僕が考える複数生成AIを活かした「最強のAIチーム」を組んでみた

2025年6月25日掲載

Google Meet

【 AI 活用、こんなお悩みありませんか?】企業と現場の“ AI ギャップ”を解消するヒント

AI の進化は目覚ましく、今やビジネスに欠かせない存在です。しかし、多くの企業で「公式 AI ツールを導入したけれど、現場では別の AI が使われている…」といった“ AI ギャップ”に直面しているのではないでしょうか?

例えばこんな呟きをしたり聞いたりしませんか?

  • IT部門のみなさま: 「セキュリティやコストを考えると、 AI ツールは一本化したい。せっかく公式ツールとして Gemini を導入したのに完全に移行されていない。相変わらず現場では無償版の ChatGPT  ”も” 使われているようだ…」

  • 現場のみなさま: 「正直、会社の公式 AI ツールだけでは業務ニーズに合わないんだよね…セキュリティもわかるけれど、適材適所で色々な AI を使いたい!」

この“温度差”は、 AI の利活用を加速させる上で無視できない課題です。本記事では、 Google Workspace ユーザーの皆さまに向けて、 Gemini を主軸に据えながら、複数の生成 AI を戦略的に“併用”する現実的なアプローチについて企業がどう向き合うべきかを徹底解説します!

「うちはGoogle Workspace を使ってないから、関係ないかな…?」そう思われた非Google Workspace ユーザーの皆さん、ちょっとお待ちください! この考え方はGeminiに限った話ではありません。どの生成AIを使っていても避けて通れない内容になっています。ぜひ最後まで見てみてください。

目次

 AI 活用の理想と現実:「一本化」vs「柔軟性」

 IT部門の理想: 一本化したい

「 AI ツールはできるだけ一本化したい!」これは多くのIT管理者の方々が抱く当然の願いですよね。ガバナンス、効率性、そしてコストの適正化を追求するIT部門にとって、 一本化は理想的な管理体制への王道ではあります。
  • セキュリティの一元管理: 情報漏洩や著作権違反など AI を使用する上でのリスクを最小化したい。
  • コスト削減: ライセンス費用や管理コストを抑え、無駄を削減したい。
  • サポートの簡略化: 社内ヘルプデスクやトレーニングの負担を軽減し、効率的な運用に繋げたい。

ユーザー部門の理想: 柔軟性が欲しい

一方で、日々の業務で AI を使いこなす現場の社員からはこんな声も聞こえてきます。「公式 AI だけじゃ、正直足りない…」彼らが求めているのは、業務の成果を最大限に引き出すための“柔軟性”です。従って、このような使い分けが誰から教わるわけでもなく自然と生まれていきます。

  • 「企画のアイデア出しには ChatGPT がひらめきをくれる!」
  • 「市場調査や情報収集には Gemini が速くて便利!音声概要も使いやすい!」
  • 「ExcelやWordの作業は Microsoft Copilot が断然効率的!」

と AI ツールはそれぞれが個性を持ち得意分野があるということを肌感覚としてつかんでいらっしゃいます。

現場のニーズに応えるためには用途に応じた AI の使い分けができる環境を整えることが不可欠で、この対立が後述するようなシャドー AI 問題を引き起こしているように感じます。

【要注意!】「シャドー AI 」がもたらす隠れた危険

皆さんの会社では、IT部門が把握していない AI ツールが現場で使われていませんか?これが「シャドー AI 」と呼ばれるものです。単なる「便利なツールの使い分け」と安易に考えてはいけません。放置すれば、組織全体のセキュリティや信頼を大きく損なう重大なリスクをはらんでいます。

なぜシャドー AI が生まれてしまうのか?

現場がシャドー AI に手を出す背景には、主にこんな理由があります。

  • ニーズとのミスマッチ: 公式 AI の機能が、現場の業務ニーズや求めるスピード感に合致しない。
  • 手軽さの追求: 承認プロセスなどを経ずに、すぐに試せてしまう手軽さに惹かれてしまう。
  • 情報・教育の不足: 公認 AI の最適な使い方、非公式ツールのリスクに関する情報が不足している。
  • 既存ツールに対する好みや慣れ: 公式AIに致命的な不満があるということはないが慣れ親しんだものをつい使ってしまう

「背に腹は代えられない」と、現場はリスクを認識しつつも非公式な AI に頼ってしまうことがあるのです。

シャドー AI が招く主なリスク

  • 情報漏洩: 顧客情報や社内機密を、意図せず外部 AI に入力してしまう危険性があります。
  • セキュリティポリシー違反: 規定外のツール利用が監査で発覚し、内部統制に影響を及ぼす可能性があります。
  • 誤情報の拡散: 出どころ不明の AI の出力結果を安易に信用し、社内外の文書に転用することで事実誤認を生む。

