株式会社ブルックリン様 サキミル導入事例

2024.08 
AI需要予測サービス「サキミル」の導入で
パンの廃棄・販売機会ロス、残業時間を削減

株式会社ブルックリン

お客さま
株式会社ブルックリン

従業員規模
1〜100人

業種
小売

導入サービス
サキミル

概要

カレーパングランプリで3年連続金賞を受賞している株式会社ブルックリン(以下、ブルックリン)は、新潟県長岡市と上越市に2店舗を展開するベーカリーです。同社は、パンの需要予測を製造リーダーの経験と勘に依存していましたが精度のブレが大きく、パンの廃棄ロスに繋がっていることが課題でした。そこで、店舗・人流・気象データを元にAIで需要を予測するサービス「サキミル」を導入しました。データに基づいた需要予測を導入することで、廃棄ロスと販売機会ロス削減に加え、残業時間や人件費の削減を進めています。

導入前の課題

製造リーダーの経験と勘に基づく需要予測をしていたため精度のブレが大きく、廃棄ロスや販売機会ロスに繋がっていた。

導入後の効果

店舗・人流・気象データを活用したAI需要予測サービス「サキミル」を導入した結果、廃棄ロスと販売機会ロスを大幅に削減できた。

導入前の課題

何が何個売れるか、どのくらいお客さまが来るかが分からないため、最適な人員配置ができず、無駄な労働時間が発生していた。

導入後の効果

「サキミル」によってあらかじめ作る個数や来店客数が予測できることで、製造スタッフ、販売スタッフともに人員配置の調整ができ、残業時間削減につながった。


目次


ベーカリー業界が直面している課題

 パンの製造販売を行うベーカリー業界やケーキを製造する洋菓子業界は、それぞれ同じ悩みを持っているとブルックリンの代表取締役社長 長谷川氏は語ります。

「その日に焼いたものや作ったものは、その日のうちに売り切らなければいけないんです。そして、残ったものを全部廃棄しなければなりません。そのため、あらかじめ売り上げを予測して作ることになるのですが、人の頭だけで予測したものだとどうしても外れてしまうことが多いという課題を抱えていました。何が何個売れるか、どのくらいお客さまが来るかが、あらかじめ分かっていれば、それに合わせて製造することができるため、業務の効率化がかなり図れ、長時間労働も削減することができます。また、製造の面だけでなく販売スタッフの面でも、例えば1日100万円の売上予測をしているか、80万円の売上予測をしているかで、人員をどれくらい配置するか変わってきます。あらかじめ80万くらいしか来ないと予測ができる場合には、スタッフ配置を1人減らすことができます。アルバイトを1人減らした場合、大体5,000円から8,000円くらい、一日当たりの人件費を減らせることになります」(長谷川氏) 

 これまでは、製造リーダーの経験と勘のみに頼った売上予測をしていたと長谷川氏はいいます。そのため、予測に1%の誤差があるとパンを1日30個廃棄することになり、10%ほどずれてしまった場合には、300個も廃棄していたそうです。そういう点でAIを活用して精度の高い予測ができればうれしいと考えていたと続けます。

「朝7時オープンの直前に朝礼を行い、今日は何万円くらいの売り上げとなるだろうから、その分作ってくださいねと製造のメンバーにお伝えするのですが、それが大外れすることもあって。材料費もそうですし、それを作った分の人件費もかなりロスになってしまうので、そういう点では勘に頼るのは非常に難しいです」(長谷川氏)

 経験年数によっても予測の精度が変わるものなのかもうかがってみました。

「私はまだパン業界に10年くらいしかいないのですが、パン業界に40年くらいいる父でも大外れすることがあるので、やっぱり経験とか勘だけだとお客さまの予測をするのは難しいですね。また、自分が思っていた以上にお客さんがいらっしゃって、18時閉店なのに17時くらいにパンがなくなってしまって閉店せざるを得ないこともあるんです」(長谷川氏)

 製造リーダーとして常に現場に立つ丸田氏もこう語ります。

「外の気温や天気でお客さまの入りが変わったり、お店周辺の美術館や建物でイベントが催されていると人の出入りも多くなったりするので、そういったもので判断していました。本当に勘なので大変でした」(丸田氏)

AI需要予測サービス「サキミル」導入までの経緯

 ブルックリンでは、2年ほど前に日経新聞に掲載されていた記事を見て、AI需要予測サービス「サキミル」を初めて知ったといいます。精度の高い売上予測をするためにAIを活用したサービスがないか探していたタイミングだったので、記事を見て、すぐに問い合わせしたものの、当時は最低30店舗以上の店舗を持つ企業向けのAPI連携版「サキミル」しかなく、いったんは導入を諦めたそうです。

「当初、ソフトバンクさんの『サキミル』は条件的に導入できないことが分かり、ほかにAIを使った売上予測サービスがないかいろいろ検索して導入したこともあります。しかし、実際の売り上げと予測との乖離率が20%にもなることが結構頻繁にあったので、これは全然ダメだと思って3カ月で解約しました」(長谷川氏)

 その後、システム連携が不要で、1店舗からでも導入が可能なWebダッシュボード版の「サキミル」がリリースされたというメルマガを見て再度問い合わせし、2024年2月から5月までトライアルを実施したのち、6月より本格導入を決めたといいます。

