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都心の養蜂から生物多様性を考える-東京・竹芝の「ミツバチプロジェクト」

都心の養蜂から生物多様性を考える-東京・竹芝の「ミツバチプロジェクト」

ソフトバンク本社が入居する東京ポートシティ竹芝で、6月16日、竹芝UBCの主催により、都市型養蜂「ミツバチプロジェクト」について学ぶイベントが行われました。

東京ポートシティ竹芝では、「雨・水・島・水田・香・菜園・蜂・空」の8つの景からなる「竹芝新八景」を通して、緑豊かな環境づくりに努めると同時に環境教育、地域交流などが行われています。今回は「蜂の景」の取り組みとして行われた講演会と養蜂場見学の様子をリポートします。

  • 当初予定されていた採蜜体験は雨のため中止となりました。

生態系の中で重要な役割を担うミツバチについて学ぶ

講演会には、ビルのテナント企業の社員など約50人が参加し、ミツバチプロジェクトを通じた生物多様性の保全や周辺の緑化への影響などについて専門家から話を聞きました。

生態系の中で重要な役割を担うミツバチについて学ぶ

今回の講師を務めたのは、はちみつ専門店の株式会社ラベイユの加藤弦さんと原田誠一郎さん。竹芝でのミツバチプロジェクトでミツバチの管理や採蜜を行う他、国内の多数のミツバチプロジェクトを手がけています。

都市部でハチを育てることの目的について、「一番の理由は都市の緑化、環境の整備です。花粉を運ぶことで都市部の菜園や公園の植物、街路樹などが結実し、その実を食べに野鳥が集まり、鳥が運んだ種によってさらに植物が増えていきます。また、鳥は害虫なども捕食します。都市でミツバチを飼うことで連鎖反応が生まれ、健全な生態系を再生できる効果が期待できます」と説明しました。

生態系の中で重要な役割を担うミツバチについて学ぶ

ミツバチは地域の豊かな自然を保全するための重要な存在。このような都市型養蜂の取り組みは世界の都市で広がっているそうです。

ミツバチが教えてくれる周辺環境。竹芝のハチミツはさまざまな花の蜜で作られた「百花蜜」

東京ポートシティ竹芝の「蜂の景」では、5階のテラスに養蜂箱が設置されています。今年3月に設置された当初は、1階建ての箱が5群(マンションふうに言えば5棟)で、蜂の数は1群あたり6~8千匹。現在は各群3階建になり、全体で20万匹ほどに増加。春から夏の期間中に3回の採蜜を行い、100~120キログラムのハチミツが採取できると見込まれています。

ミツバチが教えてくれる周辺環境。竹芝のハチミツはさまざまな花の蜜で作られた「百花蜜」

ハチミツには1種類の花の蜜で作られた「単花蜜(たんかみつ)」と、地域に咲く複数の花の蜜で作られた「百花蜜(ひゃっかみつ)」があり、ここで作られるハチミツは、東京ポートシティ竹芝の他、近くの浜離宮恩賜庭園や旧芝離宮恩賜庭園、芝公園などの豊かな自然が蜜源となった「百花蜜」。

ミツバチの行動範囲は半径約2キロメートルで、公園や街路樹のサクラやアカシアをはじめ、さまざまな花から蜜が集められているとの説明がありました。

東京ポートシティ竹芝オフィスタワー内にも蜜源となるさまざまな草木があります。写真上段左から、ラベンダー、ゼラニウム、シャクナゲ。下段左から、ブラシノ木とシルバープリベット、ネムノ木、シマトネリコ。

東京ポートシティ竹芝オフィスタワー内にも蜜源となるさまざまな草木があります。写真上段左から、ラベンダー、ゼラニウム、カルミア。下段左から、ブラシノ木とシルバープリベット、ネムノ木、シマトネリコ。

5階テラスの養蜂場。ガラス窓から中の巣箱を見学しました。ハチは7月か8月中には高尾山麓の巣箱へ移され越冬に備えるそうです。

5階テラスの養蜂場。ガラス窓から中の巣箱を見学しました。ハチは7月には高尾山麓の巣箱へ移され越冬に備えるそうです。

4月28日に行われた1回目の採蜜の様子。

5月に行われた1回目の採蜜の様子。

竹芝で採れたハチミツの商品化は未定ですが、ラベイユの加藤さんによると、「さまざまな花の蜜が混じって、奥深い味わいのおいしいハチミツが採れています」とのこと。今後食育や地域ブランド品としての活用も期待されます。

この日、参加者にはお土産としてハチミツの小瓶がプレゼントされました。ミツバチが豊かな自然を守る存在として活躍し、人間の暮らしに恵みをもたらしてくれることに改めて気づかされたのではないでしょうか。

(掲載日:2021年7月2日)
文:ソフトバンクニュース編集部

東京ポートシティ竹芝 スキップテラス・竹芝新八景

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