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ご覧いただきありがとうございます。ソフトバンクの小柳です。
本記事では4大パブリッククラウドのコンピューティングサービスについて、概要と特徴を比較します。
これからクラウドに移行したい、クラウドを使用したいけれど、どのサービスを使用したらよいか分からないという方は、ぜひご一読ください。
はじめに、パブリッククラウドのコンピューティングサービスとは何かについてご説明します。
日頃の仕事環境で、データセンターやサーバルームに自社で用意したサーバをご用意されている方も多いかと思いますが、そういった自社サーバ設備を持たず、パブリッククラウドベンダが提供する環境上で仮想的なサーバを稼働させるサービスをコンピューティングサービスと呼びます。
このようなパブリッククラウドのコンピューティングサービスでは、環境の単位を「インスタンス」と呼びます。自社でサーバ設備を持つオンプレミス環境では1台、2台と数えていたものが、パブリッククラウドのコンピューティング環境では、1インスタンス、2インスタンスと数えます。
「インスタンス」は頻繁に出てくる用語になりますので、ぜひ覚えておきましょう。
次に自社でハードウェアを調達してシステムを構築するオンプレミス型と比較して、パブリッククラウドのコンピューティングサービスを利用するメリットとデメリットについてです。
まず、オンプレミス環境では、ハードウェア購入後にリソース追加が必要になった場合、リソースを追加することが困難です。しかし、パブリッククラウドのコンピューティングサービスを利用すると、CPU・メモリ・ディスク容量のようなリソースの追加を、必要な時に必要な分だけを直ぐに追加できます。
また、インフラストラクチャ部分の運用保守責任をパブリッククラウドベンダが負いますので、ハードウェアの制約、保守からも解放されます。ユーザが、ハードウェア故障や老朽化によるリプレースに対応する必要がなくなります。
さらに、オンプレミスの場合では、ハードウェアの仕様と価格を比較・検討・決定した後、ハードウェアが実際に納入されるまで相当の日数を必要とします。パブリッククラウドのコンピューティングサービスでは、意思決定が済めば、調達や変更は数クリックで済むため時間を節約できビジネス要求に素早くこたえることができます。
料金もオンプレミスの場合では考えられない、支払いプランが選択できます。利用した分だけ支払う従量課金形態を選択したり、一定期間以上利用することで長期利用割引を受けられる可能性もあり、正しく利用できればコスト削減にも繋がります。
・オンプレミスとパブリッククラウドのメリットとデメリットの比較表
〇:比較先と比べてメリットがある。
△:比較先と比べて一長一短がある。
×:比較先と比べてデメリットがある。
| オンプレミス | パブリッククラウド | |||
|---|---|---|---|---|
| ハードウェア仕様の決定 | 〇 | 要求・予算に応じて自社で決定できる。 | × | パブリッククラウドベンダが決定する。 利用者側では決められない。 |
| CPU・メモリ・ディスク追加の容易さ | × | 直ぐには難しい場合がある。 | 〇 | 直ぐに追加が可能。 |
| ハードウェア保守 | △ | 自社で行うため、運用負荷がある。
トラブル時も自社で制御できる。 | △ | ハードウェア保守は、パブリッククラウドベンダが行う。 障害時に深い原因追及が出来ない場合がある。 |
| 調達にかかる時間 | × | 購入後、一定の時間が必要。 | 〇 | 直ぐに調達が可能。 |
| 費用面 | △ | 固定金額で予算は立てやすい。 従量課金や長期割引は無い。 | △ | 従量課金や長期割引がある。 従量課金がある場合は、変動するので予算は立てにくい。 |
| セキュリティ | 〇 | 自社で把握していることを前提に、自社の要求に応じてセキュリティを高めることができる。 | △ | パブリッククラウドベンダが提供していることを前提に、 オンプレミス以上にセキュリティ担保の考慮が必要。 |
このようにオンプレミスと比較するとよい面が取り上げられがちですが、デメリットも存在します。
先述の通り、インフラストラクチャ部分の運用保守責任をパブリッククラウドベンダが負いますので、オンプレミスと比較してトラブルが発生した際に利用者側でインフラストラクチャ部分のログを閲覧したり、利用者側で深い原因を追究することができません。自社で全てをコントロール・把握したい場合は、オンプレミス環境を利用する方が適しているといえます。
インフラストラクチャ部分をパブリッククラウドベンダが担うということは、性能や仕様を自社が指定するものに決められない場合があるデメリットも存在します。
また、デメリットではありませんが考慮しておくべき点があります。
オンプレミスと同様にエンタープライズなシステムで停止が許容出来ない場合は、クラウドコンピューティング上でも障害が発生することを前提に、利用者側で対策を講じる必要があります。インスタンス内のセキュリティについても、利用者側で確保する必要があります。