※ API(Application Programming Interface):異なるソフトウエアやプログラム間で連携し、外部からのデータ取得や機能利用などを可能にする仕組みのこと

「サキミル」導入の決め手

 「サキミル」の導入を最終的に判断した決め手についてもうかがいました。

「予測が完全に一致することもあり、他社製品に比べ、精度が高いと感じたからです。また、こうしたAIの売上予測サービスを提供するにはかなり投資が必要だと思ってます。小さなベンチャー企業ではシステム開発も難しいと思っているので、そういう点ではソフトバンクさんのように資本がしっかりとしてるところの方が安心できると思っています。その点で、僕はソフトバンクさんに賭けています。また、提案やアフターフォローについてもとても手厚くやってくださったので、文句なく素晴らしいと考えています」(長谷川氏)

 20代から30代の比較的若いスタッフが多く在籍している同社で、独断で導入を決めたという長谷川氏。社員からの反対意見がなかったかをうかがうと、「また社長が面白いことをはじめた」と何か新しいことをはじめるときにも前向きに受け入れてくれる雰囲気なので、積極的にAI活用を進めることができたといいます。

店舗での「サキミル」の活用の仕方

 ブルックリンでの日々の「サキミル」の活用の仕方を長谷川氏は次のように語ります。

「朝4時から5時ごろに、私が『サキミル』の今日の予測を確認し、経験も踏まえた上で7時のオープン前の朝礼でスタッフに売上見込みを伝え、それに合わせて準備をしてもらっています。ただ、『サキミル』の当日の正確な情報は9時に更新されるため、9時になった時点でもう一度予測数を確認し、朝の予測との差分があるかを確認しています。予測があっていたかどうかを確かめるためには、18時の閉店後に販売スタッフがその日の来店客数をタブレットに入力しています」(長谷川氏)

 また、スタッフの間での使い勝手について丸田氏にうかがいました。

「PCではなく使い慣れていないタブレットで使用していることもあり、最初は、分かりにくい部分もありましたが、何度か使うことで問題なくなりました」(丸田氏)

売上予測に「サキミル」を導入したことによる効果

 トライアル期間の実績としては、予測精度が3%上がり、最大2,700個/月の廃棄量削減が見込めるようになったといいます。また需要予測の精度が上がることで、作らなければならないパンの量に合わせてシフトを調整したり残業時間の削減ができ、人件費の削減も見込めるようになっているといいます。なお、予測精度が落ちた日についてはソフトバンクと連携してチューニングしながらより精度を高めるようにしているそうです。

「『サキミル』によるAI予測と製造リーダー陣の勘と経験を踏まえることができるようになり、実際目に見えて起こっているのは廃棄ロスの削減です。昔は1日に200個、300個と残ってしまい、どうしようという状態でしたが、最近は残っても100個以内に収まっており、大量に余ることがなくなりました。もう1つはその逆で、販売機会ロスの削減です。パンが売り切れてしまって早く閉店しなければならないことが昔は月に3日くらいありましたが、今は1日あるかないかという状態になってきています。残業時間についてもいろいろな要素がありますが減っています」(長谷川氏)

 また「サキミル」を導入することでのスタッフの働く意識などの変化についてもうかがいました。

「AIが予想したのを見て、『ちょっと違うんじゃないか』『どうしてこうなるんだろう』と考えるきっかけになることもあります。そのときに何か確信できるものがあれば、自分たちの勘を信じて調整しますし、結果的にそれが当たっていたときは良かったなと思います。AIに負けないぞっていう気持ちもあります」(丸田氏)

「そうですね。ほんとにAIの予測よりもよいものにするぞという気持ちは、製造リーダー陣からすごく伝わってきます。ただ、そうはいってもやはり製造リーダー陣の経験や勘で成り立っている状態はあまりよくないので。例えば誰かが新しいリーダーに昇格したときに、その人の勘がズレてしまうようではまずいので、AI予測というツールが1つあるだけで変わってくるかなと考えています」(長谷川氏)

タブレットに入っている「サキミル」で予測数を確認する長谷川氏と丸田氏

タブレットに入っている「サキミル」で予測数を確認する長谷川氏と丸田氏

全国のベーカリー業界を救うために

 最後に今後の展望についてうかがいました。

「うちは2店舗あるので、予測の精度が乖離率5%以内で継続的にできるようになったら、今導入している本店に加えて、もう1店舗にも広げていきたいなと考えています。あともう1つ、これはベーカリー業界全体の話になるのですが、やはりフードロスと長時間労働というのが非常に問題になっている業界なので、ほかのベーカリーの社長さんたちにも『サキミル』は本当に当たるので、ぜひ導入した方がいいですよと、これまで以上に伝えていきたいなと考えています」(長谷川氏)

 自身の店舗がモデルケースとなり、上記課題解決に向けたAI活用をさらに進めていくことで、日本全国のパン・洋菓子店を救いたいという思いを持つブルックリン。その取り組みは、これからもさらに続いていきます。

本事例での導入サービス

AI需要予測サービス「サキミル」

店舗データ・商圏の人流データ・気象データを活用し、来店客数をAIで予測。店舗の効率的なオペレーションを実現します。

お問い合わせ

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