主要クラウドのデータベース一覧紹介

2022年06月03日掲載

キービジュアル

はじめに

クラウドのデータベースは、クラウドサービス環境を介してクラウドサービス側が構築、展開、アクセスできるようインターフェース提供、負荷監視基盤の提供までもしてくれるPaaS型データベースです。今回、Alibaba Cloud、 Amazon Web Services、Micosoft Azure、Google Cloudなど主要クラウドサービスのそれぞれのクラウドデータベースのプロダクトサービスを揃えつつ比較してみます。

目次

クラウドのデータベースとは

冒頭に述べた通り、クラウドのデータベースは、ユーザーがコンソール上のボタンをクリックするだけでクラウドサービス側がデータベースを構築、展開、アクセスできるよう提供してくれるPaaS型データベースです。PaaSは、Platform as a Serviceの略称で、各クラウドサービス側がデータベースの基盤となるハードウェア調達と仮想マシンの構築からデータベースサービスのインストール、データベースエンジンの構成までを全て行ってくれます。

そのため、ユーザーはPaaS型プロダクトサービスとしてデータベースを操作するだけで済むので、運用負荷を軽減することができます。クラウドコンピューティングの柔軟性として、初期設計時DBサイジングで迷う場合でも、後日ワークロードに応じてスペック変更やノード追加を気軽に行うことができます。コンソールでボタンを数回クリックするだけです。バックアップや障害対応も自動で対応することができます。総じて、これをクラウドによるフルマネージド型データベースサービスと呼びます。

フルマネージド型データベースサービスとしてDBaaS(Database-as-a-Service)と呼ぶ場合もあります。PaaS型データベース以外に、データベースソフトウェアを仮想コンピューティングで手動インストールし運用するIaaS型データベースもあります。IaaS型データベースはPaaS型と比べて自己責任範囲が増えますが、その分利用者自身でコントロールすることができます。

クラウドサービス上のデータベースの主なメリットは次のとおりです。

- 素早い展開
  - クラウドサービス上のデータベースは、WebコンソールもしくはSDK、API経由で素早くクラスターを立ち上げることができるため、導入における労力を大幅に減らせます。ハードウェアの購入やインストール作業、ネットワークの構築は不要です。

- アクセシビリティ
  - クラウドサービスのAPIやWebコンソール、エンドポイントを通じて、セキュリティを保ちながらユーザーはクラウドデータベースにリモートで素早くアクセスすることができます。

- スケーラビリティ
  - クラウドサービス上のデータベースの運用を中断することなく、シームレスにストレージ容量を拡張することができます。設備増強が一瞬で終わるため、対応リソースが限られたシナリオや企業にとって大きなメリットとなります。

- 災害復旧
  - クラウドサービス上のデータベースは定期的にバックアップされ、オブジェクトストレージなどのリモートサーバーに自動保存されます。このバックアップにより、自然災害や機器障害などが発生した場合でも、すぐに復旧し、ビジネスを継続することが可能になります。

- ハードウェアの運用コスト削減
  - クラウドサービス上のデータベースは、インフラを提供し、データベースのメンテナンスを行います。そのため、利用ユーザーや利用企業はハードウェアへの投資を抑え、データベースのメンテナンスのためのエンジニアリソースを削減できます。

- 使った分だけ課金
  - 利用ユーザーや利用企業は使用した分だけ支払い、不要なときはサービスを停止することができます。この恩恵により、大幅なコスト削減が可能です。

クラウドによるフルマネージド型サービスはデータベース以外にも色々ありますので、ご自身で調べてみるのもいいでしょう。

クラウドサービス上のデータベース全体像

Alibaba Cloud、Amazon Web Services、Micosoft Azure、Google Cloudの クラウドデータベースプロダクトサービスは全部で84種類(2022年5月9日時点)あり、またカテゴリーに分類しても20種類以上と幅広くあります。そのため、「データベースは何を選べばいいか?」という考えに対し、目的に応じた適材適所な選択ができるよう、全体図をまとめてみました。

PaaS型リレーショナルデータベース

PaaS型リレーショナルデータベースは、ハードウェアやデータセンター、OSなどの調達をクラウドサービス側が全て行うことで、利用者はWebコンソールを中心としながら運用の負担を軽減および迅速かつ効率的にリレーショナルデータベースを使ったアプリケーションを開発・展開することができる、クラウド上のフルマネージド型リレーショナルデータベースサービスです。

Cloud-Native データベース

Cloud-Nativeデータベースは、クラウドサービスによる恩恵を活かしつつ、ユーザーのワークロードに応じてインスタンスらNodeやスペックを動的にスケーリングすることができる、シェアードナッシングアーキテクチャのPaaSフルマネージド型データベースサービスです。

 Alibaba Cloud

Amazon Web Services

Microsoft AzureGoogle Cloud

Cloud-Native DB

ApsaraDB for PolarDB
ApsaraDB for HBase(Lindorm)

