「働くあなたと、ともに」の想いを大切にする東海労働金庫(以下、東海ろうきん)では、固定電話中心の運用により、外出先ではタイムリーな対応ができない点や、電話の取り次ぎによる紙の伝言メモ依存が課題となっていました。そこで、旧来の運用を見直し、FMC機能※を持つConnecTalkとスマートフォンの導入を決定。導入後は、外出先からでも代表番号の着信対応や内線通話、SMSでのやり取りが可能になり、取り次ぎや折り返し対応の手間が大幅に削減。情報共有がリアルタイム化したことで、業務のスピードと精度が向上し、場所にとらわれない柔軟な働き方を実現しました。
※Fixed Mobile Convergenceの略で、固定電話と携帯電話を連携させ、携帯端末をオフィスの内線電話のように利用できるようにする技術やサービスのことです。
「電話しながら移動できるのがいいですね。有線の固定電話ではできなかったことです。他人宛の電話の応対で作業が止まるのが非効率でしたが、それも改善されると思います」
東海労働金庫 総務人事部 総務Gr 次長 柴田 修志 氏
東海ろうきんは、愛知・岐阜・三重の3県に展開し、「働く人たちの生涯に寄り添い続ける福祉金融機関」として、地域に根ざした金融サービスを提供しています。近年では業務のデジタル化に注力しており、紙書類の多い金融機関において、すべての紙資料を電子保存してイメージファイリング化する取り組みを積極的に進めています。
そうした中、以前から社内では、固定電話を中心とした業務運用が非効率であることが課題として認識されていたと言います。
「従来は支店の固定電話で受発信を行い、問い合わせ内容に応じて担当職員に取り次ぐ運用でしたが、その場にいなければ対応ができず、席に縛られた働き方になっていました。外勤者にはケータイが支給されていたものの、SMSや転送機能がなく、通話機能以外ほとんど活用されていませんでした。そのため、内勤者は急ぎの用件以外は紙の伝言メモを席に残し、営業職員は支店に戻ってから伝言メモを見て折り返す対応が日常化していて、個人差はあるものの1日10件程度の折り返し対応が発生することもありました」(原氏)
また、従来のケータイの管理面でも課題があったと言います。
「台数は約300台ほどあり、管理は総務GrがExcelで実施していました。ケータイは人に紐づく管理ではなく支店の支店長に1台、支店の営業に何台といったように、その部署の該当の係の人が持つ形だったので、どこの部署に貸与したものかという管理をしていました。また、その部署で誰が使用しているかは、紙ベースで管理をしていました。今思うと、従来は管理しているようで、きちんと管理できていなかった運用だったと感じます」(柴田氏)
この課題に対して、2022年7月に発足した業務改革部の主導で検討が開始されたと言います。
「業務改革部ができた当初は、どこから何に手を付ければ業務改革になるのかも分からない状態でした。営業店の職員の声を聞きながら進める中で、電話の取り次ぎについても、時間がかかり生産性が落ちる原因になっているという問題認識が生まれてきました」(南氏)
そうした問題認識の声を受け、業務用スマートフォンの導入が検討されるようになりました。
「電話という通信機器について、主装置やPBXのリプレイスにかかるコスト面などいろいろな観点から考え、業務用のスマートフォンを導入して、それを代替品として活用していくことを検討したのが始まりでした。そこで調べていく中で、スマートフォンで代表番号の着信を受けられるとか、内線としても使えるといった仕組みがあることを知りました」(南氏)
そのときに目に留まったのが、岐阜県の十六銀行が導入していた「ConnecTalk」の事例でした。
「たまたまですが、近隣の県にある十六銀行さんの事例を知って、ソフトバンクさんの『ConnecTalk』というソリューションがあることが分かりました」(南氏)
その後は財務部や総務人事部などの関係部門とも連携して検討が進められ、他社のサービスとも比較して最終的にConnecTalkの導入を決定したそうです。。
導入にあたっては、従来の電話運用からの転換を慎重に進めたと言います。
「今までの固定電話からスマートフォンに変わるというのは、大きな変化です。特に、既存の電話機との連携をどうするかなど、影響を抑える移行方法を慎重に検討しました」(原氏)
決裁の場では、コスト試算が決め手の1つとなったそうです。
「既存の固定電話を使用し続けた場合に発生する、職員間の通話料や各種機器のリプレイス費用を5年、10年単位で試算し、それをスマートフォンに切り替えた場合のコストと比較しました。その結果、今と同じコスト感で全職員に業務用スマートフォンを支給できることが分かりました。それなら使い方次第で、費用対効果も十分見込めるのではないかという提案に至りました。さらに、今まで定期的に必要だった機器のリプレイス作業が一部不要になり、費用だけではなく手間や労力の削減にもつながる点も決め手になったと思います」(南氏)
