【前編】古いPCが最新マシンに! ChromeOS Flex × Google Workspaceで即戦力化(戦略・知識編)

2025年9月16日掲載

Google Meet

「急なPC故障!でも代替機がない…」「新入社員用のPC、予算が…」

オフィスの片隅や、めったに開けることのないロッカーの奥でホコリをかぶっている古いパソコンを見ながら、頭を抱えるITご担当者様。その悩み、Googleの「ChromeOS Flex」が無料で、しかも驚くほど簡単に解決できるかもしれません。オフィスの倉庫や棚の奥に、まだ動くはずなのに「型式が古いから」「動作が遅いから」「OSがサポート切れだから」という理由で使われなくなったパソコンが眠っていませんか?

急な故障や新入社員の入社で「すぐに使えるパソコンが1台必要!」となっても、予備機を潤沢に用意しておくのは難しいものです。かといって、すぐに新しいパソコンを購入する予算を確保するのも簡単ではありませんよね。

もし、そんなお悩みをお持ちでしたら、ぜひ知っていただきたいのがGoogleの「ChromeOS Flex」です。

👉 この記事は前後編の【前編:戦略・知識編】です。実践方法や技術についてお知りになりたい場合は、後編をご覧ください。)

目次

古いパソコンが、無料で、安全・快適なPCに生まれ変わる

ChromeOS Flexは、Googleが提供している無料のOS(オペレーティングシステム)です。今お使いのWindowsやMacのパソコンにインストールすることで、そのパソコンを「ChromeOS」搭載のPCとして利用できるようになります。

最大の特長は、OS自体が非常に軽量であること。そのため、一昔前の性能のパソコンでも、驚くほどサクッと快適に動作するようになります。

筆者の実体験:10年以上前のiMacが、最新iMacより快適に?

実は、処分に困り置き物と化していた「iMac (21.5-inch, Late 2013) 」にChromeOS Flexをインストールしてみました。

ちなみにこのiMac、「GeminiにiMac (Late 2013, 21.5インチ) は今でも使えるか?」と聞いてみたところ、

2013年後期に発売された21.5インチiMacは、現在も限定的な用途であれば使用可能ですが、多くの場合、賢い選択とは言えず、「普通だったらやめておけ」という判断になる可能性が高いでしょう。

いつもは優しいGeminiにすらダメ出しされてしまうレベルの端末です。そんな経緯もあり、正直なところあまり期待はしていませんでした。しかし、結果は驚くべきものでした。起動も早く、ブラウザの操作もサクサク。普段メインで使っている「iMac (M1, 2021)」よりも軽快に感じる瞬間があるほどです。

2019年にOSのサポートが終了し、セキュリティ的にも“見捨てられていた”はずのPCが、万全のセキュリティを備え、最新AIツールすらストレスなく動かすメインマシンとして見事に蘇りました!

CPU使用率やメモリも振り切れたりリソース不足になることなくいわゆる普通の負荷として動作しています。

なぜ今、企業にChromeOS Flexがオススメなのか?

コストを抑えたい、でもセキュリティは妥協したくない。そんな企業のニーズに、ChromeOS Flexは最適です。

1. 圧倒的なコスト削減

新しいパソコンを購入する必要がないため、ハードウェアのコストはゼロ。OSのライセンス費用もかかりません。処分待ちだったパソコンが、費用をかけずに価値ある「予備機」や「業務端末」に生まれ変わります。

2. Googleが支える安心のセキュリティ

企業のパソコンで最も懸念されるのがセキュリティです。ChromeOS Flexは、その点でも大きなメリットがあります。

  • ランサムウェア攻撃の実績ゼロ: これまでChromeOSがランサムウェアの攻撃を受けたという報告は一度もありません。OSの主要部分が読み取り専用であることや、後述のサンドボックス技術など、その設計思想自体が極めて高いセキュリティを実現しています。企業の事業継続を脅かす最大の脅威から解放されます。
  • 自動アップデート: セキュリティパッチや最新機能は、バックグラウンドで自動的に適用されます。常に最新の状態で利用できるため、脆弱性を放置するリスクを大幅に減らせます。
  • サンドボックス技術: アプリやウェブサイトは「サンドボックス」と呼ばれる保護された環境で実行されます。万が一、ウイルスに感染するようなページを開いてしまっても、OSの他の部分や重要なファイルに影響が及ぶのを防ぎます。
  • データはクラウドに: ファイルは基本的にGoogleドライブなどのクラウド上に保存します。端末の紛失や盗難にあっても、パソコン本体にデータが残っていないため、情報漏洩のリスクを最小限に抑えられます。

3. Google Workspaceとの抜群の親和性

すでにGmailやGoogleドキュメントなどを業務で活用している企業なら、ChromeOS Flexはまさに最適な選択肢です。

さらに、Geminiアプリ やNotebookLM といった最新のAIツールも、ChromeOS 上ではPWA(プログレッシブウェブアプリ)として個別のアプリのように起動できます。Windows上のChromeブラウザではタブの一つとして埋もれてしまいがちなこれらのツールを、独立したウィンドウでスッキリと利用できるのです。

