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“普段通り”がポイント。元ホークス投手の攝津正さんが2019年プロ野球ポストシーズンの見どころを解説

“普段通り”がポイント。元ホークス投手の攝津正さんが2019年プロ野球ポストシーズンの見どころを解説

いよいよ2019年プロ野球のポストシーズンが始まります。福岡ソフトバンクホークスが出場するパーソル クライマックスシリーズ パ(CS)、そして勝ち上がった先に待つSMBC日本シリーズ2019(日本シリーズ)も短期決戦。短期決戦ならではの注目ポイントやポストシーズンの見どころについて、昨年まで現役で活躍されていた元ホークス投手の攝津正さんに、ご自身の経験を交えながら解説していただきました。

ポストシーズンってなに?

レギュラーシーズン終了後に行われるCSと日本シリーズの総称です。CSはセ・パ両リーグの上位3チームによるトーナメント戦で、最初にファーストステージで2位と3位のチームが対戦。最大3試合で勝利数が多いチーム(引き分けで勝利数が同じときは成績上位チーム)がファイナルステージでリーグ1位のチームと戦います。CSファイナルステージは最大6試合で勝利数が多いチーム(引き分けで勝利数が同じときは成績上位チーム)が日本シリーズ出場権を獲得でき、リーグ1位のチームには1勝のアドバンテージが与えられています。

攝津正さんのプロフィール

1982年生まれ。秋田経法大付属高校を卒業後、JR東日本東北を経て、2009年に投手として福岡ソフトバンクホークスに入団。1年目から主力として活躍し、2012年には両リーグ最多となる17勝を挙げ、最多勝・最高勝率・沢村栄治賞のタイトルを獲得した。2019年1月に現役引退。現在はホークス球団の子会社として2019年8月に設立されたアスリートマネジメントやセカンドキャリアサポート事業を行うAcroBats株式会社と第1号となる契約を締結し、同社に所属している。

短期決戦は“普段通り”を貫けるチームが強い

2019年のペナントレース、ホークスは残念ながら2位という結果になりましたが、今シーズンのホークスに対する印象を教えていただけますか??

攝津さん 戦力が充実していて、間違いなく優勝を狙えるチームだと思っていたのですが、けがで試合に出られない選手が多かったのが残念でしたね。惜しくも優勝は逃しましたが、昨年のようにポストシーズンを勝ち上がっていってほしいです。

現在のホークス選手の心境はどうなんでしょう?

攝津さん 僅差で優勝を逃したショックは少なからずあるでしょう。ただ工藤監督も言われていたように頭を切り替えて、レギュラーシーズンの流れを引きずらないでCSに臨むことが大切だと思います。

一方で優勝したチームにも難しさはあります。レギュラーシーズンで優勝するとやはりホッとするんですよね。それが気の緩みにつながってしまうことがある。自分自身でも経験したことがあります。また優勝チームは試合間隔が空くので、試合勘を取り戻すのも大変です。

「試合勘」ってよく耳にしますが、やはり大切なものなんですね。

攝津さん プロ野球にはスピード以上にボールが早く感じる投手もいますし、選手たちは試合でそうした“生の情報”を取り入れながらプレーしています。情報を自分の中に取り入れる感覚って、やはり練習だけだと鈍ってしまうんですよね。

攝津さんが注目している選手は誰ですか?

やっぱり投打の柱ですかね。今のホークスなら千賀投手、それから柳田選手。彼らの活躍は勝敗に直結しますし、柱となる選手の調子が良いとチーム全体も落ち着きますから。

あとは個人的な期待も込めて、短期決戦や勝負どころに強い内川選手です。自分の現役時代に、相手チームの投手が内川選手をどう攻めるか配球を読んだりしていたので、内川選手自身が配球をしっかり読んで結果を残してきたことを知っています。今回も勝負どころでの活躍を期待したいですね。

それから打順がどうなるかは分かりませんが、今宮選手が2番に入ってうまく仕事をすると打線全体がうまく流れるんじゃないかな、という印象を持っています。

短期決戦のCSや日本シリーズで、勝敗を決めるポイントは何ですか?

