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熱戦を見つめ続けたレギュラージャッジに聞いたD.LEAGUE CHAMPIONSHIPの見どころ

熱戦を見つめ続けたレギュラージャッジに聞いたD.LEAGUE CHAMPIONSHIPの見どころ

7月1日に開催される「第一生命 D.LEAGUE 20-21 CHAMPIONSHIP」。レギュラーシーズンを勝ち抜いた4チームが、D.LEAGUE初代王者の座をかけてトーナメント方式で激突します。レギュラーシーズン全12ラウンドでジャッジを務めた坂見誠二さんと黒須洋嗣さんに、CHAMPIONSHIPの見どころを聞いてきました。

話を聞いたレギュラージャッジ

坂見さんK

坂見 誠二さん(DANCER JUDGE/主にスキル審査担当)
ストリートダンス界のカリスマ、ダンスの神様と称され、実力と経験、国内外におけるダンサーコネクションは日本屈指であり、日本におけるダンス市場の土台を築いた人物。2010年にドイツで行われた世界大会「FUNKIN’STYLEZ」で日本人初のJUDGEを務めたこともある。

黒須さん

黒須 洋嗣さん(ENTERTAINER JUDGE/主にエナジー審査担当)
17歳でジャスダンスを始め、1987年にN.Y BROADWAY DANCE CENTERに留学。「CBS STAR SEARCH’89」のグランドチャンピオンを経てL.Aへ。HERB ALPERT PVやMOVIE AWARDSなどに出演後、ダンサー・振付師・演出家・俳優として活動している。

ジャッジが本当に難しかった! 全12ラウンドの異種格闘技戦

会場

7月1日にCHAMPIONSHIPが開催されますが、まずはレギュラーシーズンの感想から教えてください。

坂見さん

そうですね、レギュラージャッジという立場でシーズンを振り返ると、まず疲れたなと。

黒須さん

はい、僕も同じです(笑)。

坂見さん

というのも、D.LEAGUEのジャッジは難しいんですよね。通常ダンスをジャッジするときは、ジャンルが決まっているものなんです。でもD.LEAGUEはさまざまなジャンルのチームが参加している異種格闘技戦。相対的に評価するのがとても大変でした。

黒須さん

ただでさえジャッジが難しいのに、ラウンドを重ねるごとに各チームが成長していきましたからね。他チームの良いところを取り入れて見せ方を変えてきたり、ジャッジの傾向を読んできたりして、ますます評価が難しくなりました。

坂見さん

最後の方は「頑張って差がつくところを探さなきゃ」というレベル。毎回、新作ダンスを披露するダンサーも大変だったはずですが、ジャッジも結構苦しいんですよ。「D.LEAGUE、すごい方式を考えたなぁ」といつも思っていました(笑)。

レギュラージャッジとして特に意識していたことはありますか?

黒須さん

誠二さんは技術の「スキル」担当、私はエンタメ性やパッションの「エナジー」担当だったので少しポイントが違うかもしれないです。誠二さんはどうでしたか?

坂見さん

プロとしてジャッジを任されたダンスのスキルについては、評価がブレないようにしようと心掛けていましたね。柔軟性、スピード、パワー、それから体のパーツを別々に動かすアイソレーションの技術。地味であってもダンススキルの基本はしっかり評価しないとベースが崩れてしまうので、そこだけは強く意識していました。

黒須さん

エンターテイナージャッジの「エナジー」は僕的にはもう少しシンプルで、チーム全体から発せられるオーラのようなものを見る感じですかね。説明しにくいのですが、舞台の目の前で見ていてオーラが3Dにようにグワっと感じるときと、平面的にグレーになっているときと。その「エナジー」の違いで判断していました。ダンス歴35年の目線で。

坂見さん

エナジーって目に見えないダンスの“匂い”みたいなものですよね。作品性・ストーリー性を意識しすぎるとエナジーが弱くなるし、バランスがすごく難しいと思います。

最終戦でCHAMPIONSHIP進出チームが決定したときは、どんなふうに感じましたか?