* 画像は個人用Google アカウントでログインした時の画面です

このように、Googleのサービスを最大限に活用できる設計になっているため、特にGoogle Workspaceユーザーにとっては、地味ながらも非常に便利な、ストレスフリーな環境が手に入ります。ブラウザさえあれば仕事が完結する方なら、メインの業務用端末として全く問題なく利用できます。

4.  驚くほどシンプルな管理体制 —「運用しやすい」の理由とは

教育現場で評価される「運用しやすさ」は、企業にとっても大きなメリットです。具体的には、IT管理者の負担を劇的に軽減する以下のような特長が挙げられます。

  • クラウドで一元管理: Google Workspaceの管理コンソールから、組織内の全端末の設定を遠隔で一元管理できます。Wi-Fi設定やアプリの制限などを一括配信でき、管理のために各端末を物理的に触る必要はありません。
  • キッティング作業がほぼ不要に: 管理者の作業はOSのインストールだけ。ポリシーやアプリ設定はユーザーがログインした瞬間にクラウドから自動適用されるため、従来のような時間のかかるキッティング作業から解放されます。
  • ヘルプデスク業務の削減: OSはバックグラウンドで自動更新され、ウイルス対策も不要なため、アップデートやマルウェア関連の問い合わせが激減します。また、端末に不具合が起きても、別の端末にログインし直すだけで元の環境が復元されるため、ユーザーも管理者も迅速に問題解決ができます。

5. 契約済みストレージの価値を最大化

  • 契約中のGoogle Workspaceの容量(Business Standardならユーザー毎に2TBなど)は活用できていますか?
  • 私自身ほぼ全てのデータをGoogle Workspaceに保存しているのですが、それでもようやく250GB程度の使用量です。これは使用率ベースでいうと割り当てストレージの 5% 未満です。
  • ChromeOS Flexなら、この大容量をPCの内蔵ディスクのように使うことができます。すでにお支払い済みのライセンス費用を、最大限活用できます。データをローカルに持たないので紛失対策としても非常に有効です。

ビジネスで選ばれる背景とは? 教育現場・自治体での圧倒的な実績

「ChromeOS」という言葉に、まだ馴染みがない方もいらっしゃるかもしれません。ChromeOS はGoogle が開発したOSで、日本では特に教育現場で急速に普及しています。ChromeOS は知らなくても Chromebook という言葉は聞いたことがある方はいらっしゃるかもしれません。このChromebook にインストールされているOSがChromeOS になります。

GIGAスクール構想の端末更新が本格化する「第2期」に関する調査では、さらに注目すべきデータが報告されています。

  • 第2期のOSシェアはGoogleが60%で1位を維持、第1期から18ポイント増
  • OSを切り替える自治体は28%、主な理由は「周辺自治体が利用」「運用しやすい」

GIGAスクール端末更新でOSシェアに大きな変化 ≪ プレスリリース | 株式会社MM総研

このデータが示すのは、教育現場におけるChromeOSへのシフトがさらに加速しているという事実です。

 

自治体でも導入加速!「大人の世界」でも選ばれるChromeOS

GIGAスクールでの成功は、子供たちの世界だけに留まりません。その「運用しやすさ」と「高いセキュリティ」が評価され、地方自治体の業務端末としても本格的に導入が進み始めています。

宮崎市の事例:Google Cloud のソリューション採用による DX 推進で働き方改革と職員の意識改革を実現

例えば宮崎市では、全庁的なDX推進のためGoogle WorkspaceとChromebookを導入。これにより、大きな成果を上げています。

  • ペーパーレス会議の実現
  • 場所を選ばない柔軟な働き方
  • 災害時でも迅速な情報共有体制の構築

宮崎市: Google Cloud のソリューション採用による DX 推進で働き方改革と職員の意識改革を実現

宮崎市の事例は、ChromeOSが「教育用」という枠を超え、セキュリティや管理コストに厳しい要件が求められる行政の現場で、働き方そのものを変革する力を持つ本格的なビジネスOSであることを証明しています。

未来のスタンダードを見据えた選択

GIGAスクール構想の開始から数年が経ち、当時中高生だった「ChromeOS ネイティブ世代」が、まもなく社会人として活躍し始めます。

彼らにとってChromeOS + Google Workspace の組み合わせは、特別な環境ではなく、ごく自然な「いつもの道具」。採用や新人研修の際に、彼らが慣れ親しんだOS環境を提供できることは、スムーズな業務開始と生産性向上に直結し、企業の隠れた競争力となるでしょう。

…とはいえ、長年Windowsに慣れ親しんだ環境から移行したり試してみるにしても、いくつかの不安や疑問が浮かびますよね。

  • 「WordやExcelファイルは、本当に問題なく使えるの?」
  • 「うちの会社で使っている専門ソフトはどうなる?」
  • 「ChromeOS Flexってどうやって導入すればいいの?」

【後編】ではWindowsとの違いなど実務における具体的な疑問にお答えしながら解説します。

 

関連サービス

Google Workspace は、あらゆる業務に合わせて、すべてのビジネス機能をそろえた統合ワークスペースです。お客さまのご利用に合わせたサポートとオプションをご用意しています。あらゆる働き方に対応する業務効率化を実現します。

IDaas(Identity as a Service)サービスであり、企業向けデバイス管理(EMM)サービスです。Cloud Identity を利用することで、管理者は Google 管理コンソールからユーザ、アプリケーション、デバイスを一元管理することができます。

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