Amazon Quick Suite 徹底解説|AI で データドリブンな意思決定を加速する『見て、考えて、動く』次世代プラットフォーム

2026年2月24日掲載

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ご覧いただきありがとうございます。クラウドエンジニアの伊藤です。

最近、社内でも「ドキュメントやデータの整理がめんどう」「単純な分析、整理のアクションは簡単に自動化したい」という声を多く聞くようになりました。

そんな中、2025年10月、AWS から次世代の業務プラットフォーム「Amazon Quick Suite」が一般提供開始されました。従来の BI ツールである Amazon Quick Sight をベースに、エージェント AI や自動化機能が統合された本サービスについて、既存サービスとの違いや新機能を整理して解説します。

目次

1. Amazon Quick Suite とは?

Amazon Quick Suite は、AI エージェントを中核に据えた次世代の業務プラットフォームです。
最大の特徴は、従来の「データの可視化(BI)」にとどまらず、「AI によるリサーチ」「ナレッジ活用」「ワークフロー自動化」を一気通貫で実現できる点にあります。
データを見て分析するフェーズから、AI と共に対話しながら業務アクションへ繋げるフェーズへの進化を象徴するサービスとなります。

 

2.  注目すべき4 つの主要機能

Amazon Quick Suite の価値は、実務に直結する形で AI が組み込まれている点にあります。ここでは特に注目すべき 4 つの機能を紹介します。

2-1. Quick Flows / Quick Automate
「ノーコードで実現する業務プロセスの自動化」

Quick Flows / Automate は、業務フローを ノーコードかつ自然言語ベースで自動化できる機能です。以下のようなプロセスを専門的なプログラミング知識なしで構築できます。

  • 定型的な業務プロセスの自動実行
  • 外部 SaaS(チケット管理、CRM、通知ツール等)との連携
  • 条件分岐や例外処理を含むワークフロー設計

これまで「仕様整理 → 実装 → テスト → 運用」が必要だった業務自動化を、AI と対話しながらその場で組み立てられる点が大きな特徴です。
たとえば、営業チームが『見積もり依頼を受けたら自動で在庫確認 → 営業担当者に通知』というフローを、非エンジニアでも数分で構築可能になります。現場主導の業務改善が容易に実現できます。

2-2. Chat Agents
「業務データと会話できる AI エージェント」

Chat Agents は、Quick Suite の中核となる機能です。ユーザーはチャット形式で AI エージェントに質問するだけで、以下の操作を自然言語で行えます。

  • 業務データの集計・分析
  • 社内ドキュメントの検索・要約
  • 分析結果に基づく提案の提示

従来の BI ツールでは、 「何を見るか」「どう切るか」を事前に設計する必要がありましたが、 Chat Agents では 問いそのものを投げるだけでよい点が特徴です。

「分析のためにツールを使う」から「考えるために AI と対話する」 体験へと大きく変化します。

2-3. Quick Research
「複数データソースを横断する AI リサーチ機能」

Quick Research は、 社内外の複数データソースを横断し、調査・分析・レポート作成までを自動化する機能です。例えば、以下のような作業をAIが代行します。

  • 社内データ + 外部情報を組み合わせた調査
  • 過去データの傾向分析と要点整理
  • 調査結果を文章レポートとして出力

これまで人が時間をかけて行っていた 「情報収集 → 整理 → 文章化」という工程を短縮でき、 意思決定のスピードを大きく向上させます。企画部門・管理部門・マネジメント層等の幅広いユーザと相性が良い機能です。

2-4. Spaces
「社内ナレッジを AI が理解できる形で集約する空間」

Spaces は、社内ドキュメントやナレッジを集約するための共有スペースです。以下のような情報を一元管理し、 Chat Agents や Quick Research が参照できる知識基盤として機能します。

  • 設計書、手順書、議事録
  • FAQ、運用ドキュメント
  • 過去のレポートや分析資料

単なるファイル置き場ではなく、 「AI が理解し、活用できるナレッジベース」として設計されている点が特徴です。人が探すナレッジから、 AI が即座に引き出せるナレッジへと進化します。

 

3. Quick Sight と Quick Suite の違い

「これまでの Quick Sight と何が違うの?」という疑問に対し、以下の表にポイントをまとめました。

比較項目Amazon Quick SightAmazon Quick Suite
主な役割BI、ダッシュボード、データ可視化BI + AIチャット + リサーチ + 業務自動化
ターゲット

分析担当者、データ活用部門

非エンジニアを含む全社ユーザー
提供価値過去から現在のデータの可視化「見て、考えて、動く」AIワークフロー

Quick Suite は Quick Sight を包含する上位概念のサービスであり、BI 機能をベースとしつつ、より広範なビジネス課題を AI で解決することを目的としています。

単なる「見る分析」から「データから考えて動くAI」へ進化している点が大きな違いです。

 

4. 接続可能なデータソース

Amazon Quick Suite が「データドリブンな意思決定」を実現できる理由の一つが、幅広いデータソースへの接続性です。単なるBIツールではなく、社内外のあらゆるデータを統合し、AIが活用できる基盤として設計されています。Amazon Quick Suite では大きく4種類のデータソースに接続可能です。

