ストレージオプションの選び方 HDD料金編 (Alibaba/AWS/Azure/Google)

2022年9月9日掲載

キービジュアル

クラウドコンピューティングのストレージオプションについて、どのような選択肢があり、どういった違いがあるかをふまえて、選択時のポイントについてまとめてみました。

目次

  • この記事ではクラウドコンピューティングでのストレージオプションについて説明しています。
  • これからコンピューティングをはじめてみようという方や、ストレージオプションは何を選んだらいいか迷っている方向けの記事です。
  • この記事を読むことによって、ストレージオプションの違いがわかり、目的に最適なストレージを選択するための手がかりになることを意図しています。

今回の内容

前回の記事では、各プロダクトのディスク容量と性能(IOPS、スループット)について、簡単に紹介しました。

今回の記事では、HDDの各プロダクトの料金について、違いを見ていきたいと思います。

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HDDでの1GBあたりの最低基本料金

ディスクを1ヵ月間確保した場合の、1ギガバイトあたりの最低基本料金について調べてみました。

基本料金のレンジは、0.015ドルから0.048ドルまでとなっています。

⚠️ 最も安くなるリージョンをもとに算出しているため、他のリージョンでは割高になる場合があります。

⚠️ Microsoft Azure は容量によって料金が異なるため、250GBを確保した場合で計算しています。

HDDは性能よりもコスト優先のプロダクトであるため、容量を主体とした料金体系となっています。

なお、次のパート4で紹介するSSDの料金体系では、さらに性能も加味されたものとなっています。

HDDの課金単位と対象

 Alibaba CloudAmazon Web ServicesMicrosoft AzureGoogle Cloud
課金単位時間
  • 時間
課金対象
  • 容量
  • 容量
  • 容量(段階別)
  • トランザクション回数
  • 容量

料金シミュレーション

今回は以下のシナリオをもとに、課金される料金をシミュレーションしてみます。

  • 6月5日 10時に東京リージョンで仮想マシンと同時に250ギガバイトのデータディスクをプロビジョニング
  • 6月10日 13時に仮想マシンをシャットダウン
  • 6月11日 17:30:30に仮想マシンと一緒にデータディスクを削除

事前準備

料金を計算するための事前準備として、以下の時間を算出しておきます。

  • 6月全体の時間(秒)
  • 実際にストレージ容量を確保していた時間(秒)

単位を秒数にしているのは課金単位時間に合わせるためです。

まず、6月全体の時間は2,592,000秒になります。計算式は以下の通りです。

つぎに、実際にストレージ容量を確保していた期間は上の図にある通り、「6/5 10:00:00」から「6/11 17:30:30」までの「6日7時間30分30秒」です。秒に換算すると545,430秒になります。

Alibaba Cloud - UltraディスクHDD

UltraディスクHDDの東京リージョンの基本料金は「5.2 USD/100GB/Month」となっていました。100ギガバイトのディスクを1ヵ月間確保すると、5.2ドルかかるという意味ですね。

なお、最も安いリージョンはクアラルンプールやムンバイなどの「4.9 USD/100GB/Month」で、最も高いリージョンはタイや中国本土などの「7.7 USD/100GB/Month」でした。

⚠️上記の基本料金はサブスクリプション契約の場合で、従量課金の場合は割高になります。

今回のシナリオでは約2.73ドルとなりました。計算式は以下の通りです。

参考までに為替レートが1ドルあたり130円とすると 日本円で約355円になります。

Amazon Web Services - スループット最適化HDD

スループット最適化HDDの東京リージョンの基本料金は「 0.054 USD/GB/Month」となっていました。1ギガバイトのディスクを1ヵ月間確保すると、0.054ドルかかるという意味ですね。

なお、最も安いリージョンはオハイオなどの「0.045 USD/GB/Month」で、最も高いリージョンはサンパウロの「0.086 USD/GB/Month」でした。

