大分県内で店舗数が最も多い販売店としてトヨタ車の販売を行っているトヨタカローラ大分株式会社(以下、トヨタカローラ大分)。お客さまと近い距離感で地域に根ざしたサービスを提供している同社では、情報をデジタルで整備・管理せずにアナログな手段で扱っていたため業務効率が悪く、情報共有の方法にも課題認識をしていました。そこで Microsoft 365 を導入し、資料作成作業や報告業務の大幅な工数削減に成功。また、LINE WORKSを活用することで、個人アカウントを使って行われていたお客さまとのコミュニケーションをなくすことができ、カスタマーハラスメントのリスクがあった店舗スタッフにとって安心して働ける職場を作ることも実現できました。
「デジタルツールの導入から業務活用の定着化までを徹底したことで大幅な工数削減ができました。また、店舗スタッフが安心できる職場環境を作ることもできました」
トヨタカローラ大分株式会社
WEBシステムグループ グループリーダー 柴田 智彦 氏
モビリティーを通じて「移動や生活」の新たな喜びを広げ、大分県のノーマライゼーションに貢献するという経営理念のもとに、地域に根ざしたサービス提供をしているトヨタカローラ大分は、トヨタ車の販売を主な事業として、地域で最も愛される企業を目指しています。同社は、「みらい販売店プロジェクト」として人の力とデジタルのベストミックスによる新しいチャレンジを2023年に開始しており、全社一丸でデジタル化へ注力している中で情報共有の手段がデジタルで整備されていないことを課題として認識していました。
「会議資料を個々人で保有していたり、会議の参加者を人が直接声掛けして集めるなどアナログで無駄が多い状況でした。 特にチームで行うプロジェクトのメンバー間での情報共有や、経営層への報告に至ってはフォーマットが統一されていないなど、業務がデジタル化されていないことの非効率を実感していました」(小野氏)
情報共有する手段がデジタル化されていないことで、チームでの改善やプロジェクト推進が困難な状況になり、結果多くのプロジェクトが最後まで遂行されないことも多々あったそうです。そこで、情報共有を円滑にするツールが喫緊で必要であると同時に、会社本部にいなくても店舗で業務に取り組めるような環境づくりを検討していた柴田氏は、使用経験があり有効性を知っていた Microsoft 365 を自社の課題解決にも活用できると考え導入の検討・提案をされたそうです。
しかし、導入時には新しいデジタルツールが従業員に受け入れられるだろうかという懸念もあったと語ります。
「過去に導入していたツールが十分に活用されていなかったこともあり、慎重に進める必要がありました。従業員が新しいツールに抵抗を感じないよう、説明会や勉強会も開催しました。そこで実際にツールを触ってもらい、使い方をしっかり理解してもらうことで抵抗感が減らせたと思います。また、マニュアルを作成して操作方法を共有するなど、従業員が自分のペースで学べる環境も整えました」(柴田氏)
また、販売店としては別の課題もありました。
「店舗の営業スタッフは個人のLINEアカウントを使用してお客さまに連絡することもあり、個人のアカウントを使うことによるプライバシーの問題やカスタマーハラスメントのリスクに直面する場面もあったため、従業員が安心して働ける環境にしなければいけないと感じていました」(柴田氏)
そこで、お客さまとのコミュニケーションを公的なアカウントで行えるLINE WORKSを導入することになりました。導入の際には、それまで個人のアカウントで利用していたLINEと同様の操作感であることを店舗スタッフに説明し、実際に使ってその便利さを実感してもらうことでスムーズに移行を図れたそうです。
LINE WORKSの操作性を確認
リアルタイムなコミュニケーションを行うために、 Microsoft 365 の Teams を利用することで情報が整理され、業務の非効率が解消されたと言います。
「チーム内での情報共有がスムーズになりました。例えばチャットやファイル共有、ビデオ会議など多彩な機能を活用し、コミュニケーションが活発になりましたし、リモートで会議に参加できるようになったので、場所にとらわれず業務ができる環境が整いました。また、資料作成がクラウド上で共同編集できるようになり、以前は数日かかっていた資料作成がその日のうちに完成するようになったので、プロジェクトの遂行もスムーズになり、業務スピードが格段に上がりました。チーム全体で協力して業務を進められるようになったことがとても大きな成果だと感じています。 Microsoft 365 によって従業員が柔軟な働き方ができるようになり、業務効率アップにつながっています」(柴田氏)
