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About the activity of "Brain Sciences x AI" community, organized by Beyond AI Promotion Division
2025年12月5日掲載
みなさんこんにちは、CIOリレーション室の馬田です。
2025年もあっという間にアドベントカレンダーの時期ですね!
テックブログ、執筆しようと思ってもなかなか時間が取れず、昨年のアドベントカレンダー以来1年ぶりの執筆になってしまいました...。
が!しかし!!今年もこのアドベントカレンダーには何個か記事を投稿していこうと思いますので、よろしくお願いします!
さて、2025年のソフトバンク アドベントカレンダー、5日目となる今日は、ソフトバンクと東京大学の共同研究機構「Beyond AI研究推進機構」の取り組みの中から「Brain Science × AI コミュニティ(以降、BSxAIコミュニティ) 」の取り組みについて、ソフトバンクの脳科学研究者であるCarlosさんにお話を聞いてきたので、紹介したいと思います!
今年はどんなアップデートがあったのか、ぜひ見て行っていただければと思います。
今回お話を聞いた人
ソフトバンク株式会社 AI戦略室
Beyond AI 推進課
計算論的神経科学者(Computational Neuroscientist)としてBeyond AI連携事業に携わり、ブレイン・モデリング、強化学習、神経信号処理をはじめとした応用脳研究を焦点に研究を行っている。
ソフトバンク入社前は、OISTの神経計算ユニットのポスドク研究員、IBMと米州開発銀行のITコンサルタントとして活躍した。
主な科学的関心領域は、ブレイン・モデリング、神経変性疾患、生物学 × AI、スーパー・コンピューティング等。
さて、本文に入る前に、ソフトバンクと国立大学法人東京大学(以下、東京大学)の産学連携プロジェクト「Beyond AI研究推進機構」について紹介します。
ソフトバンクと東京大学は2020年5月、世界最高レベルの人と知が集まる研究拠点として「Beyond AI研究推進機構」を立ち上げました。
この「Beyond AI 研究推進機構」では、AIの基盤技術研究とその他の学術領域との融合による新たな学術分野の創出や、社会課題・産業課題へのAIの活用を目指して、さまざまなテーマでの研究を推進しています。
これらの研究の成果は現在、ジョイントベンチャーの設立などによっていち早く社会実装・事業化されており、さらなるAI研究の発展とよりよい社会の実現に貢献しています。
図1:「Brain Science × AI」コミュニティの概要
それでは本題に入りましょう。
今回のブログは以下の内容がまとまっています。
馬田「早速ですが、今年一年での取り組んだ内容について教えてください!」
2025年のBSxAI コミュニティでは、まず「アイデアを明確に共有し、話すべき人々を結びつけ、有望なコンセプトを実用的な次のステップへと発展させること」を目標に据えて活動を実施しました。
その中で、公開ワークショップを通じて研究者と開発者を集結させ、オープンリサーチのプレプリントを公開しました。
公開ワークショップについては2つ実施しました。一つは、ソフトバンク本社でのワークショップと、もう一つは国家プログラムであるBrain/MINDS 2.0です。
馬田「まず社内のワークショップについて教えてください!」
BSxAIコミュニティは、実はまだできて間もないコミュニティなのですが、3月に竹芝本社で開催したこのワークショップが、BSxAIコミュニティ初めてのワークショップとなりました。
このワークショップは、ソフトバンクの社員だけでなく大学の研究者、教授、学生、業界のゲストなども多くご参加いただいて、なんと約100名もの方に集まっていただいたんですよ!ネットワーキングイベントという側面でも大成功だったと思います。
馬田「初めてのワークショップだったんですね!それで100人も集まるのはすごい...。イベントはどんな内容だったんですか?」
イベントは、2部構成で第一部は講演会という形としました。
「科学を進歩させると同時に、それを現実世界へのインパクトへと移行させる」というコミュニティのミッションの簡単な紹介から始まり、ご招待していた様々な先生方に講演をしていただきました。