簡単にメリットとデメリットについて記載しましたが、今ではさまざまなパブリッククラウドベンダが存在しており、それぞれでコンピューティングサービスが提供されています。
いざパブリッククラウドのコンピューティングサービスを利用しようと考えても、実際にどのパブリッククラウドを利用したらよいか迷われるかもしれません。
そこで、シェアの高いパブリッククラウド4社のコンピューティングサービスについて、概要や特色についての比較表とコメントを掲載します。
ほとんどの面で各社横並びではありますが、細かいところで違いがあります。
また、現在は対応していなくても、後から対応するようになる場合もあるということがパブリッククラウドならではの特徴です。
※4台パブリッククラウドの比較表とコメントについては、アルファベット順で記載しています。
| Alibaba Cloud | Amazon Web Services | Microsoft Azure | Google Cloud | |
|---|---|---|---|---|
| コンピューティングサービス名称 | Elastic Compute Service(略称:ECS) | Amazon Elastic Compute Cloud (略称:EC2) | Azure Virtual Machines | Google Compute Engine |
| 日本のリージョン数 | 1
東京 | 2 東京、大阪 | 2 東日本、西日本 | 2 東京、大阪 |
| ベンダ独自OS | Alibaba Cloud Linux | Amazon Linux | なし | Google Container-Optimized OS (コンテナ用) |
| インスタンスイメージの提供 | あり | あり | あり | あり |
| マーケットプレースでの インスタンスイメージ数 | 2,000以上 | 10,000程度 | 数千 | 2,000以上 |
| 日本でのWindows2022利用 | 利用可能 | 利用可能 | 利用可能 | 利用可能 |
| インテル以外のCPUを利用する インスタンスの有無 | あり | あり | プレビュー段階 | あり |
| CPUとメモリの自由な組み合わせ | 不可能 | 不可能 | 不可能 | 可能 |
| SLA | あり | あり | あり | あり |
| 見積用サイトの有無 | あり(英語) | あり(日本語対応) | あり(日本語対応) | あり(英語) |
Alibaba Cloudは、日本ではあまり馴染みがないかもしれませんが、世界やアジアでも指折り、中国では圧倒的なシェアを誇るパブリッククラウドサービスです。
Alibaba Cloudには、中国国内での利用がメインの「中国サイト」と、中国国外向けの「国際サイト」の2つのサイトが存在します。2つのサイトの違いは、サービスを運営する企業が異なることで、日本から利用する場合は、Alibaba Cloudシンガポールが運営している「国際サイト」が主に利用されます。
Alibaba Cloudでのコンピューティングサービスは、Elastic Compute Service(略称:ECS)と呼ばれています。
他のクラウドと同様にさまざまなインスタンスのタイプがありますが、金額面はインスタンス単体のみの最安値では1時間当たり0.012ドルから選択できますし、課金方式は従量課金以外にも1か月から複数年という単位でインスタンスを購入し割引を受けることもできます。
また、機能面では細かく設定できる点を売りにしている他クラウドと比べて、細かな設定をしなくてもデフォルトの設定をクリックしていくだけで、システムに不慣れな方でも簡単にインスタンスを作成できる手軽さがあります。
Amazon Web Servicesは、ECサイトで有名なAmazon関連のAmazon Web Services社が提供しているパブリッククラウドサービスで、通称AWSと呼ばれています。パブリッククラウドの分野では、世界シェア1位で業界の第一人者でもあります。
パブリッククラウドのコンピューティングサービスはもちろん提供されており、Amazon Elastic Compute Cloud通称EC2として提供されています。
インスタンスに細かい設定ができることでオンプレミス環境と遜色がない使い勝手を実現しており、パブリッククラウド初心者から開発者まで幅広い層の支持を得ています。
関連サービスになりますが、インスタンスを作成するときにAmazon Machine Image通称AMIと呼ばれる、OS、アプリケーション、ソフトウェアなどがあらかじめインストールされた状態のインスタンスイメージ数が非常に豊富に提供されています。構築に不慣れ、あらかじめインストールされているもので十分といった場合は、提供されているインスタンスイメージからインスタンスを作成すると、環境の構築にかかる時間を短縮できます。
