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クラウドエンジニアの結城です。
本記事では、Alibaba Cloud VMware Serviceについて紹介します。
Alibaba Cloud VMware Service (以下、ACVS) は、Alibaba Cloud社とVMware社が共同開発したEnterprise GradeのVMware Cloud™️ サービスです。Alibaba Cloud社では、ACVSの運用やアフターサポートといったサポートが提供されます。また、ACVSでは、vSphereやNSX、vSAN製品の機能が提供されます。さらに、オンプレミス(IDC)のVMware WorkloadをAlibaba CloudのACVSにシンプルかつ簡単に移行することができます。
ACVSでは主に4つの利点があります。
① 既存のVMwareに関する知識の活用
ACVSでは、クラウドに最適化されたvCenterやNSX Managerなどの管理コンポーネントを使用して、専用のVMware環境を構成および管理することができます。また、ACVSは、VMwareと同じアーキテクチャであるため、新しくVMwareを学ぶ必要がなく、既存のVMwareの知識を活用することができます。
② シームレスな統合
ACVSでは、Cloud Enterprise Network (CEN) やVirtual Private Cloud (VPC)などのAlibaba Cloudプロダクトとシームレスに統合がされています。この統合によって専用のVMware環境内のWorkloadがAlibaba Cloudのリソースに簡単にアクセスすることができます。
③ 迅速な移行が可能
ACVSとVMware製品は、同じアーキテクチャとネットワークを共有しています。VMware またはVMware認定の製品とツールを使用すると、IPアドレスを変更せず、ACVSとオンプレミス(IDC)のVM環境間で自由にかつ迅速に移行することができます。
④ 高い安定性と信頼性
ACVSは信頼性の高い安定したVMware オペレーティング環境をクラウド上に提供されています。ACVSの専用 VMware 環境では、高可用性を備え、さらにfailoverがサポートされます。また、ハードウェアに例外が発生した場合でも、VMware VM とWorkloadをスムーズに実行することができます。
ACVSでは、2023年12月11日現在、中国リージョンの一部でのみ利用することができます。
※最新情報については「What is ACVS?」で説明されています。
リージョン名 | リージョンID | Zone |
China (Shanghai) | cn-shanghai | Shanghai Zone L |
China (Beijing) | cn-beijing | Beijing Zone L |
China (Shenzhen) | cn-shenzhen | Shenzhen Zone F |
ACVSでは、現在3種類のホストを提供しています。
ホストタイプによって、適している利用シナリオが異なります。
ホストの種類 | vs182o.16xlarge | vs242.12xlarge | vs221.10xlarge |
利用シナリオ | ACVS の第 1 世代専用物理サーバーの構成です。高速書き込み I/O パフォーマンスを必要とするワークロードに適しています。 | ACVS の第 2 世代専用物理サーバーの構成です。これは、一般的な汎用ワークロードに適しています。 | ACVS の第 2 世代専用物理サーバーの構成です。小さなストレージ容量を必要とする一般的な汎用ワークロードに適しています。 |
サポートされているリージョン | 中国(上海) | 中国(北京) 中国(深セン) | 中国(北京) 中国(深セン) |
Caching tier type | Intel® Optane™ | NVMe SSD | NVMe SSD |
Capacity tier type | NVMe SSD | NVMe SSD | NVMe SSD |
Processor | Xeon 5218 (Cascade Lake) | Xeon 8331C (Ice Lake) | Xeon 8331C (Ice Lake) |
CPU clock speed | 2.3 GHz | 2.5 GHz | 2.5 GHz |
※ホストタイプの詳細については「Host Type」に詳細情報が記載されています。
ACVSの操作ログを確認することが出来ます。ACVSコンソールでは日本語コンソールも用意されていますが、所々中国語が混じっているため、英語版のコンソールを利用することをお勧めします。
※2023年12月11日現在では、操作ログに関するドキュメントがございません。
<操作ログで確認できるログ>
① リージョン
② 操作内容
③ アカウントType
④ 読み / 書き操作
⑤ Resourceタイプ
⑥ Resource名
vSphere vMotion、vSphere DRS、vSphere High Availability (HA)、NSX などの機能がフルサポートされています。Cross vCenter Server vMotion (XVM) 機能を使用することによって、クラウド内外間で VMware VM を自由に移行できます。また、vSphere は、オンプレミスの VMware 環境と同様のエクスペリエンスが提供されています。
