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「届いた服を着てみたらイメージが違う…」がなくなるバーチャル試着の未来が目の前に!

「届いて着たらイメージと違う」がなくなる未来が目の前に! リアルな試着を越えていく「バーチャルフィッティング」

皆さんはネットで洋服を注文したことはありますか? 「届いた洋服のサイズやイメージが合わなくて後悔…」なんて経験をしたことがある方もいるのではないでしょうか。そんな課題を解決するのが、ソフトバンクが研究開発中の最新技術「バーチャルフィッティング」。
アバターによるバーチャルフィッティング技術とはどんなものか、他のバーチャルフィッティング技術との違いは何かを担当者に聞きました。

ネットショッピングで失敗したことのある人は〇〇%!

ネットショッピングで失敗したことのある人は〇〇%!

ネットショッピングで洋服を購入した人の多くが、「買う前のイメージと違う…」という体験を一度はしたことがあるのではないでしょうか。実際、「女性の洋服の購入に関する調査」によると、ネットショッピングで購入した服で失敗・後悔した経験がある人は86.7%もいる結果に。
試着してから買える店舗での購入とは違い「イメージした質感と違った」「サイズが合わなかった」など、限られた情報をもとに買うネットショッピングではまだまだ課題がたくさん。店舗に行かなくても、試着ができたらいいのに… なんて思いませんか?

ソフトバンクでは、そんな問題を解決する「バーチャルフィッティング」という技術を研究開発しています。バーチャルフィッティングでは何ができるのか、開発を手がけた社員に開発秘話や今後の展望など話を聞きました。

嘉数 翔(かかず・しょう)

ソフトバンク株式会社 テクノロジーユニットコーポレートIT本部 アドバンスドテクノロジー推進室 クリエイティブ制作課 課長
嘉数 翔(かかず・しょう)

廣川 慧吾(ひろかわ・けいご)

ソフトバンク株式会社 テクノロジーユニットコーポレートIT本部 アドバンスドテクノロジー推進室 クリエイティブ制作課
廣川 慧吾(ひろかわ・けいご)

イーストマン マイケル

ソフトバンク株式会社 テクノロジーユニットコーポレートIT本部 アドバンスドテクノロジー推進室 クリエイティブ制作課
イーストマン マイケル

目次

自分のアバターがバーチャル空間で洋服を試着。どこがフィットしているのかまる分かり!

では、実際にバーチャルフィッティングで何ができるのか教えてもらいました。

① 自分体型のアバターを生成

身長などの採寸値を入力すると、入力したデータをもとに3Dバーチャルアバターが生成されます。肩幅やバストなど細かい数値の入力ができるので、より自分に近い体型のアバターを作ることが可能です。

① 自分体型のアバターを生成

マイケル

出来上がったアバターは、肌の色を変えることもできます。体型だけでなく、雰囲気もより自分に近づけられますよ。

廣川

また、「子どもがこの身長になれば、このサイズの服がピッタリだな」というように、将来の子どもの姿を想定したショッピングも可能になります。

② アバターを360度見渡してリアルなサイズ感をチェック

アバターは360度どこからでも見ることができます。さらに歩く、座る、などさまざまなポーズがあるので日常で自分がよくする動作を試すことも。洋服は重ね着することができるので、コーディネートも考えられて、ショッピングがより楽しくなりそう!

③ 太もも、ウエストなど部位ごとのフィット感を確認

タイトな部分は赤、ゆるい部分は青で表示されるので、フィット感が確認できます。赤くなっている箇所は洋服が伸びてしまっている状態を表します。
今までは、店舗で試着しないと分からなかったフィット感を、バーチャルで知ることができるのはうれしいですね♪

左からS、M、Lサイズを着用した場合

左からS、M、Lサイズを着用した場合

④ どの着方が好み? ウエストの位置変更も

自分が腰のどの位置でボトムスを装着したいかを確認することもできちゃいます。「この洋服だと、ハイウエストよりローウエストで着る方が似合う…!」なんて新たな発見があるかも。

マイケル

フィット感を可視化するには、洋服の素材感がリアルに再現されている必要があります。洋服を指で引っ張るとどのように揺れるのか見ることができるなど、リアルさを追求しています。

よりリアルな試着体験をスマホで実現させるために

そもそも、なぜソフトバンクがバーチャルフィッティングという技術を開発し始めたのですか?

