アルフレッサ株式会社様 生成AIパッケージ導入事例

2024.10
社内データをAIと連携させ、
年間約6,000時間の生産性向上に成功

アルフレッサ株式会社

お客さま
アルフレッサ株式会社

従業員規模
5,001人以上

業種
医療・福祉

導入サービス
生成AIパッケージ

概要

人々の健康や生命の維持に欠かせない、医療用医薬品、医療機器、診断薬や栄養食品の卸売業を手掛けるアルフレッサ株式会社。医療分野における日進月歩の変化に対応しつつ、人々が自分らしい暮らしを当たり前に享受できる日常を追求し、医療現場における包括的なサービスを提供しています。そんな同社では、かねてよりBPR(業務改革)に積極的に取り組んでおり、2023年には生成AIの導入をいちはやく検討。Azure OpenAI Service をセキュアな環境で利用できる「生成AIパッケージ」を導入し、生成AIをさまざまな社内データと連携することで問い合わせ業務の工数削減やアウトプットの品質向上において、大きな成果を上げています。

導入前の課題

 

社内の問い合わせ業務に年間約35,000時間が費やされており、業務を効率化する方法を探していた。

導入後の効果

社内データと連携させた独自のAIアシスタントを構築。活用することで年間約1,550時間の問い合わせ対応業務を削減。アウトプットの品質向上効果と合わせて年間約6,000時間の生産性向上にも繋がった。

生産性向上効果
年間約6,000時間


目次


アルフレッサ株式会社 寺野 準也 氏

「生成AIを社内データと連携させることで、問い合わせ対応業務を年間約1,550時間削減、品質向上効果と合わせて年間約6,000時間の生産性向上を実現しました」

アルフレッサ株式会社 コーポレート本部 経営管理部 経営管理グループ 寺野 準也 氏 

アルフレッサ株式会社の事業について

 最初に同社の主な事業内容について伺いました。

「アルフレッサ株式会社は、アルフレッサ ホールディングス株式会社の傘下で、医療用医薬品等の卸売事業を展開している会社です。製薬企業様から医療用医薬品を仕入れ、医療機関様に提供するとともに、医療機器や検査試薬の取り扱いも行っています。同業他社との差別化が難しい業界でありますが、当社では流通領域に加え、製薬企業様、医療機関様向けのサービスを展開するソリューション領域にも昨今力を入れています」(武藤氏)

 日頃の業務ではどんな取り組みをしているのでしょうか。

「私は経営管理部・経営管理グループのグループ長として会社の目標達成に向けた経営活動の調整や、リソースの管理を担っています。また、経営層の意思決定を現場へ確実に伝達する役割を担い、会議体や取締役会の運営をしています。ほかにもBPR(業務改革)の推進や、社内で使用する機器の管理等、日常の業務は多岐にわたります。今回の生成AIパッケージ導入に際してはプロジェクト責任者として携わりました」(武藤氏)

「同じく経営管理グループにて、経営管理、生産性を上げるためのBPRプロジェクトにおける推進が主な業務です。今回の生成AIパッケージの導入にプロジェクトリーダーとして携わり、効果検証や社内の利用促進を行っています」(寺野氏)

サービス導入前の状況について

 サービス導入のきっかけとなった課題は何だったのでしょうか。

「弊社は4年ほど前に、ソフトバンクさんのご支援を受けてスタートしたBPRを継続しており、効率化により生まれた時間を、より高付加価値業務にワークシフトしていくことに重点をおいて活動しています。その中で、社内でどんな業務に工数がかかっているか調査したところ、会社全体で社内の問い合わせ業務に年間約35,000時間が費やされている事が判明したため、この課題を解決することを検討し始めました」(寺野氏)

「問い合わせ内容は部署ごとにさまざまなのですが、まずは社内規程の情報で一定の問い合わせに対応できることが分かりました。例えばお子さんが生まれた際の人事関連の手続きなど、社員が『今すぐに知りたい』という状況のものは電話での問い合わせが多く、対応に時間が取られていました」(武藤氏)

 問い合わせ対応にかかる時間を減らすために、さまざまな方法を検討していたと寺野氏は続けます。

「問い合わせ業務の対応にチャットボットも検討しましたが、生成AIが登場する前のチャットボットは既存の資料が回答データとして使える範囲も限られており、シナリオの準備と合わせて事前準備の工数がネックと感じていました。また、部署固有の質問に回答するためには業務に関する専門的な知識を要するため、部署ごとにチャットボットを作成してしまい、業務ごとにツールが多数存在してしまうことも懸念としてありました」(寺野氏)

