【2026年版】「NotebookLM」迷子に送る、Google Workspace 版とGoogle Cloud 版、あなたの会社に必要なのはどっち?

2026年1月8日掲載

Google Workspace

「話題のAI『 NotebookLM 』を社内で使いたいけど、 NotebookLM や NotebookLM Enterprise 、Gemini Enterprise など種類が多すぎて何を選べばいいか分からない…」

「『 Enterprise 』ってついてるやつが2つもあるけど、これって同じものなの??」「今言ってる『 NotebookLM 』って『どの NotebookLM 』??」

GoogleのAI製品は進化が早く、NotebookLMを取り巻く選択肢もGoogle Workspace(業務ツール)とGoogle Cloud(システム基盤)という2つの世界にまたがっています。さらにUltraといった新しい選択肢も加わり、「どのNotebookLMを指して話しているのか」が分かりにくい状況になっています。

この記事では、「どのNotebookLMを選べばいいのか?」という問いに対し、判断の軸となる考え方を整理しました。上司や現場からの「どれを使えばいいの?」という質問に対し、判断の拠り所を提示できるようになることを目指しています。

目次

1. まずはここから!基本の「Google Workspace 版 NotebookLM 」

ほとんどの企業にとって、スタート地点はこの「Google Workspace 版」です。

普段使っているGoogleアカウントでログインするだけで、すぐに使い始められます。

「標準版」と「Pro版」そして「Ultra」!

Google Workspace 版には、Business Starterで使える『標準版』と、上位ライセンスで機能がパワーアップする『Pro版』の2種類があります。さらに、先日ついに『Ultra』が登場しました!「松・竹・梅」でイメージすると分かりやすそうです!

  • 標準版(基本機能)
    • できること: PDFやGoogleドキュメントを読み込ませて要約したり、Q&Aを行ったりできます。
    • 制限: 作れるノートブックの数や、読み込める資料の数に上限があります(例: ノートブックは100個まで)。
    • 安心ポイント: Google Workspace の企業向けプランを使っていれば、入力したデータがAIの学習に使われることはありません。
  • Pro(アップグレード版)
    • どうすれば使える?: 会社で Google Workspace Business Starter 以外のライセンスをお使いの方はこちらです。
    • 主なパワーアップ内容: ノートブック数が最大500個、資料数は1つのノートブックにつき50個→300個へ大幅増!音声解説(Audio Overview)の生成枠も増えます。さらに高度な共有とノートブックの分析が使えるようになります。
  • Ultra(最上位版)
    • 対象: 新しいアドオンライセンス 「Google AI Ultra for Business」が必要です
    • 何が凄いの?: Pro版をさらに超える、まさに「Ultra」な制限緩和です。
    • 資料数は1つのノートブックにつき600個まで!Proの倍です。
    • チャット回数はなんと1日5,000回!(Proは500回)。ハードなリサーチ業務でも使い切れないレベルです。

👉 結論: 「社員の生産性を上げたい」「手元の資料をAIで分析させたい」という一般的な社員には「Pro(今のライセンスでOK)」、一方で、短期間に大量の資料を読み込む分析業務や研究用途では、使用量上限が判断材料になり、Ultra が検討対象に上がることがあります。

検討のポイント:

「社員の生産性を上げたい」という用途であれば、まずは現状のライセンス(Pro相当)で運用を回してみるのが一般的です。ただし、特定のプロジェクト期間だけUltraに引き上げたい、あるいはプロンプトの習熟度に応じてライセンスを最適化したいといった「運用のさじ加減」については、コスト対効果を見極めるための個別の設計が必要です。


2. 別格の守り!「Google Cloud 版 NotebookLM Enterprise 」

さて、ここからが今回深掘りする重要ポイントです。

Google Cloudの世界には、Google Workspace 版とは別に「 NotebookLM Enterprise 」という製品が存在します。

これは単なる高機能版ではありません。Google Workspace 版とは、求められる前提条件が異なる別系統の製品と整理した方が理解しやすいでしょう。機能差というよりも、「システムとしてどこまで管理・統制するか」の違いが中心になります。

なぜわざわざ「Google Cloud 版」を選ぶの?