また、LINE WORKSの導入によって、営業スタッフ間や店舗と本部間のコミュニケーションが改善されたそうです。
「情報伝達が早くなったことでお客さまへの対応も迅速になり、お客さま満足度の向上にもつながっています。また、個人のLINEアカウントを使用しないことで、従業員のプライバシー保護やカスタマーハラスメントの防止にもつながり、女性スタッフが安心して働ける環境が整いました。課題となっていた店舗での女性就業率の向上にもつながり、従業員のストレス軽減にも寄与しています」(柴田氏)
Microsoft365 を使って業務する様子
トヨタカローラ大分では、デジタルツールを導入して終わりではなく、「日常業務での活用・定着」までを目的として、新入社員および本部社員を対象に生成AIを題材としたITリテラシー研修を実施したそうです。具体的には、「Microsoft Copilot 活用推進施策」としてグループ会社とともに企画をし研修を実施されたとのこと。
「生成AIの基礎知識を学び、AIによる画像や音楽の生成方法をハンズオンで体験、その成果物を Microsoft Teams を使って納品させることで、ツールの操作や機能を易しく分かりやすく習得させることができました。Microsoft 365 製品や生成AIを活用することで自分たちの業務がどのようにIT化するかといったディスカッションも部門を超えて活発に行い、今後、自らの業務でどうAIを活用できるのかを検討する良い機会になりました。研修によって従業員のAI業務活用は浸透し、大幅な業務工数削減を見込んでいます」(柴田氏)
新入社員からはユニークなアイデアも生まれたそうです。
「『車とお客様の出会いをストーリーとして、Copilotで歌詞を作成、音楽生成AIでメロディを作成し、納車時にお客様にプレゼントしてみたい』という斬新な発想をもとに実際に動画制作をするなど、システムの導入成果だけでなく明るく楽しい職場づくりにもつながっています」(柴田氏)
Microsoft 365 と生成AIをうまく活用して多様な業務アイデアが生まれ始めています。
「これらがうまく進んだ理由として、林社長が自由にカイゼンを推進できる雰囲気づくりや権限の移譲をしていることがあげられます。こうした土壌によって私たち従業員は迅速な環境変化に対応できています」(柴田氏)
研修の様子。本田常務取締役も参加。
デジタルツールの導入によって情報共有を円滑にして業務効率化を進め、さらには社員教育にも活用して会社全体を盛り上げることにも成功している同社。今後はデジタル技術を活用して、お客さまに新たな価値を提供していきたいと意気込みを語ってくれました。
「今後は、Microsoft 365 やLINE WORKSの活用範囲を広げ、さらなる業務効率化と働きやすい環境の実現を目指していきます。具体的には、AIツールの評価・導入を進め、業務の自動化や『デジタルヤメカエ※』を推進していきたいと考えています。人が人にしかできない業務に集中できる環境を整え、お客さまにより良いサービスを提供していく。また、地域貢献活動や、人の力とデジタルのベストミックスによる新しいチャレンジ『みらい販売店』の実現へも力を入れて取り組んでいきたいと考えています。地域で最も愛される企業を目指し、従業員が誇りを持って働ける職場環境を作り上げていきたいです。そして今後も地域の皆さまとのふれあいやつながりを大切にしていきます」(柴田氏)
生成AI活用については、本田 徹常務取締役が旗振り役として積極的に取り組んでおり、生成AIを活用して制作した動画をプレゼンに用いるなど自ら率先して活用推進を行い、楽しく伝えていこうと社員を盛り上げているそうです。
トヨタカローラ大分は、楽しみながら挑戦し続け、大分県から未来の自動車販売店の姿を形作っていきます。
※ ヤメカエ:「仕事をやめる・変える」
現状の業務の課題や問題を各部署が持ち寄り、「もっと楽に、もっとよくする」ため業務そのものの廃止や見直しを議論し、カイゼンする取り組み。余力をつくり、ヤメカエをして、意味のある仕事をどんどん増やしていこうというもの。
*Microsoft、Microsoft Teams、Microsoft 365 は、米国Microsoft Corporationの米国およびその他の国における登録商標または商標です。
お話を伺った方
トヨタカローラ大分株式会社
WEBシステムグループ グループリーダー
柴田 智彦 氏
トヨタカローラ大分株式会社
HCM推進室 室長
小野 茜 氏
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