※接続可能なデータソースについては、2026年2月時点のものとなります。今後拡張される可能性があるため、最新情報は公式ドキュメントを参照頂くことを推奨します。

4-1.クラウド & データウェアハウス

中核となるデータ基盤系サービスです。既存のデータウェアハウスをそのまま活用できるため、既存BI環境からの移行もスムーズに行うことが可能です。

種類主な対応サービス
AWS分析基盤Amazon Athena / Redshift / Aurora / OpenSearch
外部DWH

Snowflake / Google BigQuery

RDB

MySQL / PostgreSQL / SQL Server / Oracle / MariaDB

その他

Teradata / Trino / Presto など

4-2.ファイルデータ

構造化データだけでなく、ファイルベースのデータも扱えます。日次レポートやログ出力なども簡単に取り込めるため、部門単位の導入にも適しています。対応形式は以下の通りです。

  • CSV / TS
  • Excel(.xlsx)
  • JSON
  • ログ形式(ELF / CLF など)
  • Amazon S3 上のデータファイル

4-3.Software as a Service (SaaS) データ

各種SaaSのデータも直接接続可能です。営業データ/問い合わせ対応/開発チケットなどを横断的に分析できます。部門サイロを越えたデータ統合が可能になります。

カテゴリ主な対応サービス

チケット管理

Jira

ITSM

ServiceNow

CRM

Salesforce

分析・その他

Adobe Analytics / GitHub など

4-4.ローカルデータソース

クラウドだけでなく、社内データセンターのデータにも対応可能です。VPC接続などを活用することで、ハイブリッド環境においてもデータ統合が可能です。

  • オンプレミスのデータベース
  • 社内ネットワーク内のデータストア

5. コスト

Amazon Quick Suiteは、従来のAmazon Quick Sight(BI)を中核に、生成AI・エージェント・自動化機能を統合した新しい分析プラットフォームです。その分、料金体系も「完全な定額」ではなく、サブスクリプション+従量課金のハイブリッド型になっています。

サブスクリプション部分の料金は、以下の 2 つで構成されます。
1.ユーザー単位の月額料金
2.アカウント単位の月額固定インフラストラクチャ料金

5-1.ユーザー単位の月額料金

ユーザ単位の月額料金がプラン毎にかかります。以下の表にプランと料金、内容をまとめました。

プラン料金内容

Professional

$20 / user / 月

Chat Agents、Spaces、Quick Sight、Quick Research、Quick Flows など基本機能含む

Enterprise

$40 / user / 月

ServiceNowProfessional + Quick Automate + Quick  Sight データセットと分析の作成などの高度機能

※ ユーザー登録をしている間は、利用有無に関わらず課金対象となります。

5-2.インフラストラクチャ料金

利用アカウントごとに、月額固定のインフラ料金が発生します。

 $250 / 月(アカウント単位)

AI エージェント実行基盤やワークスペースなど、Quick Suite 全体の共通基盤の利用料に相当します。
※ユーザーサブスクリプションとは別に請求されます。

 

続いて従量課金の料金について説明します。従量課金は主に以下の 2 つです。

1.AI エージェントの利用時間
2.Quick Index や Quick Sight のオプション利用

5-3.エージェント時間の利用料金

Quick Research や Quick Flows、Quick Automate などの AI 機能は、エージェントが実際に処理した時間に応じて課金されます。

  • Quick Flows / Quick Automate(デプロイ済み自動化): $3/エージェント時間

  • Quick Research: $6/エージェント時間

サブスクリプションには一定の無料枠があり、無料枠超過分は時間単位で従量課金となります。AI を積極的に活用するほどコストが増えるため、PoC や本番展開時には利用範囲の設計が重要になります。

5-4.Quick indexやQuick Sightのオプション料金

AI が参照するデータを格納する Quick Index ではアカウントに50MBのストレージが割り当てられ、その枠を超過する分に対して課金されます。Quick Sight の一部オプション機能は 容量・利用量ベースで課金されます。

  • Quick Index 容量 : $1 / 1MB / 月

  • Quick Sight の SPICE 容量 : $0.38 / 1GB / 月

  • ピクセルパーフェクトレポート: $1 / 500レポート / 月

ピクセルパーフェクトレポートでは、高度に設計されたマルチページのレポートの作成及び共有やデータのエクスポートを大規模に行うことができる機能となります。
「すべてを AI に渡す」設計ではなく、必要なデータを選別し加工してから利用することがコスト最適化の鍵となります。

※コストについては、2026年2月時点のものとなりますので詳細は公式ドキュメントを参照頂くことを推奨します。

6. 実際に触れてみて感じたポイント(レビュー)

検証を通じて感じた、導入にあたっての所感です。

UI/UX の進化: 自然言語での操作性が非常に高く、非技術者でも直感的に AI を使いこなせる点は非常に強力です。

導入のハードル: 一方で、導入時の初期設定や権限設計、分析対象となるデータの整備には、依然として一定の AWS 知識が必要となります。

Quick Flows: データの加工・分析から業務フローへのプロセス自動化まで自然言語で作成可能な点が魅力的です。

まずは30日間の無料トライアルからスタートし、PoC(概念実証)等の作成から段階的に業務に活用していくのが、良いと感じました。

まとめ

Amazon Quick Suite は、単なる BI ツールの枠を超え、企業の生産性を AI で底上げする強力なプラットフォームです。Quick Suiteは、「データを見るだけのツール」から「意思決定を共に考えるパートナー」へと、BIの定義そのものを変える可能性を秘めています。今後の企業競争力は、この「AIとの対話力」の差で決まるかもしれません。

最後まで読んでいただきありがとうございました。
今後も、具体的な活用シーンや技術的な Tips について発信していければと思います。

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