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クラウドのデータベースは、クラウドサービス環境を介してクラウドサービス側が構築、展開、アクセスできるようインターフェース提供、負荷監視基盤の提供までもしてくれるPaaS型データベースです。今回、Alibaba Cloud、 Amazon Web Services、Micosoft Azure、Google Cloudなど主要クラウドサービスのそれぞれのクラウドデータベースのプロダクトサービスを揃えつつ比較してみます。
冒頭に述べた通り、クラウドのデータベースは、ユーザーがコンソール上のボタンをクリックするだけでクラウドサービス側がデータベースを構築、展開、アクセスできるよう提供してくれるPaaS型データベースです。PaaSは、Platform as a Serviceの略称で、各クラウドサービス側がデータベースの基盤となるハードウェア調達と仮想マシンの構築からデータベースサービスのインストール、データベースエンジンの構成までを全て行ってくれます。
そのため、ユーザーはPaaS型プロダクトサービスとしてデータベースを操作するだけで済むので、運用負荷を軽減することができます。クラウドコンピューティングの柔軟性として、初期設計時DBサイジングで迷う場合でも、後日ワークロードに応じてスペック変更やノード追加を気軽に行うことができます。コンソールでボタンを数回クリックするだけです。バックアップや障害対応も自動で対応することができます。総じて、これをクラウドによるフルマネージド型データベースサービスと呼びます。
フルマネージド型データベースサービスとしてDBaaS(Database-as-a-Service)と呼ぶ場合もあります。PaaS型データベース以外に、データベースソフトウェアを仮想コンピューティングで手動インストールし運用するIaaS型データベースもあります。IaaS型データベースはPaaS型と比べて自己責任範囲が増えますが、その分利用者自身でコントロールすることができます。
クラウドサービス上のデータベースの主なメリットは次のとおりです。
- 素早い展開
- クラウドサービス上のデータベースは、WebコンソールもしくはSDK、API経由で素早くクラスターを立ち上げることができるため、導入における労力を大幅に減らせます。ハードウェアの購入やインストール作業、ネットワークの構築は不要です。
- アクセシビリティ
- クラウドサービスのAPIやWebコンソール、エンドポイントを通じて、セキュリティを保ちながらユーザーはクラウドデータベースにリモートで素早くアクセスすることができます。
- スケーラビリティ
- クラウドサービス上のデータベースの運用を中断することなく、シームレスにストレージ容量を拡張することができます。設備増強が一瞬で終わるため、対応リソースが限られたシナリオや企業にとって大きなメリットとなります。
- 災害復旧
- クラウドサービス上のデータベースは定期的にバックアップされ、オブジェクトストレージなどのリモートサーバーに自動保存されます。このバックアップにより、自然災害や機器障害などが発生した場合でも、すぐに復旧し、ビジネスを継続することが可能になります。
- ハードウェアの運用コスト削減
- クラウドサービス上のデータベースは、インフラを提供し、データベースのメンテナンスを行います。そのため、利用ユーザーや利用企業はハードウェアへの投資を抑え、データベースのメンテナンスのためのエンジニアリソースを削減できます。
- 使った分だけ課金
- 利用ユーザーや利用企業は使用した分だけ支払い、不要なときはサービスを停止することができます。この恩恵により、大幅なコスト削減が可能です。
クラウドによるフルマネージド型サービスはデータベース以外にも色々ありますので、ご自身で調べてみるのもいいでしょう。
Alibaba Cloud、Amazon Web Services、Micosoft Azure、Google Cloudの クラウドデータベースプロダクトサービスは全部で84種類(2022年5月9日時点)あり、またカテゴリーに分類しても20種類以上と幅広くあります。そのため、「データベースは何を選べばいいか?」という考えに対し、目的に応じた適材適所な選択ができるよう、全体図をまとめてみました。
PaaS型リレーショナルデータベースは、ハードウェアやデータセンター、OSなどの調達をクラウドサービス側が全て行うことで、利用者はWebコンソールを中心としながら運用の負担を軽減および迅速かつ効率的にリレーショナルデータベースを使ったアプリケーションを開発・展開することができる、クラウド上のフルマネージド型リレーショナルデータベースサービスです。
| Alibaba Cloud | Amazon Web Services | Microsoft Azure | Google Cloud | |
MySQL | ||||
PostgreSQL | ||||
Oracle | ||||
SQL Server | ||||
MariaDB |
Cloud-Nativeデータベースは、クラウドサービスによる恩恵を活かしつつ、ユーザーのワークロードに応じてインスタンスらNodeやスペックを動的にスケーリングすることができる、シェアードナッシングアーキテクチャのPaaSフルマネージド型データベースサービスです。
