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多くの企業でクラウドコンピューティングの採用が進む中、各社コスト管理の課題に直面しています。また、最近の調査によると、過半数以上の企業がクラウド利用費が当初の計画を超過していると報告しています。
情報システムが企業の基盤を構成している現在において、ITリソースのコストを適切に管理することは企業経営において大きな関心事となっています。
そのような背景の中、注目されているのが、FinOps(Financial Operations: フィナンシャル オペレーションズ)です。本記事では、FinOpsの基本概念について解説します。
FinOpsを一言で説明すると、クラウドなどのコストを可視化し、部門間で協力しながら、ビジネス目標に合致するよう、財務を効率よく最適化するための管理手法(フレームワーク)です。
一見すると、どの企業でもやっている、あたりまえのコスト管理の手段に思えるかもしれません。従来の手法と同じに見えるのは、基本的なコスト管理の概念が残っているためです。
クラウドなどを組み合わせたIT技術が従来のアプローチと異なる点を生み出しています。クラウド時代に特有のリアルタイム性、分散管理、アジリティとの両立といった課題に対応する新しい手法として、FinOpsは生まれ、進化しています。
まとめるとこのあたりでしょう。
FinOpsの概要を解説しましたが、まだまだイメージがつきにくいかもしれません。
さて、DevOpsというワードについてはご存じでしょうか。この言葉は一般的に浸透し始めているため、馴染みがある方もいらっしゃると思います。
FinOpsとは関係ないのですが、DevOpsという概念が生まれた背景とその運用手法に、FinOpsとの類似点があるため、両者を比較することでFinOpsの理解を深めてみたいと思います。
DevOpsとFinOpsの類似点
FinOpsの大きなサイクルは以下のようになります。
FinOpsのKPIは従来のITコスト管理指標とは異なる目的を持った指標値となります。どのような観点でKPIを決定するのがよいでしょうか。
FinOpsが掲載しているKPIを紹介します。すでに知っている、実践しているKPIもあると思いますが、意識していなかった項目もあるのではないでしょうか。
(参考)
FinOps KPIs ( FinOps Foundations )
FinOpsが提唱するKPIを活用するもう一つの重要なメリットは、「車輪の再発明を防ぐ」という点です。すでにクラウドコスト管理のベストプラクティスとして共有されているKPIを参考にすることで、ゼロから独自に指標を編み出す必要がなく、迅速に実践に移れます。フレームワークに従うことで下記のような利点が得られます。
FinOpsは、単なるコスト削減にとどまらず、組織全体の運営を変革するための強力なフレームワークです。
クラウドリソースを適切に管理・最適化することにより、削減コストをビジネス成長のための戦略的資産に変えることが可能になります。日本ではまだ導入事例が少なく、かくいう私たちも試行錯誤しながらその第一歩を踏み出したばかりです。FinOpsを活用することで、クラウド利用を最適化し、より価値を生み出す組織へと進化させていく所存です。
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