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【Looker x GenAI】Looker と生成 AI 連携によるデータ活用進化
クラウドエンジニア
岡野真佑
Google Cloudを中心にクラウドエンジニアとして活動しています
2025年3月26日掲載
現代のビジネスにおいて、戦略的な意思決定にデータを活用することがこれまで以上に重要になっています。Google Cloud が提供するデータプラットフォームである Looker は、柔軟かつ強力なデータ分析基盤です。
Looker と生成 AI の力を組み合わせることで、企業は、さらにデータに基づいた迅速な意識決定を実現できます。
Looker と生成 AI の連携は、データアクセスの民主化、データ理解の加速、アクションの迅速化、分析業務の効率化、顧客体験の向上を可能にし、ビジネスのあらゆる領域でメリットが期待できます。
本記事では、Looker と生成 AI との連携によって強化される３つのソリューションと、そのメリットについて解説します。
Looker とは
Looker は、Google Cloud が提供する「データプラットフォーム」です。
データの集計や可視化に加え、データの事前定義、外部ツールとの連携による分析結果に基づいた具体的なアクションまで、データ分析の一連のプロセスを包括的にカバーします。データの民主化を促進し、迅速かつ正確な意思決定と、その先のデータ利活用を支援するツールです。
Looker は、以下の特徴によりデータ活用を強力にサポートします。
- データガバナンス
セマンティック レイヤによる指標の一元管理により、組織全体で一貫したデータ定義が保証されます。これにより、誰が分析しても同じ結果を得られるためデータへの信頼性が向上します。
- リアルタイム分析
Looker はデータを直接保存せず、接続先のデータベースの処理能力を最大限に活用することで、高速な分析を実現しています。Looker がクエリを生成し、接続先データベースが処理を実行します。
- 拡張性
Looker は高い柔軟性により、様々な外部ツールと連携が可能です。これにより、組織全体の意思決定プロセスにデータ分析を組み込むことができます。
LookML によるモデリング機能については、別途公開しているデータプラットフォーム「Looker」 の機能紹介記事をご参照ください。
生成 AI との連携
Looker の機能は、生成 AI との連携によってさらに強化されます。本記事では、以下の３つのソリューションを紹介します。
- 自然言語によるデータ探索：Looker Explore Assistant
- データ解釈の効率化：Query Insights
- パーソナライズドマーケティングの実現：プロモーション配信カスタム Action
自然言語によるデータ探索：Looker Explore Assistant
Looker Explore Assistant を使用することで、ユーザーは自然言語で質問するだけでデータ探索が可能です。これにより、SQL などの専門知識やデータの構造を意識することなく、データにアクセスでき、必要なインサイトを得ることができます。
例えば、「店舗ごとの売上を教えて」と質問するだけで、Explore Assistant が Looker のデータモデルに基づき最適なクエリを生成し、結果を分かりやすく表示します。
「店舗ごとの売上を教えて」「曜日ごとにして」「売上が高い順にして」といったチャット形式で質問を入力することで正しい分析結果が得られる
これにより、ビジネスユーザーはデータアナリストのサポートなしに、自らデータから答えを見つけ出すことができるようになります。
参考：【Looker x 生成AI】Explore Assistant で始める自然言語データ探索｜クラウドテクノロジーブログ｜ソフトバンク
データ解釈の効率化：Query Insights
Query Insights は、生成 AI がグラフを分析し、解釈や示唆を言葉で提供します。これにより、分析結果の背後にある意味を迅速かつ正確に把握できます。
データを分析・可視化する Explore 画面上で、Query Insights を実行すると、分析結果の要約が表示されます。
店舗ごとの売上の分析結果を要約
「浜松町店では、40代会員顧客の売上額が最も高く、日曜日に最も多くの注文がありました。」
ダッシュボード上に配置することも可能で、リアルタイムの分析結果に基づいた要約や示唆を確認することが可能です。
生成 AI への指示を工夫することで、よりユースケースに沿った文章を生成できます。
課題・目標・社員へのメッセージを出力するようにカスタマイズした例
タイトルも動的生成「9月～12月の売上推移：安定した売上を維持、12月には売上増加」