また、拡張性も評価されたと言います。
「スマートフォンならアプリの活用などで業務の幅を広げる可能性があります。固定電話ではこれ以上の拡張は望めないという点も、役員に理解してもらえました」(南氏)
導入決定までには1年以上を要しましたが、他行の事例紹介などを通じて、着実に社内理解を得ていったと言います。
「すでに『ConnecTalk』を導入して活用されている他行の担当者をソフトバンクさんにご紹介いただき、直接話ができたことは大きかったです。『導入してどうだったのか』という生の声が、社内説明の説得力を高めてくれました」(南氏)
スマートフォン導入後は、端末の配布からお問い合わせの対応まで総務人事部が運用体制を整備しました。
「特別な研修はせず、事前に活用ブックとQAを整備して周知しました。また、各部署に1人ずつスマホインストラクターを配置して、その人に相談してもらう形にしています。インストラクターには特別な研修はせず、スマートフォンに詳しそうな人を選任してもらっています。スマートフォン関係で分からないことは、詳しい人が操作することで基本的なことは対応できるだろうという判断です」(柴田氏)
実際に、想定よりもかなり少ない問い合わせだったそうです。
現在、スマートフォンと「ConnecTalk」をメインで使用している営業店の3店舗では、導入した効果をすでに実感していると言います。
「スマートフォンで内線のやり取りが増え、営業との連絡も取りやすくなったと感じています。特にショートメッセージが便利ですね。固定電話とケータイの組み合わせに比べて、スピード感があり、以前より明らかにレスポンスが良くなりました」(原氏)
「電話しながら移動できるのがいいですね。有線の固定電話ではできなかったことです。
他人宛の電話の応対で作業が止まるのが非効率でしたが、それも改善されると思います。スマートフォンの導入によって、契約社員の方からも気軽にメールで連絡が来るようになり、不在の相手への連絡のハードルが下がりました。これまで伝言メモで把握していた情報もリアルタイムで確認できるようになり、よりスムーズに対応できるようになっています」(柴田氏)
導入後は現場の声も前向きなものに変わっていっているそうです。
「慣れが必要だという声もありましたが、導入してみたところ当初想定していたよりも大きな抵抗感はなかったと思います」(原氏)
「最初はスマートフォン導入に抵抗を感じたり、固定電話から切り替わることにネガティブな反応もありましたが、すぐにつながるようになったので『取り次ぎの時間が減りそうだ』と言っている社員もいます」(柴田氏)
今後は年末に向けて全社員への展開を予定していると言います。
「今はスマートフォンの番号を名刺に入れず、口頭でご案内していますが、年末には全社員に配布したいと思っているので、拡大したら名刺にも記載していく予定です」(柴田氏)
アプリを活用することで、スマートフォンの可能性は、これからさらに広がろうとしています。
「今回、インストールしてもらったアプリの中には、マイナンバーカードのICチップを読み取るものもあります。金融業界では本人確認を厳格に行うように国から強く求められているため一時は専用のカードリーダーも検討しましたが、高額な上に本人確認以外に使えないことから、コスト面で現実的ではありませんでした。その点、スマートフォンであればマイナンバーカードのICチップを読み取れるNFC機能を活用できますし、ほかの業務にも幅広く利用できる点が大きなメリットです。
まだ導入して数週間程度と運用は始まったばかりですが、本人確認をはじめとしたシーンで、スマートフォンを活用することでどのように業務が変わるのか、今後も現場の声を集めながら検証していきたいと考えています。色々なアプリを組み合わせ、業務効率化をし、お客さまとの接客時間の拡大につながるといいなと思います」(南氏)
単なる通信手段の刷新にとどまらず、アプリ活用による将来の業務改革への土台も築いている同社では、今後も現場の声を反映しながら業務改善を進めることで、お客さまへのサービス品質向上と職員の働きやすさの両立を目指しています。
お話をうかがった方
東海労働金庫
業務改革部 部長
南 俊博 氏
東海労働金庫
総務人事部 総務Gr 次長
柴田 修志 氏
東海労働金庫
財務部 経営管理Gr 代理
原 佑作 氏
「DX&Fun! Presented by SoftBank」
東海地域で放映されている、DXを進めたいと考えている企業の皆さんの背中を押すミニ番組です。
その中で放映された東海労働金庫様の取り組みについてはこちらからご覧いただけます。
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