ACVSでは同一Alibaba Cloudアカウントでの利用と、2つのAlibaba Cloudアカウントで利用するクロスアカウントでの利用がサポートされています。
ACVSではACVS自体の課金と関連するリソースに対する課金が発生します。
※ACVS自体の課金では、サブスクリプションのみサポートしており、現在従量課金はサポートされていません。
課金項目 | 課金詳細 | 課金方式 | 構成有無 | 参考資料 |
専用VMware 環境(Private Cloudインスタンス) | PrivateCloud インスタンスの使用料金は、ホスト タイプとインスタンスに含まれるホストの数に基づいて課金されます。 最低ホスト数 | サブスクリプション | 必須 | |
VPC | VPC 自体の使用料金は掛かりませんが、VPC内の有償機能を使った場合課金が発生します。 | なし ※一部機能を除く ※課金方法はVPCの課金方式に基づく | 必須 | |
CEN | ACVSとオンプレミス(IDC)環境間の通信を行う際に使われます。 | 従量課金 サブスクリプション ※課金方法はCENの課金方式に基づく | 必須 | |
ECS | PrivateCloud インスタンスの管理コンポーネント vCenter および NSX Manager に初めてアクセスする前に、対応するサービスのエンドポイントにアクセスするためのジャンプ サーバとして機能する ECS インスタンスを VPC 内に作成する必要があります。 | 従量課金 サブスクリプション ※課金方法はECSの課金方式に基づく | 必須 | |
NAT Gateway | Privatecloud インスタンスのインターネット アクセスを有効化するには、インターネット NAT ゲートウェイを作成する必要があります。 | 従量課金 ※課金方法はNAT Gatewayの課金方式に基づく | オプション |
|
EIP | NAT Gatewayを使ってインターネット アクセスを有効化する場合に、バインドするIPアドレスとして必要になります。 | 従量課金 サブスクリプション ※課金方法はEIPの課金方式に基づく | オプション |
※「Billing overview」より課金項目の詳細を確認が出来ました。
なお、Alibaba Cloudの公式ドキュメントではACVSサブスクリプションの具体的な金額は記載されていません。具体的な金額についてはACVSの購入画面より確認できました。また、ACVSサブスクリプションの期間では、「1週間」「1か月」「1年」「3年」の期間の中から選択することができます。カスタム設定で「2〜3週間」、「2〜9か月」の期間も指定することもできます。
現在構成できる最小スペックのACVSサブスクリプション料金を確認したところ、$2,234.4(日本円で323,930円 / 1ドル145円計算)でした。また、Alibaba Cloudの年額サブスクリプションでは数%のディスカウントがされる場合がありますが、今現在、ACVSはディスカウントはされていないようでした。参考情報になりますが、2023年12月11日現在のACVSサブスクリプションの「1週間」「1か月」「1年」「3年」の金額については以下の通りです。
●スペック
【全期間共通】
・type : vs221.10xlarge
core数 20 / メモリ 512GiB / キャッシュディスク 3.84TB、NVMe SSD / 容量ディスク 7.68TB、 NVMe SSD
・ホスト数 : 3
期間 | 1週間 | 1か月 | 1年 | 3年 |
金額 | 2,234.4 (USD) | 9,576 (USD) | 114,912 (USD) | 344,736 (USD) |
利用金額としては高く見えますが、物理レイヤーであるデータセンターコスト / 物理機器のメンテナンス、保守費用 / 物理機器のリプレイス(交換用ディスク、メモリも含む)費用も含まれています。オンプレミス(IDC)環境のコストと比較して、Alibaba CloudのACVSのコストが安いとなったらオンプレミス(IDC)からACVSに移行をすることをお勧めします。なお、VMwareのライセンス料金については、ACVSのサブスクリプション料金に含まれています。
今回はAlibaba CloudのAlibaba Cloud VMware Service(ACVS)について紹介させていただきました。
現在Alibaba Cloudをメインに利用しているが、VM環境の利用が不可欠でオンプレミス(IDC)と並行して運用されているユーザも多いかと思います。そこでAlibaba Cloudで提供されているACVSに移行することによって、クラウドでリソースの一括管理が可能になり、シンプルに利用環境を管理することが可能になると思います。また、既存のVMwareに関する知識を活かすことができるため、VMwareに関する有識者の方でも0から仕組みを理解するといったことが不要という点は良い利点だと思います。
なお、ACVSはパブリックプレビュー版が終了し、正式版のリリースがされていますが、今現在ではACVSは日本リージョンの提供がされていません。早期の日本リージョンでの提供を期待したいところです。
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