー別の売上を教えて

質問を入力すると、Looker Explore Assistant が LookML クエリに変換し、結果を可視化してくれます。この例では、サブカテゴリー毎の売上が棒グラフで表示されました。

クエリ2:今年と去年のカテゴリー別の総収益を年でピボットしたグラフを作成して

より複雑な質問も可能です。この例では、今年と去年のカテゴリー別総収益を比較するグラフが作成されました。

グラフは Explore で分析した際と同様に、編集やダッシュボードへの追加、ダウンロード、LookML の取得もできます。

[Your History] では、過去のクエリ一覧が表示されており、クリックすることで同じクエリを再度実行することができます。

詳しい手順は、以下の Looker Explore Assistant のデータ探索手順動画をご覧下さい。

Chat を使ってみよう

次に、Chat を見てみましょう。

例:最も売れている商品は?

商品毎の売上が棒グラフで表示されました。

会話を続けるように、次の質問をすることが可能です。

こちらも、表示されたグラフを編集、ダッシュボードへの追加、ダウンロード、LookML の取得が可能です。

詳しい手順は、以下の Looker Explore Assistant のデータ探索手順動画をご覧下さい。

Looker Explore Assistant の仕組み

Looker Explore Assistant は Looker のネイティブ機能ではなく、オープンソースプロジェクトとして開発されています。

ユーザーが質問をすると、Vertex AI の Gemini モデル(今回は gemini-1.5-flash を使用)がユーザーの意図を汲み取り、Looker のクエリパラメータを作成します。Looker はそれを受けて、モデリング層から得られるメタデータやコンテキスト情報と組み合わせて、SQL を自動生成し、データを取得して描画しています。

Looker Explore Assistant の構成図

実装には、Looker Extension Framework が使用されています。これにより、JavaScript ベースのカスタムアプリケーションを Looker 上で直接実行することが可能になっています。

Looker Extension Framework とは

Looker Extension Framework は、Looker の機能を拡張するためのフレームワークです。開発者は、このフレームワークを使用して、Looker に新しい機能を追加したり、既存の機能をカスタマイズしたりすることができます。

Looker Explore Assistant 導入方法

Looker Explore Assistant は、オープンソースプロジェクトとして提供されています。
ソースコードはGithub looker-open-source / looker-explore-assistantで公開されています。

導入には以下のステップが必要です

1.GitHub リポジトリからプロジェクトをクローンする

2.必要な依存関係をインストールする

3.バックエンドの設定(Google Cloud Functions または BigQuery との連携)

4.フロントエンドの設定

5.Looker プロジェクト内で Extension を設定する

詳細な手順については、プロジェクトの README を参照してください。
今後、マーケットプレイス上でインストールできるようになるといいですね!

まとめ

Looker Explore Assistant を使うことで、データ分析のスキルを持たないビジネスユーザーでも、自然言語で簡単にデータからインサイトを得られるようになります。迅速な意思決定をサポートし、データ分析の民主化と効率化を推進するでしょう。

データを事前定義する際に、フィールド名やフィールドの説明を明確にすることで精度向上が期待できます。例えば、単なる日付というフィールドを用意するのではなく、購入日、初回購入日など AI にもわかるように明記することが重要です。

今回触ってみて感じたことは、生成AI によるデータ分析のソリューションと Looker のモデリングレイヤーとしての役割の親和性が高いことです。

指標の一元管理は、利用するユーザーが増え、多様な部署や役割のユーザーがダッシュボードを作成する上でデータガバナンスを保持するために必要なアプローチでした。

それだけではなく、生成AI のパワーを活用するためには指標の共通化の必要性が増すと考えられます。

自然言語インターフェースとAI技術との組み合わせにより、データの価値を最大限に引き出すことできるため、 Looker Explore Assistant の今後の発展にも注目が集まります。ぜひ一度お試しください!

 

また、生成AI を活用したLooker の拡張機能をもう1つ紹介しています。Dashboard Summarization を利用すると、ダッシュボードのデータを生成AI Geminiで解析し、洞察や示唆を提供します。ぜひご覧ください!
【Looker x 生成AI】生成AIが分析結果を言語化! Dashboard Summarization を使ってみた

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