Google Meetの1on1をGeminiで分析したら会話が激変!具体的なプロンプト公開

2025年6月17日掲載

キービジュアル

1on1の質、どう高めていますか?AIがあなたの専属コーチになる時代

  • 「1on1ミーティング、なんとなく続けているけど、本当に意味があるのだろうか…」
  • 「自分の話し方や癖が、相手にどう伝わっているか不安…」
  • 「議事録は取るけれど、読み返して次に活かすまでには至っていない…」

IT管理を始めたばかりの方や、日々の業務でGoogle Workspaceを活用されている方の中には、このような悩みを抱えている方も多いのではないでしょうか。特に1on1は、部下や同僚との信頼関係を築く上で非常に重要ですが、その効果を最大化するのは簡単ではありません。

この記事では、Google Meetの「文字起こし機能」で得られた会話データを、AIアシスタント「Gemini」で分析する方法を、具体的なプロンプト例とともに徹底解説します。

この記事を読めば、あなたは次のことができるようになります。

  • 単なる議事録を、自己成長のための「分析データ」に変える方法がわかる

  • 客観的なデータに基づき、自身のコミュニケーションの癖や改善点を把握できる

  • 次の1on1に向けて、より効果的な準備ができるようになる

単なる機能紹介ではありません。AIを使って自分自身を客観的に見つめ直し、コミュニケーションの質を劇的に向上させるための、新しい「仕組み」を手に入れてみませんか?

目次

  • AIで1on1分析、会話を劇的に改善する
  • IT初心者・Workspace活用者向け
  • Geminiで会話分析し、コミュニケーション改善や自己成長、効果的な1on1準備ができる。

1.今回利用するGoogle Workspaceの機能

今回の主役は、皆さんが普段から利用しているかもしれない、これらのGoogle Workspaceの機能です。特別なツールは必要ありません。

  • Google Meet: オンラインミーティングツール。今回はこの「文字起こし機能」が鍵を握ります。
  • Google ドキュメント: 文字起こしされたデータが自動的に保存される場所です。
  • Gemini (in Google Workspace): Google ドキュメントのサイドパネルなどから直接呼び出せるAIアシスタント。彼が今回の分析担当です。

2.Geminiに1on1を分析してもらう全手順

それでは、具体的な手順を見ていきましょう。大きく分けてステップは3つです。

ステップ1:Google Meetで「文字起こし」を有効にして1on1を実施

まずは通常通り、Google Meetで1on1を実施します。その際、必ず「文字起こし」機能をオンにしてください。ミーティングが終了すると、会話内容がGoogle ドキュメントとして自動的に自分のGoogleドライブに保存されます。

ポイント:なぜこの機能を使うのか? それは、後の分析のために、正確で客観的な一次情報(会話の生データ)が必要不可欠だからです。記憶に頼った振り返りでは、どうしても主観や思い込みが混じってしまいます。

ステップ2:文字起こしドキュメントでGeminiを起動

ミーティング後に生成されたGoogle ドキュメントを開きます。画面右側にあるGeminiのアイコン(◆)をクリックすると、サイドパネルにGeminiが表示されます。これで分析の準備は完了です。

ステップ3:魔法の呪文「プロンプト」で会話を分析する

ここからが本番です。Geminiにどのような「お願い(プロンプト)」をするかで、得られる分析の質が変わります。私が実際に試して効果的だった5つの分析プロンプトをご紹介します。

以下のプロンプトをコピーして、Geminiの入力欄に貼り付け、その下に文字起こしされたテキスト全文を貼り付けて実行してみてください。


分析プロンプト1:会話の主要トピックを抽出する

まずは、会話全体で何が話されたのか、全体像を把握します。

# 命令書

あなたはプロの会話分析コーチです。

以下の制約条件と会話ログをもとに、会話の主要なトピックを抽出してください。

 

# 制約条件

・会話の中で最も時間を割いて話されたトピックを3つ挙げてください。

・各トピックについて、どのような内容が話されたのかを具体的に要約してください。

・箇条書きで分かりやすく出力してください。

なぜこの分析が必要なのか?

自分が意図したテーマと、実際に多くの時間を割いたテーマが一致しているかを確認できます。「相手の関心事は、実は別のところにあったのかもしれない」という新しい発見につながります。

分析プロンプト2:発言のバランスを確認する

1on1は対話が基本。どちらか一方が話しすぎていないか、客観的なデータで確認します。

# 命令書

あなたはプロの会話分析コーチです。

以下の会話ログをもとに、話者ごとの発言量(文字数や単語数)を分析し、発言のバランスを評価してください。

 

# 制約条件

・話者Aと話者B、それぞれの発言量をパーセンテージで示してください。

・発言バランスについて、客観的な評価を述べてください。(例:「話者Aが会話の主導権を握っている傾向があります」「双方からバランスよく意見が出ています」など)

なぜこの分析が必要なのか?

「傾聴できているつもり」でも、無意識に自分が長く話してしまっていることはよくあります。この数値を客観的に見ることで、相手が話す時間を意図的に作る意識が芽生えます

分析プロンプト3:会話の感情トーンを分析する

会話全体の雰囲気はどうだったでしょうか?ポジティブな雰囲気か、それともネガティブな要素はなかったか、Geminiに判定してもらいます。

# 命令書

あなたはプロの感情分析AIです。

以下の会話ログ全体を通して、会話のトーンが「ポジティブ」「ネガティブ」「ニュートラル」のどれに分類されるかを判定してください。

 

# 制約条件

・全体的なトーンを判定し、その理由を会話の中から具体的な発言を引用して説明してください。

・特にポジティブな感情が表れている発言と、ネガティブな感情が読み取れる発言をそれぞれ3つずつ抜き出してください。

なぜこの分析が必要なのか?

