業務を効率化!Agentspace のアクション機能とは?

2025年4月25日掲載

Google Cloud から新しい AI プラットフォームの Agentspace が発表されました。

Agentspace のアクション機能は、Google の強力な検索技術と Gemini の高度な自然言語処理能力を組み合わせることで、企業内に散在する情報を活用し、具体的な業務を効率化できる点が大きな特徴です。回答をするだけでなく、メール送信やカレンダー登録といった日常的なタスクを自然言語で指示するだけで「実行できる」ため、従業員はより付加価値の高い業務に集中できるようになります。

今回は Agentspace のアクション機能に焦点を当て、業務での活用方法を紹介します。

※執筆時点からユーザーインターフェース および仕様などが変わる可能性がありますのでご留意ください。

 

目次

Agentspace とは

Agentspace は、Google Cloud が提供する企業向けの AI エージェントプラットフォームです。Google の生成 AI 技術、特に Gemini を活用し、社内の様々な情報源から必要な情報を効率的に検索・抽出し、活用することが可能です。これにより、企業は自社データに基づいた独自の Google 検索のような環境を構築できます。また、自然言語による指示で、Agentspace に作業を代行させる「アクション機能」も備えています。

Agentspace の機能概要については、以下の記事もご参照ください。
Agentspace とは?何ができる? Agentspace の機能紹介!

アクション機能

Agentspace では Google の検索技術と Gemini の AI 技術を活用し、企業内のデータを基にカレンダーの作成やメール送信といったアクションを実行できます。

これにより、情報収集から具体的な業務遂行までを Agentspace 上で完結させることが可能になり、従業員の生産性向上に貢献することが期待されます。例えば、会議議事録からアクションアイテムを抽出し、関連ドキュメントを検索して要約したり、関係者とのフォローアップ会議を設定したりするといった作業が、自然言語での指示だけで実行できるようになります。

接続できるサービス (2025/4/23時点)

Google のソース:
カレンダー、Google Gmail

サードパーティのソース:
Workday、Jira、Outlook

アクション機能の活用デモ

ここからデモの具体的なセツメイをしていきますが、前半で事前設定手順の説明を行い、後半では、Agentspace のアクション機能の具体的な活用方法を紹介します。

今回のデモでは以下のような行動を Agentspace にやってもらいます。

  • 会議議事録の検索: 特定の会議の議事録をAgentspaceに指示して検索します。
  • 情報調査と要約: 議事録内のアクションプランに関連する情報を調査し、要約させます。
  • メールでの情報共有: 調査結果を関係者にメールで送信するよう指示します。
  • 打ち合わせの設定: 関連する打ち合わせの日程を調整し、カレンダーに登録させます。
  • 次回定例の設定: 議事録に基づき、次回の定例会議をカレンダーに登録させます。
  • 会話履歴の要約: 一連の操作(会話)の内容を要約させます。

さて、このような便利なアクション機能を利用するためには、事前に Agentspace と連携させたいサービス(Google カレンダーや Gmail など)を接続する設定が必要です。今回のデモで利用するメール送信(Gmail)やカレンダー登録(Google カレンダー)といった各機能を実現するには、それぞれ対応するサービスとの連携設定が個別に必要となります。

本記事では、その具体的な設定方法の一例として、Google カレンダーとの連携手順を紹介します。Gmailについても、同様の手順で連携設定を行うことができます。

事前設定手順

アプリの構築手順は以前の記事「簡単!Google Cloud の新AIプラットフォーム「Agentspace」の始め方」をご参照ください。

Google のソースとの接続には、まずクライアントを作成したあと、アプリに接続する必要があります。

クライアントを作成する

1.[Google Auth Platform] へ移動し、[概要] → [開始]をクリック

2.アプリ情報を入力して [次へ] をクリック

3.対象を選択し [次へ] をクリック

今回は内部を選択しています。

4.連絡情報を入力して [次へ] をクリック

5.最後にポリシーに同意して [作成] をクリック

6.[OAUTH クライアントを作成] をクリック

7.必要事項を入力し、[作成] をクリック

承認済みのリダイレクト URI :https://vertexaisearch.cloud.google.com/oauth-redirect

8.作成したクライアントの [JSON をダウンロード] をクリック

クライアント ID とクライアントシークレットを控えておきます。

アプリにサービスを接続する

※本手順に入る前に Calendar API (Gmail アクションの場合はGmail API )が有効になっていることをご確認ください。

1.Agentspaceアプリにアクセスし、[操作]タブの[操作を追加]をクリック

2.[カレンダー]を選択

3.先ほどのクライアント ID とクライアントシークレットを入力し、[設定を終了] をクリック

※同じプロジェクトの中で Gmail アクション機能を後から接続する場合、最初に使ったクライアントIDとクライアントシークレットをそのまま利用できます。新しく作り直す必要はありません。

アクション機能の設定は以上です。

アクション機能を使ってみる

ここからは、冒頭でご紹介したシナリオに沿って、顧客との会議後に Agentspace を活用して、議事録の確認からアクションプランの抽出、関係者への情報共有、そして次回の打ち合わせ設定までを行うシナリオを想定して、アクション機能を使ってみます。

まずは特定の会議の議事録を検索します。

「B社との第3回定例の議事録を探して」

定例の議事録のリンクとともに、会議概要・議題・議事内容・決定事項・アクションプラン・次回会議の情報が表示されました。

リンクから実際の議事録にアクセスすることも可能です。今回は、サンプルとして Gemini で議事録を作成しています。

次に Google 検索による Grounding 機能を利用して情報検索と要約をお願いします。

Grounding 機能については以前の記事「Agentspace とは?何ができる? Agentspace の機能紹介!」で紹介していますので、参照してください。

