【2025年1月】Alibaba Cloud SLBアップデート内容解説

2025年2月21日掲載

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ご覧いただきありがとうございます。ソフトバンクの結城です。

Alibaba CloudのServer Load Balancer(SLB)には、アプリケーション層に特化したApplication Load Balancer(ALB)と、従来型のClassic Load Balancer(CLB)が提供されています。

    今回は、Weekly Alibaba Cloud アップデート情報 - 2025/1/31で紹介した、Application Load Balancer(ALB)およびClassic Load Balancer(CLB)に関するトピックについて解説します。

    • Application Load Balancer(ALB):X-Forwarded-Forヘッダの無効化をサポート
    • Application Load Balancer(ALB):X-Forwarded-Hostヘッダをサポート
    • Classic Load Balancer(CLB):既存の料金項目名変更と新料金項目追加
    • Classic Load Balancer(CLB):計画されたO&Mイベントの時間を調整することが可能に

    目次

    【ALB】X-Forwarded-Forヘッダの無効化をサポート

    以前までは、ALBのリスナープロトコルでHTTPまたはHTTPSを設定した場合、バックエンドサーバへHTTPリクエスト転送時に、X-Forwarded-For(XFF)ヘッダがデフォルトで付与され、XFFヘッダを外すことができませんでした。

    今回のアップデートでは、XFFヘッダを付与するか、それとも付与しないのか選択することができるようになりました。

    〇設定方法

    1 ) ALBコンソールにアクセス
    2 ) XFFヘッダを設定するALBを見つけ、インスタンスIDをクリック
    3 ) [リスナー]のタブをクリックし、リスナーIDをクリック
    4 ) [リスナーの詳細]のタブをクリックし、[基本情報]にある[リスナーの変更]をクリック
    5 ) [詳細設定]にある[変更]をクリック
    6 ) [カスタムHTTPヘッダー]を見つけます。
    7 ) [X-Forwarded-For: クライアントIPを取得する]にチェック

    〇XFFヘッダの確認

    バックエンドサーバでtcpdumpコマンドを実行して、XFFヘッダの付与状況を確認します。

    ・[追加]の場合
    XFFヘッダが付与されていることが確認できます。

    ・[削除]の場合
    ALBに対して、クライアント側から[curl -H “X-Forwarded-For: クライアントIP” http://xx.xx]コマンドを使ってXFFヘッダを付与した状態でアクセスしてみます。出力結果を見ると、XFFヘッダが削除されていることが分かります。

    ・[X-Forwarded-For: クライアントIPを取得する]にチェックを入れない場合[X-Forwarded-For: クライアントIPを取得する]にチェックを入れない場合、ALBではバックエンドサーバにHTTPリクエストを転送する際に、XFFヘッダを追加、削除するといった動作をしません。クライアント側からXFFヘッダを付与している場合は、XFFヘッダが含まれた状態でバックエンドサーバにHTTPリクエストが転送されます。

    【ALB】X-Forwarded-Hostヘッダをサポート

    ALBでバックエンドサーバへHTTPリクエストを転送する際に、X-Forwarded-Host(XFH)ヘッダを付与することができるようになりました。これにより、ALBにアクセスしたクライアントのドメインを取得することができます。

    〇設定方法

    1 ) ALBコンソールにアクセス
    2 ) XFFヘッダを設定するALBを見つけ、インスタンスIDをクリック
    3 ) [リスナー]のタブをクリックし、リスナーIDをクリック
    4 ) [リスナーの詳細]のタブをクリックし、[基本情報]にある[リスナーの変更]をクリック
    5 ) [詳細設定]にある[変更]をクリック
    6 ) [カスタムHTTPヘッダー]を見つけます。
    7 ) [X-Forwarded-Host: クライアントのドメイン名を取得する]にチェック

    〇XFHヘッダの確認

    バックエンドサーバでtcpdumpコマンドを実行して、XFHヘッダの付与状況を確認します。

    上記、結果を見ると設定した通りXFHヘッダが付与されていることが分かります。

    【CLB】既存の料金項目名変更と新料金項目追加

    2024/12/1 0:00以降、既存および新規で作成されたCLBインスタンスでは、新たに課金項目として、パブリックIP保有料金が追加されました。公式サイトのRelease Noteでは、「インスタンス料金がパブリックIP保持料金」に変わったと記載があります。これは、インスタンス料金の課金金額がパブリックIPの保持料金の課金金額になったため、このような記載となっています。インスタンス料金については、以前と課金項目として変わりはありませんが、新しい料金に変わります。今回のアップデートポイントを簡潔に言うと、パブリックIP保持料金分の値上げとインスタンス料金の課金金額変更となります。

    2024/12/1 0:00以前に作成されたCLBインスタンスについては、2025/11/30 23:59:59までインスタンス料金は無料となります。また、作成したタイミングに関わらず、2024/12/1 0:00以降、パブリックIPを保持する場合は、パブリックIP保持料金の課金ルールに従って課金がされます。課金ルールの詳細については公式ドキュメントをご参照ください。
    ※パブリックIPを保持しない場合であればパブリックIP保持料金は発生しません。

    〇確認方法

    ① CLB購入画面より課金項目と発生する料金について確認することができます。

    ② 料金とコストコンソールから課金項目と発生料金を確認することができます。

    日本語版であればパブリックIP保有料金について「パブリックIPの保持料金」と表記されます。

    英語版であればパブリックIP保有料金について「Public IP Retention Fee」と表記されます。

    【CLB】計画されたO&Mイベントの時間を調整することが可能に

    スケジュール(=計画)されたO&Mイベントとは、Alibaba Cloudが計画した更新、メンテナンス、ネットワーク移行を意味します。今回のアップデートでは、スケジュールされたO&Mイベントを利用ユーザ側で実行タイミングを指定することができるようになりました。これにより、利用影響があるスケジュールされたO&Mイベントの場合、利用ユーザ側で最も影響が少ないタイミングに実行するよう指定することができます。ただし、この機能は、2025/2/1現在、中国 (杭州)、中国 (上海)、中国 (香港)、米国 (バージニア) リージョンにあるCLBでのみ利用することができます。

    〇確認方法

    1 ) CLBコンソールにアクセス
    2 ) [スケジュールされた O&Mイベント]をクリックします。

    今回は、スケジュールされたO&Mイベントがなかったため、操作方法をご紹介できませんが、スケジュールされたO&Mイベントが表示され、実行タイミングの指定をしたいといった場合は、公式ドキュメントを参考に操作いただければと思います。

    さいごに

    今回は、Weekly Alibaba Cloud アップデート情報 - 2025/1/31で紹介したSLB(ALB/CLB)に関するアップデート情報の解説をしました。

    個人的には、CLBのスケジュールされたO&Mイベントをユーザ側で指定した時間に実行できるアップデートがとても魅力的でした。ただ、日本リージョンはまだ対応されていないので、今後日本リージョンでも利用ができることを期待したいです。

    また、Weekly Alibaba Cloud アップデート情報では、Alibaba Cloudに関する最新情報を毎週金曜日に公開していますので、こちらも是非、閲覧いただければと思います。

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