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クラウドエンジニアリング本部の宮田銀河です。
新卒の部署配属から早くも1年半が経過しました。この1年半でさまざまな業務を経験し、多くの事を学びました。その中の1つに資格勉強による学びがあります。私は、この1年半の間に情報工学やクラウドに関する12個のIT資格を取得しました。この記事では、学生時代の自分自身や新卒配属当時の私が知りたかった資格に関する情報をまとめました。内容は以下の通りです。
エンジニア志望の学生や新卒エンジニアの資格受験の参考になれば幸いです。各資格の勉強方法を記載すると長文になることが予想されたので、勉強方法は記載していません。
受験した資格の試験団体、資格名、受験日を下の表に記載しました。IPA、Microsoft、AWS、Googleなど複数の団体の資格を受験しました (IPA: 情報処理推進機構、 AWS: Amazon Web Services)。
例年、当社の新卒の配属は6月に発表されます。その配属発表後から本格的に資格勉強を開始し、2022年6月までの1年間で12個の資格に合格しました。
No | 試験団体 | 資格名 | 受験日 |
|---|---|---|---|
1 | Microsoft | Azure Fundamentals | 2021/06/11 |
2 | IPA | 基本情報技術者(FE) | 2021/06/26 |
3 | AWS | Cloud Practitioner | 2021/07/13 |
4 | AWS | Solutions Architect Associate | 2021/07/27 |
5 | AWS | Developer Associate | 2021/07/31 |
6 | Microsoft | Azure Administrator Associate | 2021/09/02 |
7 | IPA | 応用情報技術者(AP) | 2021/10/10 |
8 | AWS | SysOps Administrator Associate | 2022/02/24 |
9 | Microsoft | Azure AI Fundamentals | 2022/03/17 |
10 | Associate Cloud Engineer | 2022/03/18 | |
11 | IPA | 情報処理安全確保支援士(SC) | 2022/04/17 |
12 | AWS | Solutions Architect Professional | 2022/05/13 |
合格した資格名とそのレベルを時系列順にプロットした画像を添付します (横軸が時間、 縦軸が資格のレベル)。レベルは主観ではなく各試験団体のレベルを参考にしました。例えば、IPAの高度レベルとAWSのプロフェッショナルは、高度と定義しました。
以降は、これらの資格の受験理由→資格を勉強するメリット→オススメの資格の順に紹介します。
上記資格の受験理由はさまざまですが、主な理由は以下の通りです。
理由1: チーム内での知識レベルのギャップを埋めるため
理由2: 業務で必要だと分かったため
理由3: 学生時の経験や知識を忘れないうちに、受験したかったため
それ以外
例えば基本情報技術者試験 (FE)の受験理由は、 私自身が非情報系学部の出身 (機械系学部卒) で情報工学の知識に不安があり、チーム内での知識レベルのギャップを埋めたかったからです (理由1) 。AzureのFundamentalsの受験理由は、配属部署の業務がAzureメインだったためです (理由2) 。このFundamentals合格後は、AWSの資格勉強をしました。学生時代にAWSを使用した経験があり、忘れたくなかったためです (理由3) 。
資格の受験理由を下記の表に整理しました。理由1 (チーム内での知識レベルのギャップを埋める)の数が最多であり、私の資格勉強の主な動機であるとわかります。
資格名 | 理由1: ギャップを埋める | 理由2: 業務で必要 | 理由3: 学生時代の経験 | それ以外の理由 |
|---|---|---|---|---|
Azure Fundamentals |
| ◯ |
| |
基本情報技術者(FE) | ◯ |
| 同期から資格勉強を誘われたため | |
AWS Cloud Practitioner | ◯ | |||
| AWS Solutions Architect Associate | ◯ | |||
| AWS Developer Associate | ◯ | |||
| Azure Administrator Associate | ◯ | ◯ | ||
