【Google GenAI】 Agentspace はここまでできる! カスタムエージェントを使ったデータ分析・可視化の具体例

2025年8月4日掲載

システムエンジニアの成瀬です。

日々刻々と進化を続けているAIやクラウドサービスを検証したり、AIを活用したアプリケーションを作ったりしています。

AIの業務活用が進む中、柔軟にカスタマイズできるアシスタント機能への関心が高まっています。

この記事では、Agentspace Enterprise Plus ライセンスで利用可能な「カスタムエージェント」の実例を紹介します。これは、ユーザー自身が目的や業務フローに合わせて、AIアシスタントの動作や振る舞いを自由に設計・構築できる強力な機能であり、従来の画一的なチャットボットやFAQシステムとは一線を画します。

  • この記事では、Agentspace の強力なアシスタント機能の一つである、カスタムエージェントの利用例を紹介します。
  • 本稿で紹介するアシスタント機能は「Agentspace Enterprise Plus」ライセンスで利用可能です。

目次

はじめに

Agentspace で利用できるカスタムエージェントの作成方法はいくつかありますが、今回は Python ADK ( Agent Development Kit ) で作成したAIエージェントを利用します。

Agentspace でカスタムエージェントを利用する流れは以下の通りです。

  1. AIエージェントを作成する(今回は Python ADK )
  2. 作成したAIエージェントを Vertex AI Agent Engine にデプロイする
  3. Agent Engine にデプロイした AIエージェントを Agentspace のアシスタントとして登録する

今回は Github で公開されている ADK のサンプル集の中から、 データサイエンス マルチエージェントを利用させていただきました。

本記事では、既にAgent Engine にデプロイ済みのAIエージェントを Agentspace に登録するところ(3番目の手順)から、自然言語で BigQuery のデータセットを照会・可視化するところまでを試してみます。

AIエージェントの構成

data-science は、データ分析のためのマルチエージェントシステムで、以下のコンポーネントから構成されています

  • ルートエージェント
    ルートエージェント(TopLevelDataAgent)は全体を統括し、ユーザーのクエリを適切なサブエージェントに振り分けます。
  • 3つの専門サブエージェント
    • アナリティクスエージェント(DataScienceAgent)
      自然言語をPythonコードに変換(NL2Py)
      データ分析・可視化を担当
    • データベースエージェント(DatabaseAgent)
      自然言語をSQLに変換(NL2SQL)
      BigQueryからデータを取得
    • BQMLエージェント(BigQueryMLAgent)
      BigQuery MLでの機械学習モデル作成・管理

また、データベースエージェントが参照するテーブルは、サンプルと同様に以下の「ステッカー売上予測」データセットを使用しています。

Walter Reade and Elizabeth Park. Forecasting Sticker Sales.  2025. Kaggle.

利用手順

ここからは、既にAgent Engine にデプロイ済みのAIエージェントを Agentspace に登録するところから、自然言語で BigQuery のデータセットを照会・可視化するところまでを試していきます。

1. Agentspace アプリの作成

1. 「アプリを作成する」をクリックします。

2. 「作成するアプリの種類」で「Agentspace (プレビュー)」内の「作成」をクリックします。

3. 構成で、「アプリ名」、「会社名」をそれぞれ入力して、「続行」をクリックします。

4. データストアの作成はスキップして。「作成」をクリックします。

5. 作成されたアプリのメニューから「構成」を選択します。

6. 構成するライセンスティアから「Agentspace Enterprise Plus」を選択します。

7. 「アシスタント」タブをクリックします。

8. 下にスクロールして、「エージェント」の「項目を追加」をクリックします。

9. 「新しいエージェント」の「エージェント」に Agent Engine のデプロイ名 (※1) を入力します。

10. 「エージェントの表示名」、「手順」を入力します。

※1 Agent Engine にデプロイしたエージェントの名前

11. 「Save and publish」をクリックします。

2. カスタムエージェントの呼び出し

1. メニューから「統合」を選択します。

2. 「ウェブアプリへのリンク」で「Copy」をクリックします。

3. ブラウザーで新しいタブを開いて、コピーしたリンクにアクセスします。

4. 「エージェント」メニューから「データサイエンス」を選択します。

英語ではありますが、対応できることについての説明が出力されました。

ここからは、サンプルの例の通りに質問していきます。

5. はじめに以下の質問をしてみます。

「こんにちは、どのようなデータにアクセスできますか?」

アクセス可能なデータセットの説明が返ってきました。

6. 続いて、以下の質問をしてみます。

「train テーブルについてもっと詳しく知りたいです。どの国が対象ですか?店舗数はいくつですか?」

テーブルに含まれる国とそれぞれの店舗数が返ってきました。いずれも正しい内容です。

7. 続いて、以下の質問をしてみます。

「国別の総売上高を示すグラフを生成してください。」

国別の総販売数を表す棒グラフが表示されました。

以上です。

おわりに

これまで、Agentspace で検索以外に何ができるかよくわからないと感じていた方も、実現できることの具体例が見えてくると、利用シーンのイメージが湧いてきたのではないでしょうか?

例えば、これまで人手と時間がかかっていた、以下のような一連の業務プロセスを想像してみてください。

  • リアルタイム売上分析と予測

    データベース・エージェントがリアルタイムの売上データを集計・分析し、BQMLエージェントが将来の数値を予測します。

  • 市場動向を踏まえた施策の提案

    予測結果と、DeepResearchの市場動向分析を組み合わせ、Geminiを搭載したエージェントが効果的な販売促進策を複数提案します。

  • 施策効果のシミュレーション

    提案された施策を実行した場合の売上への影響(インパクト)をシミュレーションし、具体的な予測値を提示します。

  • データに基づく意思決定支援

    シミュレーション結果を基に、人間は「どの施策を実行するか」「既存の施策を変更・中止するか」といった、より高度で戦略的な意思決定に集中できます。

このように、Agentspace上のエージェントに指示を出すだけで、データ分析から施策立案、効果予測といったPDCAサイクルを高速で回すことが可能になるのです。

ADK は わかりやすく使いやすいフレームワークだと思いますが、コーディングの経験がない方にはハードルが高いかもしれません。

しかし、安心してください。ノーコードでエージェントを作成できる、「Agent Designer」 もまもなく登場予定です。

これにより、カスタムエージェント作成の敷居はさらに低くなり、Agentspace でのエージェント活用がますます身近になるでしょう。

Agentspace から指示を出すだけで、エージェント同士が連携してタスクを遂行する。そんな日常風景はもう目前です。

これからの AI エージェントを取り巻く環境と、Agentspace の 進化に期待しましょう!

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特に、社内データの横断的な検索や要約、メール送信・カレンダー連携といった 業務フローの自動化に関する具体的なユースケースをご紹介します。

ご来場の皆さまには、AI エージェントを業務に活用するための実践的なヒントをお届けできればと考えています。
ぜひ、ソフトバンクブースへお立ち寄りください!

 

Google Cloud Next Tokyo '25

日時:2025年8月5日(火) ~ 8月6日(水) 10:00~17:30(展示ブースは 11:30 開始)

会場:東京ビッグサイト 南展示棟

参加費:無料(事前登録制)

登録サイトGoogle Cloud Next 公式サイト

登録コード: NT25_pt031

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出典元:Google Cloud Next Tokyo スポンサーセッション

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