NotebookLM Enterprise を試してみた！機能紹介と Agentspace との連携

本記事では、NotebookLM Enterprise の基本的な機能やどのように活用できるのか、Google の新しい AI プラットフォームである Agentspace との連携についてご紹介します。

NotebookLM Enterprise とは

NotebookLM Enterprise とは、Google の AI 技術を活用し、企業が情報を効率的に整理・管理・活用できるように設計されたツールです。ある特定の分野の資料群を与えることで、それらを基に質問に答えたり、要約を作成したりすることができます。

与えられたデータソースのみを基に回答するため、ハルシネーション（AIが学習に基づいて事実とは異なる情報を出力してしまうこと）が起こりにくいことが大きな特徴です。

NotebookLM フリー版との違い

NotebookLM Enterpirse は、個人用の NotebookLM と比べてより企業向けの機能が備わっており、より多くのデータソースの種類やデータ保護対応などが提供されています。

出典：Differences between NotebookLM and NotebookLM Enterprise

また、NotebookLM Plus という Google Workspace で提供されているエディションもあり、こちらは NotebookLM Enterprise とは別のものとなります。

使い方

ノートブック作成

NotebookLM Enterpirse にアクセスするには、Google Cloud トップページより [NotebookLM] と入力し、[NotebookLM for Enterprise] という選択肢をクリックします。

ライセンス申請後、[リンク] メニューの [Open] をクリックします。

NotebookLM Enterprise のトップ画面にアクセスすることができます。

ノートブック一覧が並んでおり、[新規作成] より新しいノートブックを作成できます。

[新規作成] をクリックすると、ソース追加のポップアップが表示されます。

以下の形式のファイルをアップロードすることが可能です。

PDF, .txt, Markdown, Microsoft Word, PowerPoint, Excel, 音声（mp3 など）

今回は、弊社で提供している Vertex AI DIY マルチモーダルプランのマニュアルの PDF をアップロードします。

アップロードから20秒ほど経過後に読み込みが完了し、画面中央にファイルの要約内容が表示されます。また、自動的にノートブックのタイトルも生成されます。

チャット

中央の入力欄にて、データソースに関するチャットをすることができます。

試しにマルチモーダルプランについての質問を投げかけてみました。

質問：マルチモーダルで構築したチャットの機能を教えて

回答：

マルチモーダルプランで構築されたチャットアプリケーションの機能は以下の通りです。

●ファイルの添付と URL の添付 チャットには、ファイル（画像、動画、音声、PDF、テキスト）または URL を添付できます。

●プロンプト入力 画面下部の入力欄にプロンプトを入力し、Enter キーまたは送信ボタンをクリックすることで、添付ファイルを基にした回答が生成されます。

●生成AIモデルの選択 複数の生成 AI モデルから選択できます。例えば、Gemini 1.5 Flash 001、Gemini 1.5 Pro 001、Gemini 1.5 Pro 002 などが選択可能です。

●Grounding Grounding をONにすると、Google 検索の結果を取り入れた回答が生成されます。ファイルが添付されている場合は、Grounding は OFF に切り替わります。ただし、モデルによっては Grounding with Google Search が利用できない場合があります。

●システム指示 モデルがどのように回答するかを指示できます。ただし、モデルによってはシステム指示が利用できない場合があります。

●Temperature Temperature を指定することが可能です。

データソースに基づいて、質問に正しく回答していることを確認できました。

音声概要

NotebookLM Enterprise では、英語のみの対応ではあるものの音声で要約を生成することができます。

右側の [音声概要] メニューにある [カスタマイズ] をクリックすると、音声概要でどの点に焦点を当てて話してほしいかを指示することができます。

「マルチモーダルプランを知らない人向けに、どんな機能があるのかを詳しく説明してほしい」と入力し、[生成] をクリックします。

音声の生成が完了するまで 7 分ほど待つと、31 分間の音声概要が生成されました。

再生してみると、英語の会話形式でマルチモーダルとは何か、このプランでどのようなことができるのかが説明されていました。「知らない人向けに丁寧に説明してほしい」という指示が反映されているように感じました。