Google Workspace 版の NotebookLM では得ることができないGoogle Cloud 版だけの特別なメリットを紹介します。

  1. データの置き場所を固定できる(データレジデンシー)
    • 「顧客データが含まれるから、絶対に海外のサーバーには出したくない!」という厳しいルールがある場合、データの保存場所(リージョン)を指定できます。 ※現時点では日本国内の指定はできず、グローバル/US/EUのいずれかとなります
  2. インターネットからのアクセスを完全遮断(VPC Service Controls)
    • 少し難しい言葉ですが、要は「会社の許可したネットワーク回線からしかアクセスできないようにする」機能です。カフェのWi-Fiや自宅からは一切繋がらせない、といった鉄壁の守りを構築できます。
  3. 暗号化の鍵を自分たちで管理(CMEK)
    • データのカギ(暗号鍵)をGoogle任せにせず、自社で管理できます。「Google社員であっても中身は見られない」状態を担保するための機能です。
  4. Microsoft Word / Excel / Power Pointのファイルをソースとして使いたい!
    • Google Workspace 版の NotebookLM では いわゆるOfficeファイルをソースとして利用することができず、PDF等に変換する必要がありますが Google Cloud 版では無加工のままソースとして利用することが可能です。
  5. ログが取れる!
    • AIを使う上でセキュリティは重要ですよね?ユーザーが何をやっているかは管理者にとって把握しておきたいところですが、(現時点では) 残念ながら Google Workspace 版にはログを取得する機能がありません。ユーザーが何をやっているかをしっかり把握したい!というお客様はGoogle Cloud 版が推奨になります。

👉 結論: NotebookLM を使いたいが、管理・統制要件が厳しい組織向けの選択肢です。


▼ Cloud 版を検討する際に、実務で詰まりやすいポイント

「データを特定の地域に留めたい」「特定のIPからしかアクセスさせない」といった要件がある場合、Cloud 版が有力な候補となります。ただし、VPCの設定一つで利便性を損なうリスクや、ログ監視体制の構築など、単なるライセンス購入とは異なる「システム設計」としての難所がいくつか存在します。

たとえば VPC Service Controls を適用すると、

  • テレワークや出張時に使えなくなる
  • 想定外の経路遮断で「急に使えない」という問い合わせが発生する
    といった運用上の調整が必要になることがあります。

Cloud 版は「買えば終わり」ではなく、既存のセキュリティポリシーや働き方とどう折り合いをつけるかまで含めた設計が求められます。

3. 混乱の元凶を整理!「Gemini Enterprise 」との関係

「 NotebookLM Enterprise 」と「Gemini Enterprise 」。名前が似すぎていて混乱しますよね。ここをスッキリさせましょう。

そもそも「Gemini Enterprise 」って何?

実はこの名前、2つの意味で使われていることがあります。

  1. Google Cloudの製品名
    • 社内の全データを検索したり、AIエージェントを作ったりするプラットフォームの名前。以前は AgentSpaceと呼ばれていました。
  2. Google Workspace のライセンス名(*現在は廃止されています)
    • 過去にGoogle Workspace のAI機能をアドオン利用する時のアドオンライセンス名として「Gemini Business / Enterprise 」というものがありました。古い資料ではこちらを指している場合があります。特に以前からGoogle Workspace をお使いのお客様ほど混乱しやすい傾向があるように感じます。

今回の比較では、前者の「Google Cloud 製品としてのGemini Enterprise 」と比べます。

役割の違いを一言で言うと?

  •  NotebookLM Enterprise : 「特定の資料(ドキュメント)」を深く理解する専門家。
    • 人間が選んだPDFやスライドを読み込み、その内容に基づいて正確に答えます。出典(元ネタのどこに書いてあるか)を明示するのが得意です。
  • Gemini Enterprise : 「社内のあらゆるデータ」を知っている執事。
    • 社内のデータベースやSaaS(Salesforceなど)全体を検索したり、複雑な業務フローを自動化したりする「AIエージェント」を作るための基盤です。注)Gemini Enterprise には NotebookLM Enterprise のサービス利用も含まれます。

4. 徹底比較!あなたに必要なのはどの NotebookLM か?

3つの切り口で、ファイナルアンサーを出します。

① NotebookLM Pro/Ultra vs NotebookLM Enterprise 

(Google Workspace 版 vs Google Cloud 版)

  •  NotebookLM Pro/Ultra
    • ターゲット: 個人の作業効率を上げたい全社員。
    • 選び方: 「もっとたくさんのファイルを読み込ませたい!」という要望ならこちら。頻度や用途に応じてPro/Ultraを使い分け。
  •  NotebookLM Enterprise 
    • ターゲット: セキュリティ管理者、コンプライアンス担当。
    • 選び方: 「データを特定の地域に留めたい」「特定のIPアドレスからしかアクセスさせたくない」という要件ならこちら。

👉  NotebookLM Pro / Ultra は「個人の作業効率とファイル容量増強」に対し、 NotebookLM Enterprise は「データレジデンシーなど厳格なセキュリティ・管理」に特化。

② NotebookLM Enterprise vs Gemini Enterprise 

(Google Cloud 版同士の比較)

  •  NotebookLM Enterprise 
    • 得意技: 「この契約書と仕様書を読み込んで、矛盾点を探して」といった、目の前の資料の深掘り。
  • Gemini Enterprise 
    • 得意技: 「過去の全プロジェクトから似た事例を探して、見積書の下書きを作って」といった、社内全体の広範な探索と自動化。

👉  NotebookLM Enterprise は「特定資料の深掘り専門家」、Gemini Enterprise は「社内全データの広範な探索・業務自動化の基盤」

③ NotebookLM Pro/Ultra vs Gemini Enterprise 

(個人のツール vs 全社の基盤)

