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クラウドエンジニアの赤羽です。
Alibaba Cloud の CEN (Cloud Enterprise Network)の中で利用できるTraffic Schedulingについてご紹介します。
今回は、Alibaba Cloud の CEN (Cloud Enterprise Network)の中で利用できるTraffic Schedulingについてご紹介します。この機能を使用すれば、異なるリージョン間での通信において宛先やポート番号ごとに帯域を調整することができます。
以前、西野さんが書いたCEN Transit RouterでQoS機能を使用してみた記事のアップデートになります。
Traffic Schedulingは、CENのTransit Routerの機能のひとつとして提供されています。この機能はネットワークの品質制御(QoS)を行い、異なるリージョン間でのネットワーク帯域幅を制限するという目的に使われます。これにより、ビジネスが複数のリージョンまたは地域にわたる場合でも、ネットワークトラフィックの品質とパフォーマンスを維持しつつ調整し、最適化できます。
一般的に、QoS処理を行うためには優先度などを識別するためのマーキングが必要です。以前は、CEN自身ではマーキングができないため、データ送信元のサーバーやネットワーク機器でマーキングする必要がありました。しかし、Traffic Schedulingの実装により、CENのTransit RouterにてDSCP値のマーキングからQoSの設定まで一貫して行えるようになりました。もちろん、以前同様に送信元でマーキングされたDSCP値を判別して処理することも可能です。複数のVPC間の通信や複数の拠点からの通信も、CENで一元的に設定・処理できるため、より便利になりました。
本記事では設定例と注意事項についてご案内いたします。詳細は公式ドキュメントをご参照ください。(トラフィックスケジューリングを使用してリージョン間接続の帯域幅を制限する)
CENを経由する拠点間の通信でQoSが機能するかを検証しました。香港拠点にある端末Dから東京拠点にある端末Aに対して、SMB(TCP445)を使用してファイル転送を行い、帯域制限が想定通りに適用されるか確認しました。※各拠点側はクラウド上に構築し検証しています。
※ネットワーク構成やCENの基本設定は完了した状態としてご説明します。
今回は香港リージョンのTransitRouterを選択します
ポリシー名:任意のもの
ポリシー優先度:1~100で設定(低い値が優先)
DSCP設定:今回は48で設定
(※下記分類ルールにマッチしたものはDSCP48に設定する、という設定となります)
手動で追加を選択
トラフィック分類ルール名:任意のもの
プロトコルタイプ:TCP
ソースCIDRブロック:香港拠点のセグメント
ソースポート:445/445
※今回は他空欄でOK
注意:トラフィック分類ルール内のDSCP欄に値を入れると、元のパケットにDSCP値がないものはルールにマッチしなくなるのでご注意ください。
キュー名:任意のもの
一致するDSCP:今回は48で設定
帯域の上限:今回は30%で設定
設定は以上で完了です。
受信側の端末AのNICと、CENのトラフィックモニターで確認しました。
100%の10Mbpsで通信できています。
帯域の30%、3Mbpsを上限として通信するようになりました。
設定どおりに帯域制御されています。
設定したルールにマッチしない通信を確認してみました。ルールにマッチしない通信はデフォルトキューとして処理され、QoSで割り当てられていない残りの帯域を上限として設定されます。下記の通り70%の帯域で通信されることが確認できました。
Traffic Scheduling機能を使用する際には、以下の制限事項と注意事項があります。
今回は、Alibaba CloudのCENのTraffic Schedulingをご紹介しました。
この機能を使用することで、CEN内部の設定だけで簡単に帯域制限を行うことができます。今回ご紹介した設定以外にも、送信元や宛先のIPアドレスのみを使用した設定や、ポート番号のみを使用した設定など、さまざまな方法で設定が可能です。これをうまく活用することで、CENの品質とパフォーマンスを確保しながら、帯域へのコストを削減することができます。ぜひ一度試してみてください。以上です。
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