学術界からは、大木 健一 先生 (東京大学)、 銅谷 賢治 先生 (OIST)、 尾藤 晴彦 先生 (東京大学)、 池内 与志穂 先生 (東京大学)、 そして 辻 伸吾 先生 (東京大学) をお迎えしました。
講演テーマは、AI × 脳情報モデリング、強化学習における「デジタルブレイン」の視点から、拡張認知、脳処理ユニット、生物学的データのためのAIにまで及び、脳科学の中でもあらゆる分野に及びました。
第二部はネットワーキングセッションです。
ソフトバンクのAIエンジニアや新規事業開発担当者、脳科学の権威ある先生方がつながることで、産学連携の可能性や、研究の新しいアプローチについての議論が弾みました。
馬田「研究者とAIエンジニア、交流が深まると面白そうですね!このイベントを通してどのようなことが出来たのか、またカルロスさんはどのようなことを感じたのかなど、教えてください」
今回のワークショップは、研究者とエンジニアが一堂に介して、刺激的なアイデアを講演パートで共有し、交流しやすい環境を作ることで、脳科学研究者とAIエンジニアが出会い、議論し、次のステップを計画するための温かく開かれた場を作り出すことができたのではないかと思います。
特に第二部で参加者の議論を聞いていると、アイデアが実際の行動へと変わり始めた瞬間を感じることができました。
イベント後のアンケートでは、「NeuroAIと脳のデコーディング」、「健康とメンタルウェルビーイング」、「商業化と倫理への具体的な道筋」に焦点を当てたセッションに対して強い意欲があることが分かりました。
コミュニティとして次に何をすべきかについても、明確な示唆が得られたと思います。
また、このセッションを通じて、議論を継続するための共有インフラとデータセット、共通の場を構築することの重要性を感じました。ソフトバンクとしてもどんな支援ができるか、考えていこいうと思います。
図2:池内先生と一緒に開催したイベントの様子
馬田「それでは次に、Brain/MINDS 2.0についてもお話を聞かせてください!」
Brain/MINDS 2.0は、脳に関するデータと数理モデルが「デジタルブレイン」へと収束するプラットフォームを構築することで、研究の成果を次世代のインテリジェントシステムへと変換することを目指した国家プロジェクトです。
2025年10月1日に、東京大学の伊藤国際学術研究センターで開催されたBrain/MINDS2.0の年次大会で「スーパーインテリジェンスのための産学連携」に関する特別ワークショップが開催されたのですが、そのワークショップの登壇者としてソフトバンクのBSxAIコミュニティのメンバーをご招待いただきました。沖縄科学技術大学院大学
このワークショップでは、科学者だけでなく起業家の方も参加しており、脳科学と高度なAIを実践的な方法で結びつける潜在的な道筋を探りつつ、産業界と学術界が、どちらか一方だけでは達成できない研究の方向性とその応用可能性をどのように共創できるかを考察しました。
馬田「起業家の方もいらっしゃったんですね!新しい何かが始まりそう!!今回のワークショップの内容について、もう少し具体的に教えてもらってもいいですか?」
プログラムはまず学術界および幅広い研究コミュニティからのゲストによる基調講演で幕を開けました。
池内 与志穂 先生 (東京大学) が脳処理ユニットについて、濱田 太陽 氏 (株式会社アラヤ; NeuroxAI / DeSci Tokyo) がニューロインスパイアードなアイデアから製品への道筋を、岸本 泰士郎 先生 (慶應義塾大学、i2Lab) が精神医学研究と計算手法および産業界との連携機会を結びつけました。
次に、ソフトバンクの貢献として、カルロス・グティエレス (ソフトバンク・脳科学者) と片岡 道昌 (ソフトバンク・新規事業開発担当) が、あり得るコラボレーションモデルとアイデアをインパクトへと変えるインキュベーションの役割を概説しました。
プレゼンテーションの後には、銅谷 賢治 先生 (沖縄科学技術大学院大学) がモデレーターを務めるパネルディスカッションと会場全体での対話が行われました。
馬田「パネルディスカッションにソフトバンクから2名も登壇されたんですね!どのようなお話をされたんですか?」
このセッションでは、Brain/MINDS 2.0のデジタルブレインのビジョンにソフトバンクの「Brain-inspiredな知能(=脳の仕組みから発想を得た人工知能)」を実用化する推進力も貢献できると示すことが出来ました!