ぜひ日本語対応を期待したいですね！

メモ生成

ノートブック内のデータソースに関するメモを自動的に生成または自分で作成することができます。

試しにメモを生成してみましょう。

右側の [メモ] メニューにある [よくある質問] をクリックします。

5秒ほどで [Vertex AI DIY マルチモーダルプラン FAQ] というタイトルのメモが生成されました。

メモをクリックして中身を表示させると、「マルチモーダルプランの構築に必要な権限は何ですか？」などの質問・それに対する回答が生成されていました。

他にも、以下のメモを生成することができます。

• 学習ガイド（データソースを基にしたクイズの問題・解答、用語集）
• ブリーフィング ドキュメント（データソースの概要・主要テーマ・結論をまとめた要約メモ）
• タイムライン（時系列に沿った出来事・主要人物などのまとめ）

Agentspace との連携

Agentspace とは、Google Cloud が提供する企業向けの AI エージェントプラットフォームです。企業全体の情報を一元化し、社内情報を検索したり、メール送信やカレンダー作成などのアクション機能を行うことができます。

以下は個人の考察となりますが、Agentspace と NotebookLM Enterprise は、どちらも Google の AI 技術を活用したツールですが、利用シーンや目的に違いがあると想定されます。

Agentspace は、企業全体の情報を一元化し、広い組織や全社での利用を想定したプラットフォームだと考えられます。社内全体の情報検索や、それに基づいたアクション（メール送信、カレンダー登録など）を実行することができます。

一方、NotebookLM Enterprise は、特定のトピックやドキュメント群に関する情報を深く掘り下げ、理解を助けるためのツールです。そのため、個人やチーム単位で特定の情報源を分析・活用する場合に適していると考えられます。

Agentspace について、詳しくは以下の紹介記事をご参照ください。

Agentspace とは？何ができる？ Agentspace の機能紹介！

Agentspace と NotebookLM Enterprise は連携して提供されています。

Agentspace 内の左側にあるメニューから NotebookLM にアクセスすることができます。

また、NotebookLM Enterprise は、Agentspace と連携してノートブックを生成することができます。

Agentspace にて、ソフトバンクの決算資料が入ったデータソースを基に「ソフトバンクの2024年3月期の売上金額は？」と質問してみます。

質問に対する回答と、回答の基になっているデータソースが表示されています。

この検索結果に表示されているデータソースを NotebookLM Enterprise にノートブックとして追加することができます。

データソースの右側にあるノートブックのマークをクリックします。

新しいノートブックを作成するか、既存のノートブックに追加するかを選択することができます。

今回は、[新しいノートブック] をクリックします。

「ノートブックにアイテムを追加しました」というポップアップが表示されました。

ポップアップ内にある [ノートブックを開く] ボタンをクリックします。

新しく作成されたノートブックの画面に遷移しました。

このように、Agentspace での検索結果を NotebookLM のノートブックとしてエクスポートすることができます。

NotebookLM 内のノートブックを Agentspace から検索できるようになるなど、さらなる連携機能のアップデートも期待したいですね！

まとめ

本記事では NotebookLM Enterprise の機能紹介、Agentspace との連携方法について紹介いたしました。

NotebookLM Enterprise を活用することで、社内情報の要点を整理したり、チャットで検索を行うことができます。また、音声での概要を生成したり、用語集やよくある質問などのメモを追加することができます。特に、Agentspace と組み合わせることで、社内情報の発見から分析までをスムーズに行えるようになります。

皆さんもぜひ NotebookLM Enterprise を活用し、日々の業務における情報活用の質を高め、業務効率化を実現させましょう！

無料で始める、Vertex AI DIYサービスが大幅アップデート！

従来のVertex AI Search（現名称：RAG）に加え、マルチモーダルプランが新登場。マルチモーダルプランは、「Vertex AI Studio をエンドユーザに使わせたい！」、「新しいモデルを利用したい！」という顧客の声から生まれました！

RAG 精度向上オプションサービスの登場！

多く寄せられた「文書検索精度を改善したい」という顧客の声から生まれました！本サービスは、Vertex AI DIYプラン のRAGプランで使っている、Google Cloud のVertex AI Agent Builder 専用の精度改善オプションです。