ホテルを中心に複数の施設を運営しているJR九州ホテルズアンドリゾーツ株式会社。ホテル内の連絡用として無線機(以下:インカム)を導入していた拠点では、音声のみの伝達による聞き返しや認識のズレ、通信範囲やバッテリー面での運用課題がありました。一方、未導入の拠点では電話や口頭伝達で対応しており、情報共有のスピードに制約がありました。そこで、スマートフォンで使えるトランシーバーアプリ「Buddycom」を導入。音声での即時連絡に加え、テキストでも内容を見返せる情報共有へと刷新したことで、聞き返しや認識齟齬が起きにくくなり、安心して業務を進められる環境を整えています。
「音声を聞き逃しても、後からテキストで確認できるのが大きなメリットです。正確にテキスト化されるため、ログを読み返すことで『言った言わない』や細かい指示の認識違いも起きにくくなっています」
JR九州ホテルズアンドリゾーツ株式会社 営業部営業システム課 小山内 暢 氏
JR九州ホテルズアンドリゾーツ株式会社(以下、JR九州ホテルズアンドリゾーツ)は、九州各地を中心に、東京・京都・沖縄にも展開し、駅近や観光地に近い好立地で、ラグジュアリーからカジュアルまで多様な17施設を運営しています。
近年、同社が全社的に取り組んでいるテーマが、人手不足を背景とした業務の見直しだと言います。
「人手不足が進む中で、現場のスタッフには、人にしかできない業務にできるだけ注力してもらいたいと考えています。お客さまをお迎えする、対話をするといった部分は、人でなければできません。一方で、RPAの活用や清掃管理システム、デリバリーロボットの検討など機械で代替できるものは積極的に取り入れ、業務全体の見直しを行うことに注力しております」(小山内氏)
業務の見直しに積極的な同社では、全社の取り組みとして、毎年春に各現場を回り、日々の業務で感じている困りごとや課題をスタッフから直接聞く機会を設けていると言います。
「同じ年に集中して、インカムをどうにかしてほしいという現場からの意見が出たことがきっかけで、代替できるものを探し始めたことが、今回の取り組みの始まりです」(小山内氏)
当時、現場の連絡手段は拠点ごとに異なっていました。日常的にインカムを使用していた拠点がある一方で、すべての拠点に導入されていたわけではありません。
「導入対象となる13のホテル・旅館の中で、日常的にインカムを使っていたところが5ホテルほどありました。それ以外の拠点では、フロントを中心に口頭やメモ、あるいは客室の内線電話を使ってコミュニケーションを取っていました。また、インカムを使用していなかった拠点では、業務内容や施設規模に応じて、電話や口頭での伝達、スタッフが実際に動いて伝えるといった方法を組み合わせて対応していました。各現場で工夫しながら運用されていたものの、状況によっては伝達のタイミングや情報量に差が出やすい面もありました」(小山内氏)
インカムを導入していた拠点でも、十分な台数が揃っていないケースがあり、「非常用に一応あるが、業務で運用できていない」といった状態も見られたと言います。また、インカムそのものの扱いにくさが現場の負担となっていました。
「現場から一番多く上がっていた声は、純粋に『インカムが重い』ということでした。マイクもイヤホンも本体からの有線接続になるので、制服を着ている状態だと着脱が非常にしにくく、休憩のたびに脱いだり外したりする作業が大変でした。また、経年劣化により充電が1日もたない、音が聞こえなくなるといった声も多くありました」(小山内氏)
通信範囲が館内に限定されている点も、日常業務では制約となっていたそうです。
「インカムが使用できる範囲が館内に限られてしまうため、お客さまをタクシーでお見送りするために屋外へ出ると、連絡が取れなくなっていました。ホテルの仕事は館内だけで完結しないので、不便さを感じる声もありました」(小山内氏)
さらに、インカムが音声のみの連絡手段であることが、聞き返しや認識のズレを生む要因になっていたと言います。
「移動中や忙しい時間帯だとどうしても聞き逃してしまいますし、インカムだと聞き取れずに何度も言い直す必要がありました。指示した内容と認識が若干ずれ、例えば『客室のドアに荷物をかけておいてほしい』と伝えたつもりが、入室して部屋の中に置いてしまうといった認識の齟齬が起きることもありました」(小山内氏)
こうした課題を受け、過去には他社のサービスをトライアルで試した経験もありましたが、現場に定着しなかったといいます。
「管理画面が複雑で現場が使いこなせず、操作説明を受けても現場のメンバーが理解できていませんでした。さらに、音声のテキスト変換精度が低く誤字が非常に多かったため、結局何のことか分からない。これではテキスト化の意味がないという話になり、別のものを探すことにしました」(小山内氏)
その中で最終的に選ばれたのが、スマートフォンとトランシーバーアプリ「Buddycom」の組み合わせでした。
「社用携帯をすべてスマートフォンにしており、社員の9割がスマートフォンユーザーだったので、多少コストがかかっても使い勝手を優先しました。BuddycomはアプリのUIが非常にシンプルで、トライアルでも使い方の質問が一切なかった。パートスタッフの方でも直感的に使える定着の速さが決め手でした」(小山内氏)
Buddycom導入後、現場で最も実感された変化は、音声に加えてテキストで内容を見返せるようになったことでした。
「最大のメリットは、音声を聞き逃しても後からテキストで確認できる点です。清掃スタッフが移動しながら聞いているときでも、ログを読み返すことで『言った言わない』を防ぎ、しっかり伝わっているかを自分で確認できるようになりました。テキスト変換が正確なので、細かい指示の認識違いも起きにくくなっています」(小山内氏)
運用面でも、改善が見られました。
「以前は着脱に1回3分ほどかかっていましたが、今は30秒以内です。スタッフ10人が1日2回着脱すると仮定して試算すると、月間で約6万円の工数削減になります。また、スマートフォンであれば着物姿のスタッフが身に着けていても配線が目立たず、見た目的にも美しいのが非常に良いですね」(小山内氏)
実際に、スマートフォンとBuddycomでやり取りをされているスタッフの様子
「今後はスマートフォンの活用をさらに進め、今展開中の清掃管理のブラウザ版のシステムをインカムとセットで各ホテルのスタンダードとしていれていきたいと思っています。また、スマートフォンに接続して同時通訳が可能なシステムもあるので、多言語対応での活用も検討しています。
ホテルの運営において強化していきたい取り組みとしては、今後の人手不足が見えているため、人がやることとシステム化することの切り分けを先に進めなければいけないと思っています。現場のスタッフには、人にしかできないことに集中してもらい、お客さまの宿泊体験がより良いものになるといいなと思っています」(小山内氏)
現場の声を起点に、インカムという日常的な業務ツールの在り方を見直した今回の取り組みは、単なる連絡手段の刷新にとどまらず、JR九州ホテルズアンドリゾーツが目指す「人にしかできない業務へ注力できる現場づくり」を支える一歩となっています。こうした積み重ねが、現場の働きやすさを高めると同時に、より良い宿泊体験の提供へとつながっていくことでしょう。
お話をうかがった方
JR九州ホテルズアンドリゾーツ株式会社
営業部営業システム課
小山内 暢 氏
無線機やトランシーバーのように一斉通話ができるトランシーバーアプリです。現場のコミュニケーションをスマートフォン1つで実現でき、現場の状況をリアルタイムに確認することができます。
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