シニアに寄り添う相棒のような存在に。ウォーキングを後押しするアプリ「うごくま」|SoftBank SDGs Actions #17

シニアに寄り添う相棒のような存在に。ウォーキングを後押しするアプリ「うごくま」|SoftBank SDGs Actions #17

「すべてのモノ・情報・心がつながる世の中を」というコンセプトを掲げ、SDGsに取り組んでいるソフトバンク。「SoftBank SDGs Actions」では、いま実際に行われている取り組みを、担当社員が自らの言葉で紹介します。17回目は、シニアのウォーキング習慣をサポートするアプリ「うごくま」の取り組みです。

話を聞いた人

山田 聖人(やまだ・きよひと)

山田 聖人(やまだ・きよひと)
コンシューマ事業統括 プロダクト本部 UX企画統括部 UX企画部 UX企画4課 課長
これまで「かんたんスマホ」シリーズなどスマホデビューの方に向けたスマホの企画を担当。スマホを利用する方向けのサービスの企画として今回「うごくま」アプリの企画を推進。

ウォーキングを習慣化し、フレイル予防につなげたい

「うごくま」は、シニアがウォーキングを楽しく習慣化することをサポートするアプリで、3月9日に発売された「かんたんスマホ3」にプリインストールされました。内閣府の調査によると、男性の平均寿命が80.9歳、女性の平均寿命が87.1歳ですが、健康寿命はそれぞれ72.1歳、74.8歳と、平均寿命と健康寿命の差異が大きく寝たきりの状態が長いことが分かります。この状態は「フレイル」と呼ばれるのですが、健康寿命を向上させるためにはフレイル対策が重要です。ウォーキングなどの運動を習慣化させることが対策に有用であるといわれているため、私たちはここに着目しました。

ウォーキングを習慣化し、フレイル予防につなげたい

私たちUX企画部は、ユーザー一人一人の課題を解決するプロダクトを作るチームです。どのような課題を解決したいか考えたときに、ソフトバンクショップでスマホアドバイザーとして研修していた頃、シニアにもっと便利に楽しくスマホを使ってもらいたいと思っていたことを思い出しました。この経験から、シニア向けの健康増進に着目したプロダクトを作ろうと2018年から構想を開始しました。

シニアに寄り添い、ウォーキングを後押し

うごくまは、歩数、歩行距離、消費カロリーなど基本的な歩数計アプリの機能だけでなく、10個の質問に回答してフレイル度を測ったり、「うごくま」が毎日寄り添って励ましのコメントをくれたり、ウォーキング習慣にはかかせない相棒のようなアプリです。

シニアに寄り添い、ウォーキングを後押し

「うごくま」が形になる前の2019年に、スマートウォッチを使った運動データ計測アプリを検討していてモニターテストを実施した結果、シニアにとって精緻なデータは不要で、アドバイスやコメントの機能が非常に好評だったんです。そのため、機能は最低限に絞り、670種類のコミュニケーションができるコメントを入れることにしました。例えば、雨が降ったときに、「家の中で体を動かそう!」といったコメントではなく、「雨が降る日もあるよね」のような寄り添う相棒感を表現しました。僕の好きなコメントは「あなたとウォーキングをしているとき、うごくま幸せなんだよ~!」ですね。

その他にもユーザーを飽きさせない工夫として、2月は雪、3月は団子、4月は桜… など季節ごとに背景が変わる仕様にしています。誕生日にはサプライズの仕掛けも用意していますよ。

シニアに寄り添い、ウォーキングを後押し

シニアの“歩きたい”を引き出すために

2018年から5年間試行錯誤をして現在の「うごくま」にたどり着きましたが、ユーザーの意見をすぐに反映させることを繰り返してきました。ユーザーが答えを持っていると信じていたので、商用化前にはモニターテストや実証実験で計150人以上のシニアの声を聞きました。

シニアの”歩きたい”を引き出すために

自治体と連携した実証実験では、埼玉県ふじみ野市と鳥取県江府町のシニアの方に約4カ月間うごくまを使っていただきました。スマホの使い方を基礎から教えるスマホ教室を実施しつつ「うごくま」の使い方をレクチャーし、スマホを貸与して数カ月間「うごくま」を使っていただくというものです。

鳥取県江府町で「うごくま」を使っている様子
鳥取県江府町で「うごくま」を使っている様子

鳥取県江府町で「うごくま」を使っている様子

実際使っていただいた後に、期間中の歩数や頻度、ウォーキングに対する意識などを測定しました。江府町では、実際にアプリを活用したウォーキング会を開催しましたね。

結果は、フレイル、ウォーキングに対する意識の向上が見られました。イベントの日がピークで、次の日から徐々に忘れてしまう方が多いと思うのですが、イベント終了後から日が経っても「うごくま」を継続的に使っていただけたんです。目標歩数を達成すると付くどんぐりマークを励みに、ウォーキングを意識している方が多かったです。「うごくま」を使ううちに、普段よりスマホを触るようになったという副次的効果もありました。今後もより多くの人に使っていただけるよう実証実験を継続していきます。

シニアがいつまでも自活し続ける社会の実現へ

シニアがいつまでも自活し続ける社会の実現へ

SDGsは「誰一人取り残さない」を理念として掲げていますが、シニアの中にはスマホに不慣れで情報のアクセスが限られる方もいます。そういう方を取り残さずしっかりサービスを届けたいと考え初めて5年、ようやく「うごくま」ができました。ソフトバンクのSDGsのコンセプト「すべてのモノ・情報・心がつながる世の中を」を体現している取り組みだと思っています。