Query Insights を活用することで、データ分析の専門家でなくても、分析結果を自信を持って解釈し、次のアクションに繋げることが容易になります。
参考：【Looker x 生成AI】Query Insights によるデータ解釈の効率化｜クラウドテクノロジーブログ｜ソフトバンク
パーソナライズドマーケティングの実現：プロモーション配信カスタム Action
Looker と生成 AI を組み合わせることで、顧客一人ひとりに最適化された One to One マーケティング施策を実行できます。
ターゲット顧客とその購買履歴を抽出し、アクション機能を実行します。生成 AI が購買履歴 や顧客属性を分析し、パーソナライズされたメッセージを生成します。生成されたメッセージは、例えばマーケティング担当者の Slack に通知できます。もちろん、Slack に限らず、LINE や自社ツールなどにも連携が可能です。
顧客情報と購買履歴の抽出、追加プロンプトの入力と送信
顧客の過去の購買履歴に基づいたキャンペーンメッセージが生成される
生成AIに渡す指示内容や抽出するデータを工夫することで、特定のユースケースに最適化されたキャンペーンメッセージを生成できます。
One to One マーケティングを効率的に実現する、生成 AI ならではのカスタム Action を活用することで、顧客体験を向上させることが可能です。
参考：【Looker x GenAI】Looker と生成 AI で実現するパーソナライズドマーケティング：カスタム Action で顧客体験を向上｜クラウドテクノロジーブログ｜ソフトバンク
Gemini in Looker による分析支援
Looker には、分析担当者を Gemini が支援する機能も搭載されています。
Gemini in Looker は、LookML のコード生成、 Looker の可視化の支援などをサポートします。
例えば、LookML の記述に不慣れなユーザーでも、Gemini のコード生成機能を利用することで、 LookML コードを作成できます。
さらに、自然言語を使用して、カスタム Looker ビジュアリゼーションの生成も可能です。
詳細は Gemini in Looker | Gemini for Google Cloud をご確認ください。
Looker と生成 AI 連携のメリット
Looker と生成 AI を組み合わせることで、以下の様なメリットが期待できます。
- データアクセスの民主化
自然言語によるデータ探索により、専門知識がなくとも誰もがデータにアクセス可能になります。
- データ理解の加速
生成 AI が複雑なデータも分かりやすく要約し、インサイトを迅速に把握できます。
- アクションの迅速化
AI がデータに基づいたアクションを提案・実行することで、タイムリーな意思決定とアクションに繋がります。
- 分析業務の効率化
Gemini in Looker がコード生成や可視化を支援することで、分析担当者の負担を軽減し、より高度な分析に注力できます。
- 顧客体験の向上
パーソナライズされたマーケティングにより、顧客エンゲージメントと顧客満足度を高められます。
生成 AI 連携に Looker が適している理由
数ある分析ツールの中でも、Looker が生成 AI 連携に特に適している理由は、そのアーキテクチャと機能にあります。
- セマンティックレイヤ
LookML によってデータ指標がセマンティックレイヤに一元管理されることで、データ定義の一貫性とガバナンスが強化されます。このセマンティックレイヤの存在は、生成 AI によってデータ理解と解釈の基盤となり、自然言語処理とデータ分析の連携を円滑に進める上で不可欠です。
- リアルタイム分析
前述の通り、Looker は BigQuery のような大容量データを高速処理できる DWH と連携することで、膨大なデータをリアルタイムに分析することが可能です。これは生成 AI との連携においても大きな利点となります。最新のデータに基づいた洞察を迅速に生成し、組織全体の意思決定プロセスを AI ドリブンに変革できます。
- Google のサービス
Looker は Google のサービスであり、Google 検索や自然言語理解といった世界トップレベルの技術を活用しています。また、Gemini のロングコンテキストウィンドウも大きな強みです。
まとめ
Looker と生成 AI の連携は、データアクセスの民主化、データ理解の加速、アクションの迅速化、分析業務の効率化、顧客体験の向上を可能にし、ビジネスのあらゆる領域でメリットが期待できます。これらのメリットにより、企業はデータ分析にかかる時間とコストを削減し、より迅速かつ効果的な意思決定を実現できます。売上向上や業務効率化、顧客満足度向上といった具体的な成果に繋げることが可能になります。
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