2024年2月8日、ソフトバンクグループ株式会社(以下「SBG」)の2024年3月期 第3四半期 決算説明会が開催され、取締役 専務執行役員 CFO 後藤芳光が連結業績と今後の方針について説明しました。
純利益9,500億円。連結投資損益が黒字転換し、純利益の大幅改善をけん引
2024年3月期 第3四半期の連結業績は、売上高1兆7,748億円となり、投資利益は4,246億円、税引前利益1兆1,715億円、純利益は9,500億円となりました。主にソフトバンク・ビジョン・ファンド(以下、SVF)での投資利益が純利益の大幅改善をけん引しました。
第3四半期のハイライトの1つとして、1.1兆円相当のTモバイル株式無償取得について言及。SBGは、2020年4月に完了したTモバイルとSBG子会社であったスプリントの合併取引の対価の一部として、一定期間中にTモバイルの株価が一定水準を超えた場合、Tモバイル株式48.8百万株を無償で取得できる権利を受領していました。第3四半期中にその条件が満たされたため、本株式(1.1兆円相当)を無償で取得し、それに伴う利益に計上したと説明しました。また2023年12月末時点のTモバイルの時価総額が、通信事業者として世界最大になったことに触れ、SBGによるスプリント買収前の2012年と比較して、米国最大の通信事業者に成長したこと、そして合併以降株価は99%も上昇していることを説明しました。
重要指標の1つであるNAV(時価純資産)は、アームの株価上昇が大きく寄与し、2023年12月末は9月末から2.8兆円プラスの19.2兆円に増加。またアームの投資実績について、3.3兆円の投資に対して11.7兆円のリターン(2024年2月7日時点)となっていることを説明した後藤は、「大型案件としては非常に素晴らしい投資成績でないかと考えている。世界でAIの発展に最も貢献できる会社はアーム。今後の発展を大いに期待したい」と述べました。
アームを中核としたAIシフトが進む
SBGが保有する資産のバランスがダイナミックに変化していると述べた後藤は、「5年前はアリババの保有資産が全体の5割を占めていたが、現在はAIの中核であるアームを代表に、投資先の大半がAI関連の企業である。それぞれのポートフォリオのシナジーや融和を進めていきながら、AI技術の発展とともにアセットの成長も期待していきたい」と述べました。
続いてアームについて、2023年9月末時点でのアームベースチップの累計出荷数は2,800億個を超え、さまざまな業界との戦略が進展していることを説明。同日朝に決算発表を行ったアームが、売上高通期ガイダンスを上方修正したことにも触れ、「非常に楽しみな状況」と述べました。続いて、アームのさらなる成長ドライバーを4つ挙げ、半導体市場の成長や市場シェアの拡大により、チップ出荷数の増加およびロイヤルティー単価の上昇からロイヤルティー収入による成長が見込めるとしたほか、複雑化されたチップを設計するにあたり、複数のIPライセンスを組み合わせたサブシステムを提供することで、開発コストや製品の市場投入までの時間削減を実現すると説明しました。さらに、さらなるAI需要の拡大に合わせてより高性能でエネルギー効率に優れたチップの開発が必要不可欠であると強調。そして、アームベースのチップをあらゆる製品で正常に稼働させるために、関係企業が協力する世界最大級のネットワークが構築されており、それがアームの非常に大きな優位性となっていると述べました。
SVFのパフォーマンスが大幅改善
2024年3月期 第3四半期のSVFの投資損益は、合計で6,000億円を超える利益となり、直近3四半期連続で黒字となりました。累計投資損益も引き続き改善傾向で進捗しているとしました。
後藤は、「攻め」に転じる方針に変更はなく、引き続き優良案件の発掘に注力すると強調。2023年は未公開投資先が80億ドル以上の資金調達に成功していると述べました。
財務戦略の方針についても不変とし、今後も「守り」と「攻め」に対応できる財務運営を継続すると姿勢を示しました。最後に後藤は、「会社の実力値を上げていくためにはNAVの成長が最も重要で、成長投資をしていかなければいけない。まずは、資本配分の中で新規投資に注力していく。ステップとしてはそこが先になるが、自己株式取得のトレンドも維持しながら慎重に行っていきたい」と考えを示しました。
2024年3月期 第3四半期決算説明会
- プレゼンテーション資料(PDF形式:6.54MB/81ぺージ)
- 短信、データシートなど決算説明会関連資料
(掲載日:2024年2月7日、更新日:2024年2月13日)
文:ソフトバンクニュース編集部