嘉数

元々、洋服のシミュレーションに関する研究開発を部内で行っていました。そこでできた技術を活用することで、アパレル業界の課題解決につながるのではないかと思い、開発をスタートさせました。
例えば、オンラインで気になった商品を、購入前にバーチャルフィッティングで確認することができれば、オンラインショッピングでの失敗を減らす可能性があると思っています。

なるほど。技術が先にあって、そこにぴったりハマる需要があったということですね。世の中には、既にさまざまな試着サービスがあると思うのですが、どのように違うのでしょう?

廣川

ソフトバンクで開発しているバーチャルフィッティングは、布の物理シミュレーションがスマホでも高速に動作するのが強みです。3Dのアバター、洋服を使って自分の体型にどれほどフィットしているのかを知ることができます。

嘉数

コロナ禍でECサイトの需要が高まるのと合わせて、こういった技術のニーズも高くなりつつあると感じます。 同様の技術との大きな違いは、リアルタイムに3Dの試着ができるところです。
特に、スマートフォンでリアルタイムに試着できている点が、他にはない大きな強みだと思います。

アパレル ECの市場規模は右肩上がり

アパレル ECの市場規模は右肩上がり

着替える時間がかからない、という点では実際の試着より便利ですね! 開発にあたって、大変なことも多かったのでは?

マイケル

スマホやタブレット上でリアルタイムにアバターを動かし、さらに実際の洋服の見た目を再現するのは厳しい道のりでした。

廣川

本当にその通りです…。正直、最初はスマホやタブレット上でリアルタイムに動作するか半信半疑でした。しかし、ここ数年のモバイル端末は想像以上に高性能で、演算能力をフル活用すれば実現できるということが分かりました。

リアルタイムな試着をモバイル端末で

リアルタイムな試着をモバイル端末で

諦めずに開発を続けたからこそ、高性能のバーチャルフィッティングが実現されたのですね。他にこだわったポイントはありますか?

マイケル

3着の重ね着を実現したことです。
洋服を増やすには、洋服同士の衝突判定をする必要があり、増やすごとに何倍もの処理のステップが発生しました。

そのような大変な作業をしてまで3着に増やしたのはなぜですか?

廣川

コーディネートを組むには3着程度は重ね着をすると思うので、そこは実現しなければと思っていました。

マイケル

何度か「2着で妥協しようか」とも思いましたが、諦めなくてよかったです(笑)

嘉数

実店舗では複数の商品を合わせて購入するのに対して、ネットショッピングでは1点買いが多い傾向にあります。
バーチャルフィッティングの重ね着によってコーディネートのイメージを提案できるので、ネットショッピングでの可能性がより広がります。

技術を駆使して、洋服のデジタル化を手助け

今は開発段階とのことですが、バーチャルフィッティングをどのように進化させていきたいですか?

マイケル

バーチャルフィッティングを、Webブラウザからでも利用できるようにしたいです。ECサイトでショッピングをする際に、アプリに移動せずそのサイトから直接試着できると便利ですよね。
Webブラウザで動かすには、サーバー側でシミュレーションが必要など開発が大変なことも多いですが、これが実現できればより身近なサービスになると思っています。

廣川

現実の試着は脱ぎ着に手間と時間がかかるので、バーチャルフィッティングほど短時間で多くのコーディネートを試すことはできませんし、成長などの体型変化を想像して試着するのも難しいです。
デジタルだからこそ、実際の試着に勝るポイントが他にもたくさんあるはずだと思っているので、そこを伸ばしていきたいです。

嘉数

オンラインショッピングだけでなく、リアル店舗での販売にも活用されることでリアルとバーチャルをつなぐ新たな購買体験を実現したいですね。
BtoB領域だと、洋服の企画や生産、製造などの効率化に活用されることで、アパレル業界が抱えるさまざまな課題解決につながります。業界のデジタル化促進の一端を担う技術として進化・成長させていきたいと考えています。

(掲載日:2022年11月29日)
文:ソフトバンクニュース編集部