応用情報技術者(AP) | ◯ | |||
| AWS SysOps Administrator Associate | ◯ | |||
Azure AI Fundamentals | ◯ | |||
Google Cloud Associate Cloud Engineer | ◯ | ◯ | Google Cloudと各クラウドの違いが気になったため | |
情報処理安全確保支援士(SC) | ◯ | |||
| AWS Solutions Architect Professional | ◯ | “Professional”に憧れがあったため |
これらの資格勉強をして多くのメリットを感じました。そのメリットの中でも特に有意義だと感じたメリットは以下の通りです。
チームの会話を理解できるようになる
高難易度のタスクをもらえる
お金がもらえる
下記に、これらのメリットを感じた業務上の出来事を記載します。
資格を勉強する前までは、チーム内の会話を聞いて「どこの方言ですか?」と思うほど理解不能でした。しかし多くの資格を取得するにつれて、チームの会話がおおむね理解できるようになりました。また、会話中にわからない単語があると「あぁ、この単語は会社特有の造語だな」と予測できるようにもなりました。資格勉強をして知識が増えたおかげです。
この出来事は、7月にAWSの資格を3つ取得した後に起こりました。小さなタスクをこなしていたある日、チームリーダから「最近、AWSの資格取得したみたいだし、MSPサービスに関係するCI/CDの実装に興味ない?難易度高めだけど、サポートはするよ」と声を掛けてもらえました。おそらく、AWSの資格取得してなかったら、声は掛からなかったと思います。このタスクを完遂したおかげで、評価が上がり給料が増えたのは言うまでもありません。
また、私が持っている資格を他者が持っていると「この人はあの試験に合格できたのね。ということは、OOの能力とXXの知識はありそうだな」と他者のレベルを想定することができ、タスクの割り当てが容易になります。資格を取得していることは、タスクを割り当てる側ともらう側の双方にメリットがあると考えられます。
当社は、資格を取得すると資格受験料と奨励金を受け取ることができます。資格の難易度が高ければ高いほど、その奨励金は高くなります。直近だと、情報処理安全確保支援とAWSのSolutions Architect Professionalの奨励金を受け取りました。
この章では、前述の1と2のメリットを考慮して、取得すべきオススメの資格を記載します。3を省いたのは、奨励金の詳細を公開することは難しいためです。
現時点の私の主観をもとに、下記の資格表を作りました。取得すべき資格はチームメンバーのスキルセットや業務内容に依存するため、「OOOの資格が絶対にオススメ」とは言いません。この表を参考にして取得すべき資格を考えるとよいと思います。
表の「1.チーム内の会話の理解に役立つ」列の◯は”役立つ”、◎は”頻繁に役立つ”ことを意味し、「2.高難易度のタスクをもらえる可能性」列の◯は”高い”、◎は”非常に高い"ことを意味します。
資格名 | 1.チーム内の会話の理解に役立つ | 2.高難易度のタスクをもらえる可能性 (合格に必要な能力や知識) |
|---|---|---|
Azure Fundamentals |
| |
基本情報技術者(FE) | ◯ | |
AWS Cloud Practitioner | ||
| AWS Solutions Architect Associate | ◯ | ◯ |
| AWS Developer Associate | ◯ | ◯ |
| Azure Administrator Associate | ◯ | ◯ |
応用情報技術者(AP) | ◎ | ◯ |
| AWS SysOps Administrator Associate | ◯ | ◯ |
Azure AI Fundamentals | ||
Google Cloud Associate Cloud Engineer | ◯ | ◯ |
情報処理安全確保支援士(SC) | ◎
| ◎ (セキュリティの幅広い知識, 読解能力) |
| AWS Solutions Architect Professional | ◎
| ◎ (AWSを使用したサービス設計の知識, 読解能力) |
1.のチーム内の会話の理解に役立つ資格として、応用情報や情報処理安全確保支援士等があります。また各パブリッククラウドのAssociateレベル以上の資格で得た知識も、役に立っていると感じています。