攝津さん 世間でもよく言われていることですが、1戦目は非常に重要です。CSファーストステージであれば1勝したチームは「あと1つで決められる」とポジティブな思考ができる。一方で1敗したチームは「もう負けられない」とプレッシャーになり、普段通りにプレーする難しさも増してしまうんです。

あとは「どれだけ普段通りでいられるか」だと思います。実力以上のプレーをしようと力むのではなく、自分の力を出し切ることが大切。それができる選手が多いチームが、短期決戦に強いチームだと考えています。

僕自身も現役時代にCSや日本シリーズで出場するときは“意識し過ぎないように意識”していました。先輩選手のふるまいを見ていて重要なんだなと学んだのですが、いざ自分でやろうとするとすごく難しいんです。

でも、今のホークスにはCSや日本シリーズの出場経験が豊富な選手が多いので、普段通りの力を出し切ってくれると信じています。

現役時代にプロとして学んだこと。そしてホークスやファンへの思い

攝津さんは昨年まで現役選手として活躍されていましたが、現役時代にプロとして意識していたのはどんなことですか?

攝津さん 「当たり前のことを、当たり前にできること」ですね。いつ自分の出番が来ても良いようにしっかり練習する、チームの作戦を理解しルールを守る、体調管理を万全にする、靴を脱いだら揃える。

常に見られている自覚を持つようにしていましたし、それは尊敬する先輩選手たちも同じでした。小さなことを含めて全ての行動が大事ということは、プロ野球選手時代の大きな学びです。

ちなみに攝津さんの中で印象に残っているポストシーズンの試合は?

攝津さん 2011年の日本シリーズですね。中日ドラゴンズとの第3戦で先発したあと、第5戦と第7戦でレギュラーシーズンでは一度もなかった中継ぎを任されたんです。試合前に「予備で入っておいてよ」と軽く言われただけだったので「攝津、行くぞ!」と言われたときは驚きました。

中継ぎで登板した2試合もなんとか0点で抑えられて、ホークスが日本一になることができたので印象に残っています。

結果を残せた理由はなんだと思いますか?

攝津さん なんでしょうね(笑)。でも先ほど話したように難しく考え過ぎないように意識はしていました。先発とは勝手が違う中継ぎでも、割り切って試合に入れたのが良かったのかもしれません。

昨年引退されるまで10年間ホークスに在籍していましたが、ホークスやファンの印象はいかがですか?

攝津さん 福岡そして九州に根付いていて、多くのファンに愛されているホークスという球団で10年間野球ができて本当に幸せでした。今でも街を歩いていると、いろいろな年代の方が声を掛けてくださって、ホークスファンの温かさを感じています。

個人的によく覚えているのは、引退する2018年に初登板した試合です。僕にとっては久しぶりの試合だったのですが、満塁でフルカウントというピンチを招いてしまいました。そのときファンの皆さんが拍手で勇気づけてくれたんです。心の底から応援してもらっているのが分かって、それが本当にうれしくて。忘れられないですね。

現在は、どのような活動をされているのですか?

攝津さん 野球の解説者やイベント出演、趣味の釣りでラジオ番組を持たせてもらったり、本当にいろいろなことに挑戦しています。プロ野球選手時代とのギャップがすごくて、毎日が新鮮で楽しいですよ。

ホークスの子会社でセカンドキャリアサポート事業などを行うAcroBatsとの契約も発表され、今回がその初仕事とのことですが、今後挑戦してみたい仕事はありますか?

攝津さん 実は、人前で話すのは得意ではないのですが、苦手を克服する意味でも「話す仕事」を増やしていきたいですね。最近は人に伝わる話し方を意識するようになったので、現役時代のインタビューでの話し方は分かりにくかったんだろうな、と反省しています(笑)。

いろいろなお話を聞かせていただき、ありがとうございました!

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(掲載日:2019年10月4日)
文:ソフトバンクニュース編集部