坂見さん

まずは全ダンサーに「お疲れさま」と言いたいですね。普通なら良いダンス演目ができると1年間くらい踊り続けられるのに、半年間で12個の新作ダンスを披露したわけですから。これだけハードなのは、世界でもあまり例がないんじゃないかな。

黒須さん

ダンサーは苦しかったと思います。でも、敗北や挫折を次のラウンドで乗り越える姿をたくさん見てきました。勝敗はともかく、全ダンサーが大きな成長を遂げていると思います。もしかしたら、これでダンスをやめる人もいるかもしれない。でも人生にとって、すごく大きなお土産をもらっているはずです。

「スキル」と「エンタメ性」のせめぎ合い。勝敗の鍵はチームを“魅せる”戦略

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レギュラーシーズン結果。上位4チームがCHAMPIONSHIPに進出します

CHAMPIONSHIP進出の決め手は、どんなところだったのでしょうか?

黒須さん

一概には言えないですが、D.LEAGUEでレギュラーシーズンを勝ち抜くうえでは、チームのブランディング戦略が大きく作用したと思います。一言で言えば「ファン作り」ですね。

坂見さん

プロの審査員がスキルだけを評価していたら、おそらく違う結果になっていたでしょう。でもD.LEAGUEには「オーディエンスポイント」というファン投票システムがある。あえて細かいスキルを封印することで、ショーとしての完成度を高めたチームもありました。

黒須さん

スキルとエンタメ性のせめぎ合いのバランスというか、チームを“魅せる”戦略がうまいチームが勝ち抜いたなという印象です。

なるほど。ではCHAMPIONSHIPで激突する4チームについて、それぞれの印象を教えてください。

黒須さん

1位の「FULLCAST RAISERZ」は、最初見たときのインパクトがとにかく怖かった(笑)。

坂見さん

みんな筋肉がすごくて、体自体がゴツイですからね。

FULLCAST RAISERZ

FULLCAST RAISERZ

ディレクターはKRUMP(クランプ)アーティスト集団「Twiggz Fam」を牽引するJUNさん。Twiggz Famのメンバーを中心に、ブレイキンに精通するメンバーを加えた肉体派戦闘集団です。クランプの特徴ともいえるエナジーを前面に出した魂のダンスで、観客を魅了します。

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黒須さん

でも、あいさつしたぐらいですが、すごく礼儀正しくてギャップがすごい。正直に言うと、最初は彼らのダンスジャンルであるクランプは日本人の文化に合うのかなと思ったけど、オタクをテーマにしたダンスなんかも編み出していて、見せ方がすごくうまいチームですよね。

坂見さん

クランプは犯罪と隣り合わせの場所で生まれたダンスで、それと真逆のオタク文化と組み合わせた作品は衝撃的でした。あとキャップ、ハット、スニーカーといった小道具の使い方も上手だし、見どころの多いチームです。2位の「avex ROYALBRATS」については、私は先進的なダンスのド真ん中のチームという印象を持っています。

avex ROYALBRATS

avex ROYALBRATS

ディレクターであるRIEHATAさんの下、2014年4月に結成されたダンスチームです。ヒップホップを軸としながら、英語のスラングで「やばい」「めちゃかっこいい」という意味を持つSWAG(スワッグ)の体現を目指して日々活動中。モットーは「自由で、愛のある、限界がないチーム」で、メンバー同士の仲が異常なほど(!?)良いのもチームの特徴です。

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黒須さん

ストーリー性が強いダンスを出してきますよね。毎回主役が変わって、他のメンバーは主役を引き立てる役としてメリハリをつけて踊っているけど、そのスキルはピカイチという。

坂見さん

リズムではなくて歌詞にタイミングを合わせるダンスも今っぽいし、必然的に若者から圧倒的な人気があり、ファンが多いチームですね。

3位の「SEGA SAMMY LUX」はどうでしょうか?