生成AIパッケージ 導入までのプロセス

 「生成AIパッケージ」の導入はどのようにして進められたのでしょうか。

「問い合わせ業務に対応するサービスを検討していく中で、2022年11月にChatGPTが公開され、注目を集めていました。弊社でも『問い合わせ業務にはまる!』と直感し、2023年の4月よりプロジェクト体制で生成AIの検討を始め、複数の会社にRFPを依頼する中、長年お付き合いのあるソフトバンクさんにも相談したところ、今回の構想の条件に合う生成AIパッケージを紹介いただきました」(寺野氏)

 決め手はなんだったんでしょうか?

「今回は『社内問い合わせ業務の効率化』と言う明確な目的があったので、社内情報にアクセスする必要がありました。そのため、クローズドで堅牢なセキュリティ環境であることを重要視しており、生成AIパッケージはセキュアな環境でAzure OpenAI Service を利用できるので、当社が求める条件に合致していました。またグループウェアに Microsoft 365 を利用しているため、Azure OpenAI Service との親和性が高い部分もふさわしいと感じましたし、長期的な課題への取り組みにおける、ソフトバンクさんの伴走体制も魅力的でした。そして進化のスピードが凄まじいAIの分野において強力にご支援いただけるという、AIの領域にかけるソフトバンクさんの圧倒的な熱量が最後の決め手でした」(寺野氏)

社内データと連携し構築したAIアシスタントについて

 社内のノウハウを生かした問い合わせ業務を効率化するため、同社では9カ月ほどの期間をかけて生成AIパッケージを利用した独自のAIアシスタントを構築したと言います。

「今回我々が構築したAIアシスタントは、『Owl-One(以下、オールワン)』と呼んでいます。文章を要約したり質問に対しアイデアを創出する一般的な使い方ができるほか、RAGを使って社内データと連携をさせているので、社内情報に関する質問があったら、社内文書を参照し、適切な回答をすることが可能です。文書の要約や新しいアイデア出し、一般的な情報の集約など、従来のChatGPTのような使い方はもちろんのこと、社内に関する質問にも答えられることが特長です」(寺野氏)

※RAG(Retrieval-Augmented Generation)は「検索拡張生成」と訳され、大規模言語モデル(LLM)によるテキスト生成に外部情報の検索を組み合わせることで、回答精度を向上させる技術を指す

 具体的にどんなファイルを取り込むことで、どのようにアシストしてくれるのでしょうか。

「まずは社内規程や操作マニュアル等のファイルを取り込みました。社内データはPDFや Microsoft Excel、Microsoft Word など、さまざまなファイル形式で存在していますが、それらを横断的に参照して適切な回答を返します。例えば『テレワークをしたいんだけど、条件を教えて』と質問すると、テレワークを実施するのに必要な条件を回答してくれます」(寺野氏)

社内のユーザー定着のために行ったこと

 社内での利用率の定着に向けて、工夫している点があれば教えてください。

「まずは社内の認知を上げることに取り組みました。オールワンがどれだけ認知されているかが、定着していく上で重要ですので、ガイドラインの展開やeラーニングにより、アプリケーションの存在を知ってもらうことに注力しました。またユーザー側にもリテラシーが必要ですので、注意事項を明確に示し、社員全員が存在を知り、安全に使える環境を整えました。

 ほかに利用率を増やす仕組みとしては、社内ポータルの目立つ部分にオールワンのアイコンを置いて、すぐにアクセスできる環境を作っていますし、はじめてログインする際にはチュートリアルが立ち上がり、手を動かしながら操作方法を学んでもらえるようにしています。またオールワン自体にも利用ガイドラインを読みこませているので、操作方法や利用ルール等をいつでも質問することができます。慣れない利用者にも『難しくてできない』と思われないような仕組み作りを意識しています」(寺野氏)

「プロンプト入力の手間を省くために、主要なプロンプトを事前に用意することも工夫したポイントです。もちろん個人用のプロンプトをカスタム登録することもできます」(武藤氏)

