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ソフトバンク CIOの牧園です。
今回のブログでは、「組織設計」と「アーキテクチャー」の関係性に焦点を当ててみます。
建築にも、ITにも、そして組織にも「アーキテクチャー」が存在します。
それは単なる構造や設計図ではなく、人の意図を形にする”秩序”だと考えています。
建築家が空間を設計するように、企業にも目的を実現するための構造があります。
その構造がうまく機能するとき、私たちはそこに「美しさ」を感じます。
無駄がなく、整合性があり、流れが滞らない組織には、よく設計された建築やシステムのような機能美があります。
『チームトポロジー(Team Topologies)』(マシュー・スケルトン、マニュエル・パイス 著)は、その本質を強く感じさせてくれる一冊です。
この本は「組織とアーキテクチャをどう整合させるか」というテーマに、真正面から向き合っています。
会社には、いわゆる“レガシーシステム”と呼ばれる、過去の構造が色濃く残るシステムがあります。
それらは、当時の組織構造をそのまま写し取った鏡のように感じられることがあります。
「チームトポロジー」で紹介されている「コンウェイの法則」は、この現象を的確に言い当てています。
「システムの構造は、その組織のコミュニケーション構造を反映する」
つまり、理想のアーキテクチャーを描くのと同時に、
その理想を実装できる組織そのものを描く必要があるということです。
組織は、アーキテクチャーの「結果」ではなく、理想の構造を描くための道具であると言えます。
他組織の成功事例を参考にすることは大切です。ですが、そのまま模倣してうまくいくほど、組織は単純にはできていません。
企業ごとに文化も、背景も、顧客特性も異なります。
ある組織で正解だった設計が、別の組織では逆効果になることもあります。
アーキテクチャーは“借りてくるもの”ではなく、
自分たちの目的と文脈から描き直す“設計行為”そのものです。
“設計行為”としての、「描き直しのプロセス」では、しばしば「理想」と「現実」のギャップに苦しむことがあります。ですが、それは悪いことではありません。
「現実」には、企業がこれまで培ってきた強みや、長い時間をかけて積み上げてきた価値といった「美点」が含まれています。
「理想」を掲げながら、「現実」の美点を生かし、再構築していくこと。
それこそが、アーキテクチャーを“活かす”という知恵になると考えています。
美しいアーキテクチャーが、美しい組織を描く。
ただし、その「美しさ」は、ときに幻想でもあります。
理想はいつも魅力的で、まっすぐで、完璧に見えるものです。
しかし建築と同じように、組織もまた、環境や歴史、文化から切り離されて存在することはできません。
今の組織の姿は、過去の誰かが本気で目指した理想の結晶でもあります。
そこには時間をかけて育まれた強さ、人の意思、そして文化があります。
文化は変えられます。
ただしそれは、仕組みを変えるよりもはるかに難しく、時間と覚悟を必要とします。
なぜなら向き合うのは“人の心”だからです。
だからこそ――
この両方を理解しながら進むことこそが、
私たちのアーキテクチャ設計そのものなのだと思っています。
正解があるわけでも、完璧な設計があるわけでもありません。
それでも、描き続けること・試行錯誤し続けることそのものに価値があるのだと思っています。
これからも、理想と現実の間に橋をかけながら、組織のアーキテクチャを描き直し続けていきます。
皆さまからのご意見や応援も、引き続きいただければ嬉しいです。
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