Amazon Aurora

Azure SQL DatabaseCosmosDBCloud SpannerAlloyDB for PostgreSQL

NoSQL データベース

 NoSQLデータベースはリレーショナルデータベースの象徴であるリレーショナルモデルに依存せず、スキーマやテーブル構造を持たない一種のデータベースです。その恩恵として、リレーショナルデータベースとして必要だった一貫性の一部を捨てつつ、パフォーマンスと可用性を重視することができます。

データプラットフォーム

データプラットフォームはデータを継続的に分析するためのデータ管理サイクルをサポートするプラットフォームです。データプラットフォームの目標は、コスト効率、拡張性、安全性の高い方法で、データ分析によるビジネス上の洞察を素早く得ることです。歴史的にはトランザクション処理として少量のデータを継続で更新や削除していくオペレーション目的のリレーショナルデータベース(OLTP)に対し、大量のデータから素早くデータを抽出・集計・分析に特化したアナリティクスデータベース(OLAP)として登場した背景があります。

 Alibaba Cloud

Amazon Web Services

Microsoft AzureGoogle Cloud

Data Lake

Data Lake Analytics

Amazon Athena

Azure Data Lake Analytics

Google BigQuery

Data Warehouse

AnalyticDB for MySQL

Amazon Redshift

Azure Synapse Analytics

Google BigQuery

Data Warehouse

AnalyticDB for PostgreSQL

   

マイグレーション

マイグレーションは、名前通りオンプレミス、クラウド、プラットフォームなどから、別のプラットフォームへデータを移行するための手法を支えてくれるユーティリティです。

 Alibaba Cloud

Amazon Web Services

Microsoft AzureGoogle Cloud

データ転送サービス

Data Transmission Service

AWS Database Migration Service

Azure Database Migration Service

Database Migration Service

データベース移植診断サービス

Advanced Database & Application Migration

AWS Database Migration Service

Azure Database Migration Service

 

データ統合・ETL

データ統合・ELTは、単体あるいは複数あるオンプレミス、クラウド、プラットフォームなどからのデータをとりまとめ、必要に応じてデータを変換し、統一された別のプラットフォームへデータを移行するユーティリティです。データの変換は、データ型やデータサイズ、ファイルタイプ変換、圧縮有無などがあり、シナリオ次第では異種データベース連携やデータプラットフォームにおいてデータ統合・ETL処理の面で役立ちます。

 Alibaba Cloud

Amazon Web Services

Microsoft AzureGoogle Cloud

データ統合・ETL

DataWorks

AWS Glue

Azure Data Factory

Cloud Data Fusion

データベースバックアップ

データベースバックアップは名前通り、データベースをバックアップするユーティリティです。リアルタイム増分バックアップをはじめ、コストを意識した災害復旧対策用バックアップなど様々なバックアップソリューションがあります。AlibabaやAWSのように別のプロダクトサービスとして展開するものがあれば、Azure、GCPのようにそれぞれのデータベースプロダクトサービスの機能に付帯して展開するものもあります。

 Alibaba Cloud

Amazon Web Services

Microsoft AzureGoogle Cloud

データベースバックアップ

Database Backup

AWS Backup

  

ユーティリティ・その他周囲サービス

上記説明には触れなかったデータベースプロダクトサービスとして周囲を支える様々なユーティリティです。例えばオンプレミスとクラウドを相互連携するDatabase Gateway、データベースを自動チューニングしてくれるDatabase Autonomy Serviceなどがあります。

 Alibaba Cloud

Amazon Web Services

Microsoft AzureGoogle Cloud

データベース運用サービス

Database Autonomy Service

   

データベースゲートウェイ

Database Gateway

   

データ管理サービス

Data Management

   

まとめ

各クラウドサービスごとのデータベースポートフォリオをまとめてみました。Alibaba Cloud、AWS、Azure、Google Cloudのデータベースプロダクトサービスは全部で84種類もあります。それだけにデータベースは幅広い領域で活躍しています。次回以降の記事にて、どういうデータベースがあって、どういうシナリオ向けか、それぞれ段階的に紹介する予定です。

 

関連サービス

Amazon Web Services (AWS)

ソフトバンクはAWS アドバンストティアサービスパートナーです

「はじめてのAWS導入」から大規模なサービス基盤や基幹システムの構築まで、お客さまのご要望にあわせて最適なAWS環境の導入を支援します。

Microsoft Azure

Microsoft Azureは、Microsoftが提供するパブリッククラウドプラットフォームです。コンピューティングからデータ保存、アプリケーションなどのリソースを、必要な時に必要な量だけ従量課金で利用することができます。

Google Cloud

Google サービスを支える、信頼性に富んだクラウドサービスです。お客さまのニーズにあわせて利用可能なコンピューティングサービスに始まり、データから価値を導き出す情報分析や、最先端の機械学習技術が搭載されています。

Alibaba Cloud

Alibaba Cloudは中国国内でのクラウド利用はもちろん、日本-中国間のネットワークの不安定さの解消、中国サイバーセキュリティ法への対策など、中国進出に際する課題を解消できるパブリッククラウドサービスです。

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