導入効果やユーザーの声について

 導入の際に意識していたポイントや、ユーザーの満足度はいかがでしょうか。

「生成AIを導入するにあたって、社内の問い合わせに対するリソース削減だけでなく、企画・提案・アイデア出し・意思決定等の定性的な業務のアウトプットの質を上げることも目的としていました」(武藤氏)

「2024年4月にオールワンを展開し、8月末の調査では約2,300名が利用している状況です。全社員の中で利用ターゲットとなるのは約4,300人と捉えているので、半数以上の方は一度利用したことがある状況です。その中のアクティブユーザーで言うと、1,200名ほどが日々の業務に使っています。約6割の問題がオールワンの回答で解決しており、ユーザーの満足度調査でも約7割は好意的な評価でした。ユーザーに具体的な利用シーンを尋ねてみると、文章校正で利用しているケースが多いようです。営業部門では顧客と会う前の交渉ノウハウや相談といった使い方をしていることもあるようです」(寺野氏)

 どのくらいの生産性向上の効果がでたのでしょうか?

「まだ開始間もない部分もありますが、社内問い合わせで削減できた時間は年間約1,550時間になると推定しています。また、アウトプットの質を上げる部分の効果もあわせると、生産性の向上と言う効果では年間6,000時間ほどを見込んでいます。今後はターゲット層に対し個別にアプローチすることで利用率をあげ、AIの解決率もあがっていけば、より一層の効果が見込めると期待しています」(寺野氏)

 直近で課題に感じていることはありますか?

「定着率を上げることは引き続き課題です。残り半数の人にも使ってもらうためには、Web上や遠隔・オンライン発信だけでは伝えづらい部分があるので、Face to Faceで行うことも実践していきたいと考えています。今年の4月には新入社員向けに対面での研修を行い、オフライン研修は定着化に一定の効果があることが分かりました。あとは、どれだけの機能を今後オールワンに持たせるかも、効果検証していきたいと思います」(寺野氏)

アルフレッサ株式会社様 生成AIパッケージ導入事例

オールワンの社内展開の取り組みについて語る武藤氏(左)と寺野氏(右)

ソフトバンクのサポート体制に対して

「長期のプロジェクト体制で、現在進行形で定例の会議も行っています。今回のように社内データの連携によるAIアシスタントを作ることは、他社に比べると比較的早い段階での取り組みであったため、両社間で手さぐりの部分もありましたが、大変丁寧にお付き合いをいただいています。そのおかげで細かいログが取れたり、チュートリアルの準備をサポートしていただけたりしました」(寺野氏)

「当初から、ソフトバンクさんの生成AIに対する熱量はとても印象的です。大変真摯にサポートいただけていると思います」(武藤氏)

生成AIに対する期待

 最後に、生成AIに関する期待や今後の取り組みについて伺いました。

「現在弊社では広報活動に力をいれており、世の中の人たちに、当社の取り組みや活動をうまく伝えていきたいという思いがあります。その活動においてもAIを活用しメッセージ性を高めていきたいですし、会社としてのAIの取り組みを伝えていきたいです。また、いまだ部署によってはアナログな文化が残っているので、AIの技術を活用し生産性を上げながら本来社員がやるべきこと、やりたいところに注力できる環境を整えていきたいです」(武藤氏)

「近々の目標としては、オールワンの定着化と、機能の高度化によって一層オールワンをより便利にしていく事です。また、今回は社内に向けたAI技術の適用ですが、今後は医療機関様や製薬企業等向けに展開しているサービスに、AIを組み合わせ、顧客が感じる価値、対外的な付加価値を高める取り組みを検討していきたいと思います」(寺野氏)

 文書要約や新規のアイデア出し、情報集約というような従来の生成AIの活用枠を超え、RAGを活用し社内独自のデータと連携することで生産性の向上を実現する同社。アルフレッサ株式会社のように業務効率を進めていくケースは今後さらに増えていきそうです。

お話を伺った方

アルフレッサ株式会社 武藤 博之 氏

アルフレッサ株式会社 コーポレート本部 経営管理部 
経営管理グループ長 武藤 博之 氏

アルフレッサ株式会社 寺野 準也 氏

アルフレッサ株式会社 コーポレート本部 経営管理部
経営管理グループ 寺野 準也氏

こちらから資料をダウンロードしていただけます。

本事例での導入サービス

生成AIパッケージ

セキュアなAzure OpenAI Service 等の生成AI環境をパッケージとして提供するサービスです。よりスムーズに生成AIの導入を実現することができます。

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