  •  NotebookLM Pro / Ultra 
    • あくまで「ユーザーの手元のツール」。導入はライセンスを配るだけで簡単です。
  • Gemini Enterprise 
    • 全社の業務を変革するための「システム基盤」。導入には開発や設定のプロジェクトが必要です。

👉  NotebookLM Pro /Ultra は「ライセンス導入で簡単な個人のツール」に対し、Gemini Enterprise は「全社の業務変革を目指すシステム基盤」になります。

比較まとめ

 

NotebookLM Pro/Ultra

NotebookLM Enterprise

Gemini Enterprise

サービスファミリ

Google Workspace

Google Cloud

Google Cloud

主な役割

特定の資料を深く理解し、個人の思考をサポートする専門家。

特定の資料を深掘りする専門家。

社内のあらゆるデータを知っている執事。広範な探索と業務自動化の基盤。

特長

個人の作業効率と、ノートブック・資料のファイル容量増強に特化。

データレジデンシーやVPC Service Controlsなど、厳格なセキュリティ・管理に特化。Officeファイルもソースとして利用可能、ログ取得機能あり。

社内の全データを横断検索し、AIエージェントを作ったり、複雑な業務フローを自動化したりするための基盤。

主なターゲット

個々の作業効率を上げたい全社員。

←に加え、セキュリティ管理者、コンプライアンス担当など、より厳格な管理が必要な組織。

全社の業務変革を目指す組織。

導入形態

ライセンス導入で簡単な個人のツール。

Google Cloudのプロジェクト作成や設定が必要。

全社の業務を変革するためのシステム基盤。開発や設定のプロジェクトが必要。

 

ライセンスの機能差は表の通りですが、実際の現場では「どの層にどの権限を配分するか」という権限設計や、既存のセキュリティポリシーとの整合性チェックで立ち止まることがほとんどです。

 


まとめ:管理者が案内すべき「道しるべ」

最後に、フローチャートでまとめました。

  1. 「手元の資料をAIに読ませて分析したい!」
    👉 Google Workspace 版からスタート!
  2. Proでは使用量上限に到達することが増えてきた、リミットを解除してもっとたくさん調べたい!
    👉今のGoogle Workspace に加えて、「Google AI Ultra for Business 」 というアドオン(追加オプション)を購入します。これで特定のユーザーだけ 「Ultra」 に進化させることができます。
  3. 「でも、データは絶対特定のエリアから出しちゃダメなんです!」
    👉 ここで初めて Google Cloud 版( NotebookLM Enterprise ) を検討。 ※日本国内に限定することは現時点で非対応
    • Google Cloudのプロジェクト作成や設定が必要です。
  4. 「社内の全データを横断検索して、業務を自動化したい!」
    👉 それは NotebookLM ではなく、Google Cloud 版(Gemini Enterprise ) の出番です。
    • AIエージェント構築のプロジェクトを立ち上げましょう。

NotebookLMは、個人の思考を加速させる強力なパートナーです。まずはWorkspace版でその価値を検証し、そこからデータレジデンシーなどの厳格な要件や、AIエージェントによる全社変革という「次のステップ」へ進む際に、Google Cloud 版の扉を叩いてみる。というような多くの組織では、まず Workspace 版で活用度を確認し、その後に統制要件や全社活用を検討する流れが見られます。

業種・規模・既存のクラウド運用成熟度によって最適解は変わりますが、多くの組織では、

  • まず Workspace 版で現場の活用度を把握し
  • その上で、データ要件や統制レベルを見直す

 という段階的な検討が行われることが多いようです。

実際の検討では、次のあたりで議論が止まるケースが少なくありません。

  • Google Cloud の運用責任を誰が持つのか
  • 情シス主導で始めるのか、現場主導で始めるのか
  • Workspace 文化の会社で、Cloud 側の統制をどこまで受け入れられるか

機能比較だけでは決めきれず、組織の体制やこれまでのIT運用の延長線上で考える必要があるのが、このテーマの難しさでもあります。

自社のコンプライアンス基準や、現場のAI活用レベルに照らしたとき、これらのどこから着手するのが最も現実的でしょうか?とはいえ、判断に迷われる場面もあるかと思います。その「迷い」こそが、自社に最適なAI環境を形作る重要なヒントになるはずです。


関連サービス

Google Workspace は、あらゆる業務に合わせて、全てのビジネス機能をそろえた統合ワークスペースです。お客さまのご利用に合わせたサポートとオプションをご用意しています。あらゆる働き方に対応する業務効率化を実現します。

ノーコードでアプリケーション開発 AppSheet

Google Workspace をはじめとするさまざまなデータソースと接続し、プログラミング不要で迅速なアプリケーション開発を可能にします。

IDaas(Identity as a Service)サービスであり、企業向けデバイス管理(EMM)サービスです。Cloud Identity を利用することで、管理者は Google 管理コンソールからユーザー、アプリケーション、デバイスを一元管理することができます。

おすすめの記事

条件に該当するページがございません