EventBridge を経由した、Function Compute (Alibaba Cloud) の RDS トリガー検証

2023年2月17日掲載

本記事では、Alibaba CloudのサーバレスプロダクトFunction ComputeにはRDSトリガーが実装されていましたが、2023年1月に廃止されてしまいました。

今後はどうすれば RDS 製品のイベントで Function Compute を実行させられるのかを紹介します。

Alibaba Cloud Function Compute に関する記事です。
Function ComputeのRDSトリガーが廃止されたため、その代替となるEventBridge 経由の Function Compute の RDS トリガーを検証します。

はじめに

Function Compute は Alibaba Cloud が提供するフルマネージド型のイベント駆動型コンピューティングサービスです。利用者がサーバーなどのインフラストラクチャを管理する必要がなく、コード開発に集中できるのが特徴です。詳細はFunction Computeの公式ドキュメントを参照してください。

Function Compute 関数は手動実行方式以外、様々なトリガーもサポートしています。例えば、指定時刻になったら実行する時間トリガー、専用の URL が呼び出されたら実行する HTTP トリガー、また OSS にファイルがアップロードされたら実行するような製品イベントトリガーがあります。

その中には、RDS 製品のイベントが Function Compute のトリガーになってくれる RDS トリガーも存在していましたが、2023年1月に廃止されました。

では、今後はどうすれば良いかというと、 RDS 製品のイベントで Function Compute を実行させたい場合、EventBridge 製品を経由するワークアラウンドがありますので、今回はそれを検証していきたいと思います。

構成概要図

今回の検証では、RDS の API 操作を Function Compute のトリガーに設定します。具体的には、対象 RDS の「ModifyDBInstanceDescription」という API をコールし、APIをコールしたイベントがEventBridge 経由で Function Compute に到達し、関数の起動を確認します。

注意点として、トリガーになれるにはインスタンスレベルのイベントのみです。RDS 内データベースレベルの操作はトリガー対象外になります。現在EventBridge 経由で Function ComputeのトリガーになれるRDSイベントは以下の通りです。

イベント名	説明
rds:ActionTrail:AliyunServiceEvent	プラットフォームによるリソース操作
rds:ActionTrail:ApiCall	API操作
rds:ActionTrail:ConsoleOperation	コンソール操作
rds:CloudMonitor:InstanceFailover	フェールオーバー（故障）
rds:CloudMonitor:InstanceFailureEnd	故障終了
rds:CloudMonitor:InstanceFailureStart	故障開始
rds:CloudMonitor:InstanceSwitchover	フェールオーバー（手動）
rds:CloudMonitor:Instance[System Maintenance.MinorVersionUpgrade:Canceled]	マイナーバージョンアップ（キャンセル）
rds:CloudMonitor:Instance[System Maintenance.MinorVersionUpgrade:Executed]	マイナーバージョンアップ（完了）
rds:CloudMonitor:Instance[System Maintenance.MinorVersionUpgrade:Executing]	マイナーバージョンアップ（開始）
rds:CloudMonitor:Instance[System Maintenance.MinorVersionUpgrade:Scheduled]	マイナーバージョンアップ（設定済）
rds:CloudMonitor:Instance[System Maintenance.ScheduledOperation:Canceled]	メンテナンス操作（キャンセル）
rds:CloudMonitor:Instance[System Maintenance.ScheduledOperation:Executed]	メンテナンス操作（完了）
rds:CloudMonitor:Instance[System Maintenance.ScheduledOperation:Executing]	メンテナンス操作（開始）
rds:CloudMonitor:Instance[System Maintenance.ScheduledOperation:Scheduled]	メンテナンス操作（設定済）
rds:CloudMonitor:Instance[System Maintenance.Transfer:Canceled]	マイグレーション（キャンセル）
rds:CloudMonitor:Instance[System Maintenance.Transfer:Executed]	マイグレーション（完了）
rds:CloudMonitor:Instance[System Maintenance.Transfer:Executing]	マイグレーション（開始）
rds:CloudMonitor:Instance[System Maintenance.Transfer:Scheduled]	マイグレーション（設定済）
rds:Config:ConfigurationItemChangeNotification	設定項目変更
rds:Config:NonCompliantNotification	異常検知

構築手順-1：関数の作成

今回検証対象である RDS トリガーが正常に Function Compute を起動させるかを確認するため、呼び出し先の関数を作成します。

1-1． Function Compute のコンソールを開きます。

1-2. サービスを作成しますので、「Create Service」をクリックします。

1-3．下記内容をを入力し、「OK」をクリックします。

Name：任意入力
Description：任意入力
Logging：Enable

1-4．関数を作成しますので、「Create Function」をクリックします。

1-5．下記内容をを入力し、「Create」をクリックします。

Method：Use Built-in Runtime
Function Name：任意入力
Handler Type：Event Handler
Runtime：Python3.6
Code Upload Method：Use Sample Code
Sample Code Description：Hello, world!

1-6．関数作成完了後に、サンプルコードが表示されますので、下記コード（機能：呼び出し元のイベント情報を表示）で入れ替えて「Deploy」をクリックします。

import logging

def handler(event, context):
  logger = logging.getLogger()
  logger.info(event)
  return

1-7．「Test Function」をクリックして関数を実行します。「Logs ー 1番目のレコードー Request Logs」をクリックし、実行ログを確認します。

1-8．実行ログに、テストイベントのデータが表示されていることを確認します。

構築手順-2：RDS トリガーの作成

EventBridge の有効化とトリガー元の RDS を作成し、構築手順-1で作成した関数に RDS のイベントをトリガーに指定します。

2-1．EventBridgeのコンソールから、「Enable For Free」をクリックし、EventBridge 製品の有効化をします。

2-2．公式ドキュメント「Create an ApsaraDB RDS for MySQL instance」の購入手順に沿って、RDS を作成し、インスタンスID を記録します。

Billing Method：Pay-As-You-Go
Region：Tokyo
Database Engine：MySQL5.7
Edition：Basic
Instance Type：mysql.n2.medium.1
Capacity：20GB

2-3. 手順1-6 で作成した関数に戻り、「Triggers ー Create Trigger」をクリックします。

2-4．EventBridge から Function Compute に送信用ロールが存在しない場合、下記ポップアップが表示されますので、ロール「AliyunServiceRoleForEventBridgeSendToFC」の作成を承認します。

2-5．下記のように、トリガー情報を入力します。

Trigger Type：ApasaDB RDS
Name：任意入力
Event Type：Custom Event Types
Event Name：rds:ActionTrail:ApiCall
Invocation Method：Synchronous Invocation
Trigger State：Enable Trigger

2-6．デフォルトでアカウント配下全 RDS がトリガー対象になります。特定 RDS を絞りたい場合、「Event Mode Configurations」をクリックし、下記構文を追加します。

   "data": {
        "referencedResources": {
            "ACS::RDS::DBInstance": [
                "「手順2-2で記録した RDS のインスタンスID」"
            ]
        }
    }