今回のシナリオでは約2.84ドルとなりました。計算式は以下の通りです。

1ドルあたり130円とすると、約369円になります。

Amazon Web Services - ColdHDD

ColdHDDの東京リージョンの基本料金は「0.018 USD/GB/Month」となっていました。1ギガバイトのディスクを1ヵ月間確保すると、0.018ドルかかるという意味ですね。

なお、最も安いリージョンはオハイオなどの「0.015 USD/GB/Month」で、最も高いリージョンはサンパウロの「0.0288 USD/GB/Month」でした。

今回のシナリオでは約0.94ドルとなりました。計算式は以下の通りです。

1ドルあたり130円とすると、約123円になります。

スループット最適化HDDと比べると基本料金は1/3です。

最大スループット192MB/秒は、スループット最適化HDDの500MB/秒に対して約1/3になるため、性能に見合った料金と言えるかもしれません。

Microsoft Azure - Standard HDD

Microsoft Azure の Managed Disksの場合は、オファリングという容量クラスが定められていて、オファリングの容量に切り上げられた料金が適用されます。

Japan Eastリージョンで250ギガバイトのディスクをプロビジョニングした場合、「S15 256GB 11.328 USD」が適用されます。(下位クラスは「S10 128GB 5.888 USD」です)

なお、最も安いリージョンは東日本や北米などで、最も高いリージョンはブラジル南東の「S15 256GB 35.34 USD」でした。

また、課金単位時間は1時間となるため、6月全体の時間は720時間となり、実際にストレージ容量を確保していた時間は「6日8時間=152時間」となります。

今回のシナリオでのストレージ容量の料金は約2.33ドルとなりました。計算式は以下の通りです。

1ドルあたり130円とすると 約303円になります。

さらに、ディスク容量とは別に、ディスクへの読み書き(トランザクション)の回数に対して10,000回あたり0.0005ドルの課金が発生します。(こちらはリージョンやオファリングによる価格差は見られませんでした)

今回は最も高額になる例として、常にIOPSが上限に達していた場合を想定してみます。(S15の場合、プロビジョニングIOPSは500です)

今回のシナリオのトランザクション回数の料金は約13.68ドルとなります。計算式は以下の通りです。

1ドルあたり130円とすると、約1,778円になります。

ちなみに、1ドルあたりの利用可能なトランザクション回数は2,000万回で、IOPSをフルに使った場合の利用可能な時間は40,000秒(約11時間)となります。計算式は以下の通りです。

Google Cloud - 標準永続ディスク

標準永続ディスクの東京リージョンの基本料金は「 0.052 USD/GB/Month」となっていました。1ギガバイトのディスクを1ヵ月間確保すると、0.052ドルかかるという意味ですね。

なお、最も安いリージョンはアイオワなどの「0.04 USD/GB/Month」で、最も高いリージョンはサンパウロの「0.06 USD/GB/Month」でした。

今回のシナリオでは、約2.73ドルとなりました。計算式は以下になります。

1ドルあたり130円とすると、約355円になります。

料金シミュレーションのまとめ

今回のシミュレーションでは以下のような結果となりました。

⚠️ Microsoft Azureはトランザクション回数を考慮に入れていません。

⚠️ 今回のシミュレーション結果はあくまでも一つの目安にすぎません。現実味のあるシナリオで実際に計算してみることをお勧めします。

ここまでのまとめ & 次回は

今回は、HDDの各プロダクトの料金とその計算方法について、簡単に紹介しました。

  • ディスク容量に対する課金は確保していた時間が対象となります。接続していた仮想マシンを削除しても、ディスクが残存している間は利用の有無にかかわらず課金されます。
  • HDDの料金比較では、性能は考慮されていないことに注意してください。
  • リージョン間の価格差はベンダによって異なることも、頭の隅に入れておいてください。

次回は、SSDの各プロダクトの料金について、違いを見ていきたいと思います。

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