黒須さん

ROUND.1で見たステージのパッション(熱量)を今でも覚えていて、当時は舞台までの距離が遠い有明アリーナでしたが、ジャッジ席まですごいエナジーが届きました。新しい取り組みも試したりもしているけど、個人的には彼らの原点である元気100%のヒップホップに一番勢いを感じますね。

SEGA SAMMY LUX

SEGA SAMMY LUX

ディレクターは、伝説のダンスグループ「J.S.B(Japanese Soul Brothers)」の初代リーダーを務め、現在はダンス界のレジェンドとして君臨するBOBBYさん。ブラックファッションアイコンを取り入れるなど、バラエティに富んだ世界観が超絶クール。全員ドレッドヘアの実力派ダンサーたちの踊りにも注目です。

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坂見さん

4位の「KOSÉ 8ROCKS」は、おそらく最も玄人好みのチーム。すごいスキルを持っているけど、動きが早すぎてすごさが分かりにくいかもしれない。ダンスをショーとして見るときに、ストリートダンス系が少しつらい点ですよね。

黒須さん

ただ、元々メンバーのスキルが非常に高いので、大車輪という新体操の技など、新しいエッセンスも取り入れてきているような気がします。

KOSÉ 8ROCKS

KOSÉ 8ROCKS

自身もブレイキンダンサーでもあるディレクターのISSEIさんが、D.LEAGUEで優勝するために有名ブレイキンチームなどからメンバーを集めて結成。実力者も多く、チームとしてはアクロバティックな合わせ技を得意としている。

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坂見さん

魅せるために何をするべきか、模索していますよね。ROUND.10では鬼気迫るパフォーマンスで優勝したし、間違いなく終盤で調子が上向いているので面白い存在です。

「ド派手にかましてくるでしょう!」CHAMPIONSHIPはいきなり見ても楽しめる

2人

CHAMPIONSHIPはトーナメント戦です。リーグ戦だったレギュラーシーズンとの違いはありますか?

坂見さん

う~ん、やっぱり影響はあるでしょうね。

黒須さん

あくまでも僕の勝手な予想なんですけど、どのチームも“イケイケドンドン”で臨んでくると思います。1対1の対決なので、相手チームに勝てばいいわけですからね。

坂見さん

そうそうそう! 細かいテクニックに走るのではなく、どのチームもド派手にかましてくるはずです。実はジャッジする側としても1対1の対決は臨むところ。良かったチームを選べばいいので、少しだけ気が楽です(笑)。

黒須さん

もちろんダンスのプロとしてジャッジしますが、細かくチェックしたレギュラーシーズンに比べると、我々もファンの皆さんと近い感じで見るかもしれませんね。

派手になりそうということは、CHAMPIONSHIPで初めてD.LEAGUEを見る人も楽しめそうですね。

黒須さん

いきなりCHAMPIONSHIPから見ても十分楽しめると思いますよ。

坂見さん

もっと言うなら、レギュラーシーズンよりも分かりやすくて面白いかもしれないですね。

黒須さん

本当にそう思います。

楽しみです! 最後にD.LEAGUEファン、ダンスファンに向けてメッセージをお願いします。

坂見さん

繰り返しになりますが、いろいろなジャンルのダンスを同時に見られるのは本当に珍しいと思います。D.LEAGUEはシンプルにダンスが面白いし、振り付けも、スキルも、ファッションも全てが評価対象なので、視聴者としても見るポイントがたくさんあるはず。まだ見たことがない人は、ぜひ一度見てみてください。

黒須さん

自分が35年前にダンスを始めたとき、周りでダンスをしている人は全然いませんでした。当時の自分に「将来プロダンスリーグができるぞ!」と言ったら腰を抜かすと思います。今、たくさんの人がダンスを見ていることがうれしいし、さらにメジャーになってほしいと願っています。初シーズンも残すところ1日ですが、最後まで一緒に盛り上げていきましょう。

解説ありがとうございました。

(掲載日:2021年6月28日)
文:ソフトバンクニュース編集部

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