「アクションプランの「Lookerと生成AI連携ソリューション」について調査して」

「Lookerと生成AI連携ソリューション」について、主なソリューションと連携メリットが示されました。

回答内のリンクをクリックすると、情報元にアクセスすることができます。

次に、関係者へ調査内容をメールで共有します。

「この内容を yamada@example.jp へメールして」

Gmail 作成フォームが表示されました。件名と宛先、本文がデフォルトで入力されています。

※初回は[Send] ボタンではなく、[Authorize] ボタンになっています。 [Authorize] をクリックし、表示されるポップアップに従って承認が必要です。完了すると、ボタンが[Send]に変わります。

必要に応じて内容を修正し、[Send]をクリックします。

メールが送信されました。

実際にメールが送信されていることが確認できます。

次に、カレンダーを作成します。

「Lookerと生成AI連携ソリューションについてディスカッションしたいので、yamada@example.jp 宛にカレンダーを設定して」

カレンダー作成フォームが表示されました。
※カレンダーアクション機能も初回は承認が必要です。

必要に応じてフォームを修正し、[Send]をクリックすると、カレンダーが作成されました。

次に、次回定例も設定します。

「ありがとうございます。最後に、次回の定例を設定してください」

カレンダー作成フォームには、議事録に記載されている次回定例の日程が正しく設定されています。カレンダーを作成します。

実際にカレンダーに予定が登録されていることを確認できます。

最後に、今回のやり取りを要約してもらいます。

「この会話内容を要約してください。」

「会話の概要は以下の通りです。

  1. B社との第3回定例会議の議事録を検索し、その内容を共有しました。
  2. 議事録に記載されていた「Lookerと生成AI連携ソリューション」について検索し、その内容を共有しました。
  3. Lookerと生成AI連携ソリューションに関する情報を yamada@example.jp 宛にメールするように依頼されました。
  4. yamada@example.jp とのLookerと生成AI連携ソリューションに関するディスカッションの予定を作成するように依頼されました。
  5. B社との次回の定例会議の予定を作成するように依頼されましたが、B社の参加者のメールアドレスを見つけられなかったため、あなたのみを参加者として予定を作成しました。

正しい要約が表示されました。Agentspace が会話履歴を考慮して回答していることがわかります。

このデモでは、Agentspace のアクション機能を使うことで、情報検索、内容の要約、メール送信、カレンダー登録といった一連の業務が、まるで優秀なアシスタントに指示をするかのようにスムーズに実行できることがご理解いただけたかと思います。複数のアプリケーションを跨ぐことなく、Agentspace のインターフェース内で完結できるため、業務効率の向上が期待できます。

まとめ

本記事では、Google Cloud の新しい AI プラットフォーム Agentspace の「アクション機能」に焦点を当て、その概要、設定手順、そして具体的な業務活用デモについて紹介しました。

Agentspace のアクション機能は、Google の強力な検索技術と Gemini の高度な自然言語処理能力を組み合わせることで、企業内に散在する情報を活用し、具体的な業務を効率化できる点が大きな特徴です。メール送信やカレンダー登録といった日常的なタスクを自然言語で指示するだけで実行できるため、従業員はより付加価値の高い業務に集中できるようになるでしょう。

今後、さらに多くのサービスとの連携が実現することで、Agentspace の活用範囲が広がり、より多様な業務の効率化に貢献することを期待しています。

最後までお読みいただき、ありがとうございました。

無料で始める、Vertex AI DIYサービスが大幅アップデート!

従来のVertex AI Search(現名称:RAG)に加え、マルチモーダルプランが新登場。マルチモーダルプランは、「Vertex AI Studio をエンドユーザに使わせたい!」、「新しいモデルを利用したい!」という顧客の声から生まれました!

RAG 精度向上オプションサービスの登場!

多く寄せられた「文書検索精度を改善したい」という顧客の声から生まれました!本サービスは、Vertex AI DIYプラン のRAGプランで使っている、Google Cloud のVertex AI Agent Builder 専用の精度改善オプションです。

Vertex AI DIYプランについて

Vertex AI Search を使って社内文書を検索する生成 AI を構築してみませんか?
ソフトバンクのエンジニアが構築をサポートします。

Vertex AI DIY プランでは、以下の3つのことをご体験いただけます。
詳細は、関連サービスにある「Vertex AI DIYプラン」をご確認ください。

SoftBank Vertex AI Search DIYプランのご紹介

関連サービス

Vertex AI Search を使って社内文書を検索する生成AIを構築してみませんか?
ソフトバンクのエンジニアが構築をサポートします。
Google の生成AIの導入を考えている方はもちろん、どのようなものか確認したいという方でもご活用いただけます。

Looker は定義から集計、可視化の一連のデータ分析プロセスをカバーする BI ツールを超えるデータプラットフォームです。ソフトバンクは、顧客のニーズに合わせて柔軟なサポートを提供し、Looker を活用したデータドリブンな企業変革を支援しています。

Google サービスを支える、信頼性に富んだクラウドサービスです。お客さまのニーズにあわせて利用可能なコンピューティングサービスに始まり、データから価値を導き出す情報分析や、最先端の機械学習技術が搭載されています。

MSP(Managed Service Provider)サービスは、お客さまのパブリッククラウドの導入から運用までをトータルでご提供するマネージドサービスです。

おすすめの記事

条件に該当するページがございません