 AI は便利なツールですが、使い方を間違えれば“諸刃の剣”となります。便利さの裏に潜むリスクを、決して見過ごしてはいけません。

【禁止も放任もNG!】「戦略的 AI 併用」で組織を強くする

 AI 活用の鍵は、単なる「禁止」でも「放任」でもありません。最も重要なのは、 AI を「使われるもの」から「最大限に活かすもの」へと進化させるための「戦略的な併用設計」です。組織として明確な方針を打ち出し、運用設計を徹底することで、 AI を真の「戦略資産」へと変えることができます。

戦略的 AI 併用を成功させる4つのステップ

  1. 公認ツールの明確化とガイドライン策定:
    •  Gemini を主軸としつつ、 ChatGPT や Microsoft Copilot などの補助ツールも承認しましょう。
    • 「どんな情報を、どの AI に入力して良いか」を具体的に示し、NG例とOK例をセットで明示することで、現場の迷いを解消できます。
  2. 実践的な教育とトレーニングの実施:
    • 単なる座学ではなく、実際の業務シーンで AI をどう活用するか、注意すべき点は何かを体験的に学べる研修を提供します。
    • 各 AI ツールの得意分野や利用シーンを具体的にレクチャーし、現場が自信を持って使いこなせるようサポートしましょう。
  3. ログ・監査体制の構築:
    • 誰が、いつ、どの AI に、どのような情報を入力したかを把握できる仕組みを構築します。
    • 万が一のインシデント発生時にも、迅速な対応を可能にします。
  4. 定期的な見直しと改善:
    •  AI 技術の進化や現場のニーズの変化に合わせて、ポリシーやガイドラインを定期的に見直しましょう。
    • 常に最適な状態を維持することが重要です。

これらのステップを通じて、「 AI 併用は管理できない」という認識を、「 AI 併用こそが競争力の源泉」という戦略的な視点へとアップデートできるはずです。

 

 AI ツールの併用例: Google Workspace 利用者の場合

 Google Workspace 利用者なら、司令塔(基軸 AI )は自然と Gemini になってくるでしょう。そこに役割分担や相互補完を前提とした“補佐 AI ”を組み合わせれば、 AI の価値は倍増します。

タスク

基軸 AI 

補佐 AI

(例)

補完ポイント

ニュース収集・要点抽出

Gemini 

Perplexity

・最新情報検索に強く、信頼ソース付きの引用がある

・速報性の高いニュース収集に最適

論理的な文章構成

Gemini 

ChatGPT 

・構成力と推論力に優れ、論理的な日本語文章を一貫性高く構築可能

Officeドキュメント処理

Gemini 

Microsoft Copilot

・Outlook/ExcelなどOfficeとのシームレス統合により実用性が高い

・自然言語でのファイル操作やスケジュール整理が可能

企画・ブレスト

Gemini 

ChatGPT

・多様な角度からのアイデア出しに優れ、抽象→具体の展開が上手い

コードレビュー

Gemini 

Github  Copilot 

・GitHub上でのレビューや改善提案ができ、実用に近い提案が多い

・GeminiとGitHub が直接連携できることもポイント

さらに、「同じプロンプトを複数の AI に投げて回答を比較する」という“セカンドオピニオン”的な使い方もオススメです。  AI ごとの出力結果を見比べることで、より回答内容の正確性の判断や納得感のある成果が得られるためです。

 

【非Google Workspaceユーザーにも伝えたい】Google Workspace With Gemini は“補佐AI”としても強力

これまで主にGoogle Workspaceユーザー向けに解説してきましたが、Google Workspaceを導入していない企業・組織にとっても、Geminiは注目すべき存在です。