また、研究者の皆さんに対して、新規事業開拓の視点から、アイデアのモデルからプロトタイプ、そして社会的利益へと着実に移行するためのシンプルなプロセスについても提示することができ、より将来に繋げることが出来たと思います。
現段階ではBrain/MINDS 2.0とBeyond AIの関係はまだ始まったばかりなのですが、これからいかにコラボレーションしていくかについては引き続き議論していきたいですね。
馬田「最後のトピックですね。プレプリントを公開されたとのことですが、これについてもお話を聞かせてください!」
今年、私たちは大脳基底核の生物学に基づいた、「Brain-inspired」な学習モデルを記述したプレプリントを公開しました。
この研究は、脳のリアルな回路図とドーパミンによって形成される学習ルールを使用し、脳のネットワークがこのドーパミンによる報酬からどのように学習し、神経疾患に関連する行動の側面を再現できるかを示しています。この原稿はプレプリントとして公開されており、コミュニティが自由に読んで議論できるようになっています。
この研究は、OIST およびISIR/CNRS (フランス)との共同で実施されました。このモデルは構造を学習と結びつけ、強化学習や識別などの行動を示します。
また、富岳スーパーコンピュータ上で効率的にスケールし、大規模で生物学的に現実的なシナリオのテストを可能にします。
このオープンアクセスのプレプリントはプラットフォームとして、神経科学、AI/ロボティクス、健康研究を含む幅広い分野に貢献できると考えています。
馬田「さっきから実際の脳をベースにしてAIを作るという側面、かっこいいなと思っていたのですが、このプレプリントもぜひ読んでみようと思います!!最後に、これを読んでくださっている方に一言をお願いします!」
今年の活動はBSxAIコミュニティにとっても最初の一歩となりました。
ここまで読んでくださった皆さんには、今回の実施したセッションで研究室と産業界の専門家が一堂に会し、一連の疑問を共有し、共に構築する意思を持ったときに何が起こるかをというのがご理解いただけたかと思います。
NeuroAI、Brain-inspiredな学習、あるいは研究から社会的なインパクトを生み出す実践的な道筋にご興味がある方は、ぜひ私にご連絡ください。
今後のセッションに参加したり、トピックを提案したり、デモを持ち込んだり、パイロットプロジェクトで提携したりしませんか?
私たちはまだ見ぬ他のプログラムとの共創の道筋を積極的に探索しています。あなたの視点こそが、次に何が起こるのかを形作るのです!
馬田「カルロスさん、お話いただきありがとうございました!脳科学の切り口からより深くAIのテクノロジーに切り込んで行けるよう、頑張っていきましょう!!」
いかがだったでしょうか?
実施の脳にインスパイアされたAIって、聞くだけでも面白いですよね。
現状のAIとは違うアプローチから見ることで、来年もいろんな発見がありそうですね。
これからの動向にも注目したいです。
それではまた次の記事でお会いしましょう!!
アドベントカレンダー 6日目の記事もおたのしみに!
本記事の著者
ソフトバンク株式会社
サイバーセキュリティ本部
(兼)AI戦略室 Beyond AI推進課
(兼)TU/IT統括 DE&Iテーマ別WG事務局
2022年度ソフトバンク新卒入社。本務ではサイバーセキュリティ本部に所属しつつ、2023年7月より社内副業制度にてAI戦略室/Beyond AI推進課、同11月よりDE&Iテーマ別WG事務局にも所属。
サイバーセキュリティの業務では、業務用携帯端末の設定や業務用PCの通信データなどに着目、「社内の情報漏洩防止の観点でのセキュリティ向上」を追求している。
兼務先となるBeyond AI推進課では、テックブログの投稿含めた広報推進や、東京大学の学生さん等に向けたイベント/グローバルインターンシップ企画を務めており、DE&I WG事務局では、ソフトバンクのエンジニアが「どのようなマイノリティ属性を持っていようと働きやすい環境」を目指し、各WGによる企画の実行支援や、DE&I推進室/人事本部との連携を担っている。
業務外で興味のある分野は、モビリティ分野の自動運転や自動操縦、IoT分野を用いた第一次/第二次産業のDX、地方活性化など。
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