海外旅行中、旅先のレストランでランチをしていると、突然、目の前の広場で大きな爆発音が……。銃撃音が鳴り響く中、人々は悲鳴をあげて逃げ惑い、街中はパニック状態です。
もしあなたが同じような状況に置かれたら、一体どうすればいいのでしょうか? 正しい知識とすぐにできる小さな行動が防災意識を高め、あなたとあなたの大切な人を救います。
今回は、海外旅行中にテロに遭遇したときに役立つ対策や準備の方法、サービスをご紹介。
この災害テーマのポイント
- 人が多く集まる場所では、特にテロの危険度が高まる
- テロに遭遇した場合は、犯人を刺激しないことが大切。死角に隠れよう
- 海外旅行へ行く前は、地元メディアで行き先のリスク度をチェック
この災害テーマのポイント
- 人が多く集まる場所では、特にテロの危険度が高まる
- テロに遭遇した場合は、犯人を刺激しないことが大切。死角に隠れよう
- 海外旅行へ行く前は、地元メディアで行き先のリスク度をチェック
目次
- リスク:人が多く集まる場所はリスク高。「楽観的無防備」にも注意しよう
- 対処法:まずはその場から離れる、隠れる。犯人を刺激しないことが大切
- 事前の備え:テロ情報は地元メディアから収取。旅行前にチェックしたい4つのこと
- 海外旅行中にテロに遭遇したときに役立つサービス・ウェブサイト
リスク:人が多く集まる場所は危険度 大。「楽観的無防備」にも注意しよう
テロを起こす犯行グループの目的は、周りをおびえさせ、騒ぎを大きくすることで、自分たちの存在を世の中に示すこと。そのため、空港や駅、イベント会場、広場など、人が多く集まる「ホットプレイス」といわれる場所では、テロのリスクが高まります。例えば、2015年11月にパリで起きた同時多発テロでは、サッカー場やコンサートホールが標的となり、130名以上の死者、多数の負傷者が出ました。
旅行中は「楽観的無防備」に陥りやすい
「楽観的無防備」とは、自分にとってうれしいことが起こる確率は高く、嫌なことが起こる確率は低いと考え、警戒心を忘れてしまう心理のこと。観光客は特にこの心理状態に陥りやすく、もし危機が迫っていても「まさか」と考え、逃げるタイミングを逸しがち。「旅行中は楽観的無防備になりやすい」ということを意識して、いざというとき、すぐに緊急スイッチが入るようにしよう。(電車内でも「楽観的無防備」に注意)
対処法:まずはその場から離れる、隠れる。犯人を刺激しないことが大切
テロに遭遇したとき、犯人は極めてナイーブで興奮状態になっています。まずは、相手を刺激しないように、その場から離れたり、隠れたりすることが一番大切です。
テロに遭遇してしまったときの対処ステップ
- 犯人を刺激しないように、その場から離れる(逃げる)
- 建物の陰など、犯人の死角になる場所に隠れる
- 状況次第で、携帯電話などで警察へ通報。現場の状況を知らせる
- 着信音で居場所が知られてしまわないように、携帯電話の電源をOFFにする
まずは、自分の身を守ることを第一に考えてください。また、近くだと携帯電話のバイブ音でも犯人に気づかれてしまう可能性があるため、電源をOFFにすると安心です。
事前の備え:テロ情報は地元メディアから収取。旅行前にチェックしたい4つのこと
旅行前に、警戒情報が出ている地域はどこで、危険度はどうかなど、行き先の地域の危険度を知っておくことはとても重要。外務省「海外安全ウェブサイト」、NHK「ワールドニュース」の他、中東のテレビ局「アルジャジーラ」、フランスの新聞社「ルモンド」、イギリスの放送局「BBCニュース」などの日本語版、行き先の地元メディアが運営するウェブサイトでは、テロ情報をより詳しく解説しています。
海外旅行前にチェックしておきたい4つのポイント
- 行き先の危険度を、地元メディアのウェブサイトなどでチェックする
- 外務省の「たびレジ」に登録する
- パスポートのコピーと顔写真を複数枚作成する
- 総領事館の場所・連絡先をチェックする
パスポートの原物は安全な場所に保管し、観光中はコピーを携帯。家族にもコピーを渡して出かければ、万が一のときの安否確認がスムーズに。また、在外公館(大使館・領事館)のウェブサイトで、その地域の「安全の手引き」を出かける前に確認し、ローカルな危険情報を見ておくこともオススメです。
「ホットプレイス」にご用心! テロ遭遇時は、「その場から離れる、隠れる」が合言葉
海外旅行中は、少しばかり警戒意識を高めて過ごすことが大切です。テロ以外にも、強盗、誘拐、脅し、窃盗、詐欺、パスポートの紛失など、旅先では、注意しなければならないことがいっぱい。海外のトラブル対策には日本と異なることが多いため、事前の準備を万全にしつつ、状況に合ったアクションをしながら旅を楽しんでくださいね。
海外旅行中にテロに遭遇したときに役立つサービス・ウェブサイト
① 外務省 海外安全のウェブサイト
国 ・地域別の海外安全情報を、「レベル1(十分注意してください)」「レベル2(不要不急の渡航は止めてください)」「レベル3(渡航は止めてください)」「レベル4(退避してください。渡航は止めてください)」という4段階の危険レベルで得ることが可能。他にも、海外渡航・滞在に役立つ情報を調べられます。
② 在外公館
大使館・領事館(在外公館)は、もし現地で大規模なテロ・災害といった緊急事態が発生した場合、現地の日本人の安否確認や、出国のサポートなどをしてくれます。また、もしパスポートを盗難した場合は、パスポートの新規発給も行ってくれます。
③ たびレジ
外務省から最新の海外安全情報を受信できる無料サービス。渡航前に登録しておくと、現地の重大事件・事故、デモの予定などの情報をメールで受信することができます。
監修者:防災システム研究所 所長 山村 武彦(やまむら・たけひこ)
1943年、東京都生まれ。1964年の新潟地震でのボランティア活動を契機に、同年、防災・危機管理のシンクタンク「防災システム研究所」を設立。以来50年以上にわたり、世界中で発生する災害の現地調査を実施するほか、テレビ解説や日本各地での講演などを通じ、防災意識の啓発に取り組む。著書に『災害に強いまちづくりは 互近助の力~隣人と仲良くする勇気~』(ぎょうせい)など多数。
(掲載日:2020年1月21日、更新日:2022年12月23日)
監修:山村武彦先生
文:内藤マスミ
編集:エクスライト
イラスト:高山千草