また、新規機能やプランが他社よりも先に開発・提供され、それを他社が追従するといったような業界トップらしい傾向があります。
Microsoft Azureは、Windows OSやOfficeソフトで有名なMicrosoft社が提供しているパブリッククラウドサービスで、Azureはアジュールと読みます。
Microsoft Azureからもコンピューティングサービスが提供されており、Azure Virtual Machineという名称で提供されています。
執筆時点でMicrosoft Azureは他のサービスも含め、他社と比べて通称のものが少なく、名称を見てすぐに分かるサービス名となっています。
Microsoft社が提供しているということで、Active Directory環境やWindows MobileといったMicrosoft社製品との親和性が高いことが、Microsoft Azureを利用する場合のメリットとしてあげられます。
Windowsのみではなく、Linuxインスタンスも構築できますので、WindowsとLinuxが混在している環境もMicrosoft Azure上に展開できます。
また、更新プログラムの提供が終ってしまった古いオンプレミスのWindows製品向けには、有償で更新プログラムが提供されますが、古いOSでもMicrosoft Azureに移行すると拡張セキュリティ更新プログラム(Extended Security Update 通称:ESU)が無償で提供されています。
さらに既存で有効なソフトウェアアシュアランス(SA)をお持ちの場合は、Azure ハイブリッド特典と呼ばれる価格特典があります。このように価格だけでは収まらない、既存のWindowsユーザとそのクラウドへの移行支援にもメリットがあります。
Google Cloudは、検索エンジン、Gmail 、YouTubeなどを提供しているGoogle 社が提供しているパブリッククラウドサービスです。
通称GCPと呼ばれていますが、これは2021年までの名称だったGoogle Cloud Platformから来ています。
コンピューティングサービスは、Google Compute Engine通称GCEとして提供されており、Googleが提供しているサービスと同じインフラストラクチャー上でインスタンスを作成して実行できるサービスです。
料金は執筆時点で1時間あたり0.035ドルから選択でき、CPU数とメモリ容量があらかじめ決められたインスタンスの中から選択するか、他社にない特長としてスペックを自由にカスタマイズしたインスタンスを作成できます。
また、各社でパブリッククラウドを利用するときに無料枠がありますが、Google CloudではAlways Freeという条件を満たすインスタンスを無料で利用し続けられる無料枠が存在します。
利用ケースは、利用者側の要件やコンピューティングサービス以外のご利用状況もありますので、あくまで一例ではありますが、以下のようなケースがあります。
・Alibaba Cloudの場合は、すでに中国・アジアに拠点が存在している場合や、今後の中国・アジア地域にビジネス展開が考えられる場合に選定されるケースがあります。
・Amazon Web Servicesの場合は、パブリッククラウド業界標準となっており利用者も情報も多いことから選定されるケースがあります。
・Microsoft Azureの場合は、既存のシステムがWindowsベースで開発されている、ドメイン環境をクラウドに移行したいなど、Microsoft製品との親和性を求める場合に選定されるケースがあります。
・Google Cloudの場合は、Google Mapsの地理データ、Googleが保有するビッグデータとの連携を考慮するなど、Googleが提供しているサービスとの親和性を求めて選定されるケースがあります。
利用ケースを参考にして、皆さんの利用シーンに合わせて使い分けてみてください。
Alibaba Cloudは中国国内でのクラウド利用はもちろん、日本-中国間のネットワークの不安定さの解消、中国サイバーセキュリティ法への対策など、中国進出に際する課題を解消できるパブリッククラウドサービスです。
ソフトバンクはAWS アドバンストティアサービスパートナーです
「はじめてのAWS導入」から大規模なサービス基盤や基幹システムの構築まで、お客さまのご要望にあわせて最適なAWS環境の導入を支援します。
Microsoft Azureは、Microsoftが提供するパブリッククラウドプラットフォームです。コンピューティングからデータ保存、アプリケーションなどのリソースを、必要な時に必要な量だけ従量課金で利用することができます。
Google サービスを支える、信頼性に富んだクラウドサービスです。お客さまのニーズにあわせて利用可能なコンピューティングサービスに始まり、データから価値を導き出す情報分析や、最先端の機械学習技術が搭載されています。
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