お手軽!OSSとCDNで静的コンテンツの高速配信(Alibaba Cloud)

2024年10月11日掲載

Weekly Alibaba Cloud

ご覧いただきありがとうございます。クラウドエンジニアの今井です。

インターネットで調べものをする際に、Webページへアクセスしてからコンテンツが表示されるまでの速度が遅いという経験をしたことがある方は多いのではないでしょうか。いざ自身がコンテンツを配信するという際に、閲覧者にコンテンツの表示速度の面で悪い印象を抱かれないようにするための方法として、コンテンツの配信を高速化する方法があります。

そこで、本記事ではAlibaba CloudのCDNObject Storage Service(OSS)を利用して静的コンテンツを高速配信する方法を紹介します。

本記事はクラウド初学者の方に向けて、CDNを利用したコンテンツの高速化が手軽にできることを伝えたいと思います。

目次

1. 使用するプロダクト

CDN
Alibaba CloudのCDNは、Webページなどの静的コンテンツの配信を高速化するための分散型のネットワークサービスです
。様々な地域に配置されたポイントオブプレゼンス(POP)がオリジンサーバのコンテンツをキャッシュします。ユーザからリクエストがあった場合にはユーザに最も近いPOPからコンテンツが配信されます。これによりユーザは地理的な位置に関わらず、高速かつ安定したコンテンツの閲覧を行うことができます。

また、CDNはIPホワイトリストやIPブラックリスト等のセキュリティ機能も有しています。詳細についてはCDNの公式ドキュメントをご参照ください。なお、動的コンテンツの高速配信は、Edge Security Acceleration(2024年9月30日にDCDNより名称変更)がサポートしております。本記事においては、OSSで公開した静的なWebページの配信を高速化するために用います。


Object Storage Service(OSS)
Alibaba CloudのOSSは、高い信頼性とスケーラビリティを備えたオブジェクトストレージサービスです。OSSは、データの保存、アクセス、管理を簡単かつ効率的に行えるよう設計されており、多量のデータを扱うアプリケーションやシステムのバックアップなど様々な用途での利用が可能です。OSSの詳細については公式ドキュメントをご参照ください。本記事においては、OSSを利用して静的なWebページの公開を行います。

2. 前提条件

実際の構築手順をご紹介する前に、今回の構築における前提条件を整理します。

  • 静的コンテンツを作成済み
    公開する静的コンテンツは作成済みであるものとします。単に手順の確認を目的とするのであれば簡単なHTMLページで十分だと思います。本記事においても、手順を紹介することに重きを置くため、「Hello world.」と表示するHTMLを使用します。

  • 独自ドメインを取得済み
    CDNでコンテンツの配信を高速化する独自ドメインは取得済みとします。もし、未取得の場合には、Alibaba Cloudでは公式サイトからドメインを購入することができます。

  • セキュリティ設定は省略
    HTTPSやACLなどの設定は本記事では省略します。CDNの有するセキュリティ機能および設定方法については公式ドキュメントよりご確認ください。

3. 構築手順

ここからは実際にCDNとOSSを用いて静的コンテンツの公開を行っていきたいと思います。流れとしては、まずOSSでバケットを作成し、静的コンテンツの公開を行います。その後、CDNを利用してコンテンツ配信の高速化を行います。

3.1 OSSで静的コンテンツの公開

①OSSコンソールにアクセスし、左側メニューの「Buckets」を選択します。

②「Create Bucket」をクリックします。

Create bucket

③必要項目を入力し「OK」ボタンをクリックします。各設定項目の詳細は公式ドキュメントをご確認ください。

  • Bucket Name:任意の名称

  • Region:Japan(Tokyo)

  • Storage Class:Standard

  • Redundancy Type:ZRS

  • ACL:Public Read

    • インターネット経由でOSSにアクセスするユーザに対して、コンテンツの閲覧を許可するためには「Public Read」を選択する必要があります。「Private」に設定した場合、ユーザはOSSに格納されたコンテンツをインターネット経由で閲覧することができなくなります。

④作成完了画面が表示されたら「Go to Bucket」をクリックします。

Go to bucket

⑤「Upload Object」をクリックし、htmlファイル(コンテンツ)を選択後、「Upload Object」をクリックしてアップロードします。

Upload Object 1
Upload Object 2

⑥左側メニュー「Object」をクリックし、オブジェクト一覧からコンテンツがアップロードされていることを確認します。

Objects

⑦ファイル名をクリックすると「View Details」ウインドウが開きます。記載されているURLからコンテンツにアクセスすることができます。これにてOSSでの静的コンテンツの公開手順は終了です。

Contents URL

3.2 CDNでコンテンツ配信の高速化

①CDNコンソールにアクセスし、左側メニューの「Domain Names」をクリックします。

②「Add Domain Name」をクリックします。

③必要項目を入力後、「Next」をクリックします。

  • Region:Global (Excluding the Chinese Mainland)

    • 「Chinese Mainland Only」または「Global」を選択した場合、中国本土でコンテンツ公開する際に必要となるICP申請を行う必要があります。本記事では「Global (Excluding the Chinese Mainland)」を選択するためICP申請は不要です。

  • Domain Name to Accelerate:高速化するドメイン名

    • CDNにドメインを新規追加する場合、ドメインの所有権の検証が必要となります

    • 表示された手順に従い、DNSの設定でTXTレコードを追加するか、検証用のファイルをルートディレクトリにアップロードします

DNS settings
Verification file
  • Business Type:Image and Small File

    • 今回使用するコンテンツは「Hello world.」と表示するのみのhtmlファイルであるため、「Image and Small File」を選択します。

  • Origin Servers:「Add Origin Server」から追加

    • Origin Info:OSS Domain

    • Domain Name:4-1で作成したOSSのドメインを選択

    • Priority:Primary

    • Weight:10

    • Port:80

      • 本記事では、セキュリティを考慮しておらず、httpで通信を行うため80を入力します。本来であれば、セキュリティを考慮し、https(443)で通信するのが一般的です。

Add origin server

④画面の案内に従ってDNSにCNAMEレコードを追加します。

CNAME configuration

⑤再度、左側メニューの「Domain Names」をクリックします。対象ドメインの「CNAME Status」が「Configured」、「Status」が「Enabled」になっていれば設定は正常に完了しています。

Domain names

⑥対象のドメインにアクセスし、コンテンツが表示されることを確認します。これにてCDNによる静的コンテンツの高速配信は完了です。

check contents

おわりに

本記事では、Alibaba CloudのCDNとOSSを使用して静的コンテンツの高速配信を行う際の手順について紹介しました。

静的コンテンツの高速配信を行うことで、ユーザーエクスペリエンスの向上が見込まれますので、皆様もぜひ、CDNを利用したコンテンツ配信の高速化をお試しいただければと思います。


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