| Alibaba Cloud | Amazon Web Services | Microsoft Azure | Google Cloud | |
Cloud-Native DB | ApsaraDB for PolarDB、 ApsaraDB for HBase(Lindorm) | Azure SQL Database、CosmosDB | Cloud Spanner、AlloyDB for PostgreSQL |
NoSQLデータベースはリレーショナルデータベースの象徴であるリレーショナルモデルに依存せず、スキーマやテーブル構造を持たない一種のデータベースです。その恩恵として、リレーショナルデータベースとして必要だった一貫性の一部を捨てつつ、パフォーマンスと可用性を重視することができます。
| Alibaba Cloud | Amazon Web Services | Microsoft Azure | Google Cloud | |
Key-Valuesデータベース | ||||
Memcached(In-Memoryデータベース) | ||||
Redis(In-Memoryデータベース) | ||||
HBase(Wide-column Storeデータベース) | ||||
Cassandra(Wide-column Storeデータベース) | ||||
グラフデータベース | ||||
時系列データベース | ||||
ドキュメントデータベース | ||||
台帳データベース |
データプラットフォームはデータを継続的に分析するためのデータ管理サイクルをサポートするプラットフォームです。データプラットフォームの目標は、コスト効率、拡張性、安全性の高い方法で、データ分析によるビジネス上の洞察を素早く得ることです。歴史的にはトランザクション処理として少量のデータを継続で更新や削除していくオペレーション目的のリレーショナルデータベース(OLTP)に対し、大量のデータから素早くデータを抽出・集計・分析に特化したアナリティクスデータベース(OLAP)として登場した背景があります。
| Alibaba Cloud | Amazon Web Services | Microsoft Azure | Google Cloud | |
Data Lake | ||||
Data Warehouse | ||||
Data Warehouse |
マイグレーションは、名前通りオンプレミス、クラウド、プラットフォームなどから、別のプラットフォームへデータを移行するための手法を支えてくれるユーティリティです。
| Alibaba Cloud | Amazon Web Services | Microsoft Azure | Google Cloud | |
データ転送サービス | ||||
データベース移植診断サービス |
データ統合・ELTは、単体あるいは複数あるオンプレミス、クラウド、プラットフォームなどからのデータをとりまとめ、必要に応じてデータを変換し、統一された別のプラットフォームへデータを移行するユーティリティです。データの変換は、データ型やデータサイズ、ファイルタイプ変換、圧縮有無などがあり、シナリオ次第では異種データベース連携やデータプラットフォームにおいてデータ統合・ETL処理の面で役立ちます。
| Alibaba Cloud | Amazon Web Services | Microsoft Azure | Google Cloud | |
データ統合・ETL |
データベースバックアップは名前通り、データベースをバックアップするユーティリティです。リアルタイム増分バックアップをはじめ、コストを意識した災害復旧対策用バックアップなど様々なバックアップソリューションがあります。AlibabaやAWSのように別のプロダクトサービスとして展開するものがあれば、Azure、GCPのようにそれぞれのデータベースプロダクトサービスの機能に付帯して展開するものもあります。
| Alibaba Cloud | Amazon Web Services | Microsoft Azure | Google Cloud | |
データベースバックアップ |
上記説明には触れなかったデータベースプロダクトサービスとして周囲を支える様々なユーティリティです。例えばオンプレミスとクラウドを相互連携するDatabase Gateway、データベースを自動チューニングしてくれるDatabase Autonomy Serviceなどがあります。
| Alibaba Cloud | Amazon Web Services | Microsoft Azure | Google Cloud | |
データベース運用サービス | ||||
データベースゲートウェイ | ||||
データ管理サービス |
各クラウドサービスごとのデータベースポートフォリオをまとめてみました。Alibaba Cloud、AWS、Azure、Google Cloudのデータベースプロダクトサービスは全部で84種類もあります。それだけにデータベースは幅広い領域で活躍しています。次回以降の記事にて、どういうデータベースがあって、どういうシナリオ向けか、それぞれ段階的に紹介する予定です。
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