たとえば、次のような課題を抱える企業にとって、「補佐AI」としてGeminiを使うことは、非常に現実的かつ戦略的な選択肢となります。

  • 他のAIではカバーしきれない「文脈理解」や「業務支援」を補いたい場合
    • GeminiはGoogle検索の知識基盤と連携しており、構造的・網羅的な回答に強みがあります。
    • 「正確な要約」「事実ベースの要点抽出」が必要な場面では補完効果を発揮します。
  • AIの“多角的比較”に価値を見出している企業におすすめ
    • 「プロンプトを複数のAIに投げて回答を比較する」という運用は、近年多くの現場で実践されています。
    • Geminiを含めた複数AIのセカンドオピニオン的な使い分けは、正確性や納得感を高める上で大きな武器になります。
  • 意外と多い? 個人利用のGeminiユーザ 個人利用の経験は、業務でも活かせる!
    • Geminiをプライベートで使い慣れている方は意外と多いのではないでしょうか?その経験やノウハウをそのまま仕事に活かせます。情報収集や文章作成のコツなど、個人利用で培った知見は、業務効率化に大きく貢献するでしょう。
  • “司令塔”でなくても、“参謀”としての活用価値がある
    • Google Workspace の導入が前提でなくても、Geminiは個別ツールとしての導入や、情報収集・文章要約用のAIとして活用が可能です。
    • ChatGPT や Microsoft Copilot を中心に据える企業にとっても、「補完的役割」としてGeminiを位置づけることで、より柔軟で盤石なAIチームが構築できます。
  •  導入ハードルの低さも魅力
    • Geminiはブラウザで完結するツールであり、特別なインフラ導入や複雑な設定を必要としません。「まず1つAIを増やしてみたい」「比較検証したい」という企業にも最適です。

「最強の AI チーム」を構築し、ビジネスの未来を切り拓く!

これからの時代、生成 AI は決して「一つのツールで完結」するものではありませんGemini を司令塔として、 ChatGPT や Microsoft Copilot  など、それぞれの強みを持つ AI を「最強のチームメイト」として組み合わせることが、ビジネスを加速させる「現実的かつ最善の戦略」と言えるでしょう。

  • Gemini : Googleの膨大な知識と直感的な操作性で、あなたの業務を力強くリードする「司令塔」です。
  • ChatGPT : 自然言語生成のプロフェッショナルとして、企画やアイデア出しに無限の可能性をもたらします。
  • Microsoft Copilot : Microsoft製品との高い親和性で、日常業務の効率化を強力にサポートします。

 AI は単なるツールではなく、多様な才能を持つ「チームメイト」なのです。 企業と現場が一体となり、最適な AI チームを設計・育成していくことが、これからの競争力を決定づけるカギとなるでしょう。

【今すぐできる!】戦略的 AI 活用に向けた3つのアクション

「戦略的な AI 併用が大切なのは分かった。でも、具体的に何から始めれば良いのか分からない…」
そんな方のために、すぐに着手できる現実的なアクションプランを3ステップでご紹介します。

① 現場の AI 利用実態を“見える化”する

まずは、自社の“ AI ギャップ”の正体を明らかにすることが第一歩です。
IT部門が想定している利用状況と、現場で実際に使われているツールにズレがないかを、ヒアリングやアンケートで確認しましょう。

  • 「どの部署が、どの AI を、どの業務で使っているか」を棚卸し
  • 非公式 AI を使っている理由を把握する(例:スピード感、機能面、使いやすさ)

現場のリアルな声を知ることで、「 AI 一本化」ではなく「最適な併用」のヒントが見えてきます。

② 社内で許可された AI ツールとルールを明確化する

“何が使えて、どう使えばいいのか”が曖昧なままだと、現場は独自判断に走りがちです。
まずは、公認 AI ツールの一覧と、それぞれの利用シーン・入力可能な情報の範囲を明文化しましょう。

  •  Gemini 、 ChatGPT 、 Microsoft Copilot などの“得意領域”別の使い分け方針を共有
  • 「NG例/OK例」付きのガイドラインを用意し、迷わず使える状態に
  • 初心者向けのTipsやFAQも一緒に用意すると現場で定着しやすくなります

③ 実務に即したライトな“内製研修”を始める

研修といっても、堅苦しいセミナー形式である必要はありません。
日常業務の中で「こう使うと便利」「こんな工夫がある」といった実践的なナレッジを共有し合う場を設けるだけでも効果的です。

  • 実際の業務フローに即したプロンプト事例を紹介
  • 部門横断で AI 活用事例を発表・共有する「ライトLT会」などを定期開催
  • 社内ポータルなどに“成功プロンプト事例集”をストックするのもおすすめです

この3ステップを実践することで、 AI は単なる便利ツールではなく、全社のパフォーマンスを引き上げる“共通言語”となっていきます。


情報システム部門の皆さまへ

コストとリスクのバランスを考慮しつつ、最適な AI の組み合わせを設計することは、まさに情報システム部門の皆さまの腕の見せ所です。「どの AI を選ぶか」ではなく、「どう組み合わせ、どう活かすか」を考える時代が到来したのです。

 AI ツールの選定や最適な活用戦略でお悩みではありませんか? ぜひソフトバンクへご相談ください!

以下のサービスページからお問い合わせください。

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