2017年に開催される第35回アメリカズカップの今年最後となる予選シリーズ「ルイ・ヴィトン・アメリカズカップ・ワールドシリーズ」バミューダ大会が、2015年10月16日~18日の3日間にわたり開催されました。
トライアルレースは幸先良くスタート!
ここまでの予選シリーズ2戦の総合ポイントで、6チーム中4位のソフトバンク・チーム・ジャパンは、前回のヨーテボリ大会の後、チームのベースキャンプをバミューダ島に設置。主要メンバーも自宅をバミューダ島に移すなど慌ただしい中、ニュージーランド、イギリス、アメリカの3強に食い込もうとチームワークの強化に取り組み、本大会に臨みました。
大会前日に行われた全6チームが参加してのトライアルレースは、風速2~4m/sと弱い風の中でスタートしました。向きの定まらない風をうまく読み、最初の回航ブイをトップで通過すると、現在予選シリーズで総合首位のエミレーツ・チーム・ニュージーランドに追い上げを受けつつも、ミスの少ないクルーワークでトップを守ったままゴール。2本目のトライアルレースは途中で無風となり中止になったものの、直前までトップを走るなど、翌日からの本番レースに期待が持てる結果となりました。
初日は無風で中止に。ポイントが倍になる最終日に勝負
本番レース初日。午後2時過ぎから2レースが予定されていましたが、セーリングには欠かせない風が一向に吹きません。選手たちもレース艇に乗り込んでレース開始を待ち構えていましたが、午後4時過ぎにレース中止が決定。前日のトライアルレースではトップフィニッシュするなど調子を上げていただけに、ソフトバンク・チーム・ジャパンにとっては残念な1日となりました。
そして迎えた最終日、1日目のレースが中止になった影響で、特別に3レース行なわれることになりました。レースの順位に与えられるポイントが倍になる最終日のレースが増えたことで、選手や関係者たちには力が入る中、ソフトバンク・チーム・ジャパンの戦術担当 クリス・ドレーパーも「リーダーボードを大きく変動させる、非常に重要な日になる」と意気込んでいました。
最終日の風速は12~16ノット。風下に向かうセーリングでは、豪快なフォイリング(翼走)も見られるなど、まさに絶好のヨットレース日和。バミューダ在住の日本人の方々も応援に駆けつけ、ソフトバンク・チーム・ジャパンの活躍に期待が集まりましたが、回航ブイ付近での位置取りやクルーワークのコンビネーションミスによって大きく順位を落とす場面もあり、この日行なわれた3レースの成績は、4位、4位、3位と残念な結果となりました。
一方、過去2戦では6位、5位と低迷していたスウェーデンのアルテミス・レーシングがこの日のレースで、2位、1位、4位と快走を見せ、予選シリーズでの初優勝を飾りました。
まだまだ逆転可能!来年の巻き返しに期待!
早福 和彦総監督、ディーン・バーカー艇長は共にバミューダ大会の反省点として、チーム練習の不足による「クルーワークのコンビネーション」を挙げました。しかし今後は、バミューダ島にチームの本拠地を構えたことや、夏から続いた転戦が一段落することで、チーム練習の機会も増えていく予定です。
早福 和彦総監督のコメント
今回もいくつかのミスはありましたが、チームワークはずいぶん良くなってきています。まずは来週から予定されているフランスチームとの合同トレーニングで問題点を解決していきたいと思います。次の大会までしばらく時間が空くので、クルーワークの手順や役割分担を詰めていければと思います。
ディーン・バーカー艇長のコメント
結果的に上位に入れなくて残念ですが、途中まで良い順位を走ったり、後半に他のチームを逆転する場面もあったので、チーム状態は良くなっていると感じます。マーク(回航ブイ)付近のコンビネーションも、7月に行われたポーツマス大会のころに比べれば、格段に進歩しています。
残念ながら、今回のバミューダ大会の結果により、ソフトバンク・チーム・ジャパンは、総合5位にランクダウンしました。年内の公式レースはこれで終了となりますが、2~5位の4チームが12点差以内にひしめく混戦模様を呈しており、今後の巻き返しは十分可能です。
来年、大きくレベルアップしたソフトバンク・チーム・ジャパンにぜひご期待ください。
これまでのレース
- Photo by © Matt Knighton/SoftBank Team Japan
(掲載日:2015年10月23日)