会話の「空気感」や「心理的安全性」を客観的に評価するためです。もしネガティブな発言が多ければ、その原因を探るきっかけになります。逆にポジティブな発言を認識することで、相手のモチベーションの源泉を知るヒントにもなります

分析プロンプト4:自身のトークの改善点を指摘してもらう

いよいよ核心です。自分自身の話し方について、AIコーチからフィードバックをもらいましょう。

# 命令書

あなたは優秀なコミュニケーションコーチです。

私は(あなたの名前)です。以下の会話ログにおける私の発言のみを分析し、より良いコミュニケーションのための具体的な改善点を3つ提案してください。

 

# 制約条件

・改善点は、具体的な発言を引用しながら指摘してください。

・「なぜそれが改善点なのか」「どうすれば良くなるのか」という観点で、分かりやすく説明してください。

・良かった点も1つ挙げ、今後のコミュニケーションで活かすべきポイントとして示してください。

なぜこの分析が必要なのか?

自分では気づきにくい「無意識の癖」を発見するためです。例えば、「相槌が単調」「質問が詰問調になっている」「専門用語を使いすぎている」など、第三者(AI)からの客観的な指摘は、成長の大きなきっかけとなります。

分析プロンプト5:会話の癖(口癖)を見つける

最後に、つい使ってしまいがちな「口癖」を洗い出します。

# 命令書

あなたは言語分析AIです。

以下の会話ログの中から、(あなたの名前)が頻繁に使用している口癖やフィラー(「えーっと」「あのー」「なんか」など)をリストアップしてください。

 

# 制約条件

・出現回数が多い順に5つ挙げてください。

・それぞれの口癖が、相手にどのような印象を与える可能性があるかを簡潔に述べてください。

なぜこの分析が必要なのか?

口癖は、時に自信のなさや話の冗長さを感じさせてしまうことがあります。自分の癖を認識することが、よりクリアで説得力のある話し方への第一歩です。

3.Gemini分析で私自身が得た「衝撃的な気づき」

実際にこの分析をやってみて、私自身も多くの発見がありました。

  • 相手の関心事にフォーカスできた: あるプロジェクトの話をしているつもりでしたが、分析結果では、相手は「今後のキャリア」に関する発言を多くしていました。次回の1on1では、キャリアの話を軸に据えることで、より深い対話ができました。
  • 自分の「聞き下手」を自覚: 発言バランスは「私:70%、相手:30%」。ショックでしたが、事実として受け止め、次回から「質問をしたら、相手が話し終わるまで沈黙する」ことを徹底しました。
  • 「なるほどですね」の乱用: 私の口癖は「なるほどですね」でした。Geminiの指摘は「同意を示しているが、多用すると議論を深める機会を失っている可能性がある」。以来、同意だけでなく「それは具体的にどういうことですか?」と深掘りする質問を意識しています。
  • 次回の準備が楽になった: 分析結果があることで、次回の1on1で確認すべきこと、深掘りすべきことが明確になり、準備の質と効率が格段に上がりました。

このように、Geminiは単なる要約ツールではなく、客観的な視点で自分を映し出してくれる「鏡」のような存在です。これまで自分一人では難しかった内省を、的確にサポートしてくれます。

【比較】目的別!どのGeminiを使えばいい?

Google Workspaceには、いくつかのGeminiの利用方法があります。私の個人的な使い分けを表にまとめました。

ツール名

特徴

こんなシーンにおすすめ

Google ドキュメント サイドパネル Gemini

・ドキュメントを開きながら利用できる

・手軽でスピーディー

・今回紹介したような、ドキュメント内容の即時分析

・思いついた分析をすぐに試したい時

Gemini アプリ (gemini.google.com)

・最新の高性能モデルを選択できる

・より長く複雑なプロンプトに対応

・より高度で多角的な分析をしたい時

・複数の文字起こしデータをまとめて分析したい時

NotebookLM

・アップロードした資料(ソース)にのみ基づいて回答

・複数のソースを横断して分析可能

・過去の1on1議事録を複数読み込ませ、時系列での変化や傾向を分析したい時

・特定のプロジェクトに関する議事録だけを集めて分析したい時

まずは手軽なサイドパネルから始め、より深い分析をしたくなったらGeminiアプリやNotebookLMを試してみるのがおすすめです。

4.AIは「敵」ではなく、最高の「壁打ち相手」

今回は、Google Meetの文字起こしとGeminiを使った1on1の分析方法をご紹介しました。

ポイント1: Meetの文字起こし機能で、客観的な会話データ(一次情報)を確保する。

ポイント2: 具体的なプロンプトを使い、Geminiに多角的な分析を依頼する。

ポイント3: 分析結果は「客観的な事実」として受け止め、次のアクションにつなげる。

このような使い方には、「AIに監視されているようで気持ち悪い」といった意見など、賛否両論あるかもしれません。しかし、私はこの技術を「自分自身を成長させてくれる、最高の壁打ち相手」だと捉えています。

人から直接フィードバックをもらうのは勇気がいりますが、AI相手なら何度でも、気兼ねなく試すことができます。そして、この分析を継続することで、自分自身の成長だけでなく、相手の小さな変化にも気づけるようになるはずです。

まずは一度、騙されたと思って試してみてください。きっと、あなたの1on1、そしてコミュニケーション全体に、ポジティブな変化が訪れるはずです。やってみよう、から始まるInformation Technology。その一歩を、この記事が後押しできれば幸いです。

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