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生成AI活用の必須スキル。最適な回答を引き出す命令文作成を競うプロンプト大会を開催

生成AI活用の必須スキル。最適な回答を引き出す命令文作成を競うプロンプト大会を開催

最近、ニュースなどで話題となっているChatGPTなどの生成AI。文章や画像などを自動で作ってくれる非常に便利な生成AIですが、求める回答を適切に引き出すには「プロンプト」と呼ばれる質問や命令文をどう作るかが重要になります。

業務効率の向上を目的に全社を挙げて生成AIの活用を進めるソフトバンクで、プロンプトスキルを競うChatGPTプロンプト大会が開催されました。

大会の様子をレポートします。

目次

プロンプトスキルを駆使して生成AIの回答を最適化

8月22日、ソフトバンク竹芝本社で開催されたプロンプト大会を主催したのは、ソフトバンクで各事業の業務支援システムの企画・開発を行うビジネスシステム開発本部の有志で結成された「GPT CLUB」。ChatGPTを利用した開発や業務支援の改善を目的に、生成AIで実現可能なサービス開発などに取り組んでいます。

29名がエントリーして行われた前半戦では、指定された条件に合致するようにChatGPTの回答を引き出すプロンプト作成スピードを競う4つの問題が出題。設問ごとに回答が速かった上位6名にポイントが加算されます。

生成AIに条件を正しく理解させるための論理的思考と国語力が試されます。徐々にレベルが上がっていく出題に参加者もどんどん真剣な表情に。

出題例
真剣な表情の参加者
真剣な表情の参加者
出題例

前半戦の結果を受けて、後半戦に進出する上位6名が決定。後半戦は、ChatGPTを使ってテーマに沿ったプレゼンテーション資料をマークダウン方式で作成するというもの。ゲーム色の強い前半戦の問題からは打って変わり、より現実的な業務の課題解決をテーマとした出題です。

ChatGPTで作成した資料の内容とプロンプトで工夫した点を説明

制限時間の15分はあっという間に終了。生成された資料を使って、上位6名によるプレゼンテーションが行われ参加者全員による投票で入賞者3名が決定しました。

コツはAIに考えさせる余地を与えること

入賞者の3人に生成AIの業務活用やプロンプトスキルアップについて、話を聞きました。

三輪 俊介

第1位
三輪 俊介さん
(無線システム統括部)

丸田 理駆

第2位
丸田 理駆さん
(モバイルシステム統括部)

金 ヨンフン

第3位
金 ヨンフンさん
(アーキテクチャデザイン部)

この大会に参加してみようと思ったきっかけを教えてください。

金さん:部署の後輩から大会の開催を教えてもらい、面白そうだと思って参加しました!

三輪さん:普段から業務でChat GPTを使っているのですが、大会に参加して理想的な使い方を探してみようと思い参加しました。

普段の業務ではどのように生成AIを利用しているのでしょうか?

丸田さん:業務利用においては、生成AIに一から提案を求めるのは現状ではなかなか難しいと感じていますが、GAS(Google Apps Script)のようにレファレンスが整っていない言語もいい感じに書いてくれるので、プログラミング言語を書かせる使い方は便利ですね。すでにある文章の要約や修正、コードの提案には非常に有用だと思います。

金さん:仕事柄、新しい技術へのキャッチアップが必要になるのですが、ゼロから調べるのは時間もかかって大変なので、まずはChatGPTに意味や使い方をよく聞いてますね。新しい知識の勘どころを押さえる助けになっています。

プロンプトを書くときに気をつけていることはありますか?

三輪さん:生成AIの役割を決めてあげて、具体的な指示をすること。自分が欲しいフォーマットを指定してあげることがコツですね。

丸田さん:私は、ある程度AIに考えさせる余地を与えるのが理想だと思っています。基本的には箇条書きで指示を伝えるようにしていますね。何がやりたくて、生成AIにはどういうスタンスで、どうして欲しいのか、を箇条書きで示し、あとはAIに考えてもらう。人に分かりやすく話すのと同じように、整理してAIに指示することが大事ですね。

楽しみながらエンジニアリング力を向上

開催の目的について、大会を主催したGPT CLUBの担当者に話を聞いてみました。

ソフトバンク株式会社 IT統括 ビジネスシステム開発本部 デジタルカスタマーケア統括部 コンタクトセンターシステム部 コンタクトプラットフォーム課 課長

原田 淳子(はらだ・じゅんこ)

ビジネスシステム開発本部活動のGPT CLUBのクラブ部長を担当。コンタクトセンターのAiCall/テレフォニー/郵送システム開発業務全般のマネジメントを担当。コンタクトセンターの「プラットフォーム」として、デジタルを活用した「業務効率」・「CX向上」の取り組みを推進している。

大会開催の目的について教えてください。

ソフトバンクでは全社的に生成AIの業務活用が推進されています。有効に活用するために必要なエンジニアリング力を高めるには、大会形式で行った方がより楽しめて技術向上もできるのではないか、と考えてクラブのメンバーを含めビジネスシステム開発本部の社員に参加を募り、こうして大会を開催することができました。

開催してみて感想はいかがですか?

今大会の開催は、参加者のChatGPTプロンプトエンジニアリング力技術向上への第一歩になったのではないかと思います。プロンプトを工夫することで正解できる問題を難易度別に出題したことで、皆さん楽しみながら夢中で取り組んでもらえてうれしかったです。

また、Zoomを使って、競技者の手元を画面共有するなど、観覧者もプロンプトが作られる様子を見て一緒に楽しめるよう工夫したのも良かったと声をいただきました。

ChatGPTでは、プロンプトのインプットとアウトプットの特性を知ることが非常に重要となります。今後業務に役立てていただければと思います。

今後も継続して開催予定はありますか?

参加者のアンケートなどを見てから決めていこうと思いますが、できるなら今後第2回も考えていきたいですね。今回は汎用的なテーマでの出題が主でしたが、次は実際の業務をテーマに技術的な問題も交えた出題を考えて開催していきたいです。

今回のように既存のインターフェースを使って行うのではなく、生成AIの開発環境も使って開発に特化したテーマでの開催も良いかもしれません。

大会の開催を実現できたのは、競技者、観覧者、GPT CLUBのメンバー、また何より開催のきっかけをいただき運営にも全面的にサポートしてくれた上司の協力が大きく、大変感謝しています。

今回の私たちの取り組みをきっかけに他の本部でもこういった取り組みが広がっていけば良いなと思います。

ChatGPTプロンプト大会参加者の集合写真

今後、生成AIの普及で私たちの働き方も変化していく中で、プロンプトスキルを備えた人材はますます需要が高まることが予想されます。新たなスキルの獲得はハードルが高く思われがちですが、今回の大会のように楽しみながら切磋琢磨していく取り組みがもっと増えるといいですね。

(掲載日:2023年9月13日)
文:ソフトバンクニュース編集部