2.高難易度のタスクをもらえる可能性が高い資格として、情報処理安全確保支援士やAWS Solutions Architect Professionalがあります。これらの資格に合格するためには、幅広い知識や高い読解能力(短い時間内に大量の文章を正確に理解する能力)が必要です。これらの能力を持つ人に仕事を任せた場合、説明する手間や教える時間が少なくなります。資格を持っていることが全てではないですが、ある一定の能力を所有する証明にはなると思っています。そのため、能力値が不明瞭な学生のエンジニアや若手エンジニアがこれらの資格を持っていると、タスクを割り当てる側は少しは安心できます。
昨今の身近なサービスのほとんどは、パブリッククラウドを使用しています。2022年10月7日に米Googleが日本のネットワークインフラに約1000億円を投資すると発表したり、10月11日に米AWSの2022年単年の投資額は3480億円になると報道があったりしました。パブリッククラウドの設備への投資は目を見張るものがあります。今後パブリッククラウドはより広がると考えています。そのため、パブリッククラウドの勉強は重要です。しかし、情報工学の基礎知識がない状態でのパブリッククラウドの勉強は、効率が良いとは思いません (個人的な経験から)。
したがって、非情報系の学生エンジニアや新卒エンジニアは情報工学の基礎知識を学んだ後にパブリッククラウドの勉強に取り組むことを推奨します。
これらのことを考慮して、私が考える学生・新卒エンジニアのためのIT資格ロードマップを作成しました (もし学生時代に戻れるなら、私はこのロードマップに従います)。
情報工学の知識がないエンジニアは、基本情報技術者試験→応用情報技術者試験の順に学習することを推奨します。その後の推奨ルートは、情報処理安全確保支援士の勉強かクラウド基礎です。体系的にセキュリティを学びたい方は、情報処理安全確保支援士を勉強すると良いと思います。それ以外の方には、クラウド基礎の勉強を勧めます。どのパブリッククラウドの勉強をするかは、周りの環境や今までの経験を考慮して変えるべきだと思います。上記ロードマップでは、AWSの学習ルートをメインとしていますが、他のパブリッククラウドの学習ルートでも代用可能だと考えています。
情報工学の知識があるエンジニアは、初めからパブリッククラウドの勉強を推奨します。Associate→Professionalの順に勉強をすると効率よく学ぶことができます。
「1年間で資格12個取得した」という話をすると、多くの質問を受けます。頻繁に聞かれる質問とそれに対する回答は需要があると考えたので、頻繁に聞かれる質問とそれに対する回答をまとめました。
よく聞かれる質問 | 回答 |
|---|---|
| 1年間勉強しかしていなの?(業務やっていますか?) | ・業務をメインに取り組んでいます。2021年度下期では、開発成果が認められ、SoftBank Award本部表彰を受賞しました。特許も出願中です |
| 勉強時間をどうやって確保していますか?(コツ等を教えてほしい) | ・基本は土日か平日の終業後を使っています。 ・試験直前は、資格関連動画を見ながらご飯を食べています。 |
業務中に勉強しているのか? | ・業務中に勉強することもあります。 (決められた時間内なら業務中の勉強可) |
勉強継続のコツは? | ・勉強することで、自分にご褒美を買います(食べ物が多い)。 ・チームメンバーが優秀なので、その人たちと会話するために、能力の底上げが必要だと感じること(=危機感を覚えること)です。 |
資格持っているから業務ができるわけじゃないよね? | ・私もそう思います。しかしながら、実績の少ないエンジニアは資格取得すべきだと思います(資格を持ってるとチャンスが増えるので)。 |
配属から1年間でさまざまなIT資格を取得して、そのメリットを大きく感じた1年間でした。
今後取得したいと考えている資格は、以下の通りです。
データベーススペシャリスト (IPA) 2022年10月受験済み
Database - Specialty (AWS)
Machine Learning - Specialty (AWS)
DevOps Engineer - Professional (AWS)
今後も上記の資格の勉強は続けますが、その割合を減らしアウトプットの量を増やす予定です。資格勉強で得た知識を活用して、質の良いサービス開発に取り組み、その成果物をテックブログ執筆やイベント登壇等でアウトプットしようと考えています。
学生時代や新卒配属時の自分が知りたかった以下の資格情報をまとめました。
何の資格を取得したのか
それらの資格の受験理由
勉強して良かったと思うオススメの資格
学生エンジニアや新卒エンジニアのための資格ロードマップ
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