事前のモニター調査や実証実験では、「キャラクターに愛着を感じるのは初めて」「うごくまがいなくなったらウォーキングが続くか心配」などの声をいただき、少しは貢献ができたのではないかと実感しています。今回かんたんスマホ3に搭載され多くの方に使ってもらい、フィードバックをいただいて次の開発にも反映していくので、「うごくま」はずっと進化し続けていきますよ。

「うごくま」がシニアのフレイル対策やスマホ利用につながり、いつまでも自活し続ける社会になればと願っています。無理せず楽しくいつまでも元気に生活し、健康寿命の増進という社会課題に貢献していきたいですね。

ソフトバンクのサステナビリティ

サステナビリティ

今回紹介した内容は、「人・情報をつなぎ新しい感動を創出」することで、SDGsの目標「1、3、4、8、9、10、11」の達成と社会課題解決を目指す取り組みの一つです。

サステナビリティの取り組み

(掲載日:2023年3月22日)
文:ソフトバンクニュース編集部

スマホの長時間視聴で起こる目の異常「スマホ急性内斜視」とは? 専門家が解説するメカニズムや症状

スマホの長時間視聴で起こる目の異常「スマホ急性内斜視」とは?専門家が解説するメカニズムや症状

今や大人も子どもも関係なく利用する機会が増えたデジタル機器。つい長時間スマホやタブレットを見続けたり、画面を覗き込むように近距離で見ていませんか? 近年、このようなスマホの使い方が原因で起こる「スマホ急性内斜視」が、10〜20代の若い世代を中心に増えているそうです。自分ではなかなか気付きにくいため、知らないうちに症状が進行している…ということも。子どもにスマホを持たせたばかりの保護者の方も心配ですよね。

そこで今回は、国立成育医療研究センター眼科医の吉田朋世先生に、「スマホ急性内斜視」の原因や症状、予防法について教えていただきました。

教えてくれた人

吉田 朋世(よしだ・ともよ)先生

吉田 朋世(よしだ・ともよ)先生

2012年鹿児島大医学部卒。2014年より国立成育医療研究センター小児外科系専門診療部眼科に勤務。専門分野は小児眼科全般で、小児の視機能におけるICT(情報通信技術)機器の影響に関する研究に取り組んでいる。

ウェブサイト:国立成育医療研究センター

  • 取材はオンラインで行いました。

目次

目が寄り、物が二重に見える…。ある日突然発症することもある「スマホ急性内斜視」とは?

「スマホ急性内斜視」は自覚症状が分かりづらく、スマホの長時間利用などが原因で、ある日突然発症することもある目の病気です。その症状は主に2つあり、1つは目が内側に寄ること、もう1つは物が2つに見える「複視」です。それぞれどのような症状なのか、詳しく見ていきましょう。

1. 目が内側に寄る

私たちは物を近くで見るとき、眼球を内側にギュッと寄せるいわゆる「寄り目」の状態で焦点を合わせます。スマホを近距離で見るなど、寄り目の状態が長い時間続くと、目を内側に寄せるための筋肉である内直筋の力が強くなってしまい、寄り目が戻らなくなってしまうのです。これが「内斜視」の状態です。内斜視になった場合の角度は人によって異なり、10度程度のゆるやかな角度の人もいれば、45度程度の急な角度の人もいます。

1	目が内側に寄る

2. 複視

私たちは通常、右目と左目で物を見て、頭の中でその2つの像を1つに合わせます。ところが、片方の目が内側に寄ると、その位置にズレが生じてしまいます。結果として2つの像が合わせられなくなり、物が2つに見える「複視」の状態になるのです。複視になると、手元の文字が読みづらくなるなど生活に支障が出ますが、子どもの場合時間が経つと症状がなくなるケースも多く、発見が遅れる場合もあります。

2	複視

こんな人は要注意! 「スマホ急性内斜視」になりやすい生活習慣

スマホを1日10時間程度使っていても発症する人としない人がいるなど、急性内斜視発症のきっかけには個人差があり、実はまだ詳しく分かっていません。ただし、長時間使用や近距離での使用など、共通する要因はあるようです。「スマホ急性内斜視」になりやすい生活をしていないか振り返ってみましょう。

  • 1日3〜4時間以上、スマホなどを使っている
  • 30cm以下の近距離でスマホを見ている
  • 間違った姿勢でスマホを使っている
  • スマホなどのディスプレイが暗い
  • SNSやゲームに集中して視線をあまり動かさない

あわせてチェックしたい! スマホ使用時のNGシチュエーション

楽だからといって、以下のようなシチュエーションでスマホを操作していると目に負担をかける原因に。スマホ使用時のNGシチュエーションをチェックしてみましょう。

NGな姿勢① 長時間うつむき姿勢で使う、姿勢を変えることが少ない

合わせてチェックしたい!スマホ使用時のNGシチュエーション

NGな姿勢② 寝転がりながら使う

合わせてチェックしたい!スマホ使用時のNGシチュエーション

NGな姿勢③ 夜遅い時間にスマホを使う

合わせてチェックしたい!スマホ使用時のNGシチュエーション

吉田先生

「まず、長時間うつむきながら同じ姿勢でスマホを使用することは、目に負担をかけてしまいます。また、夜寝る前にベッドに寝転んで、うつ伏せや横向きの姿勢でスマホを使用する人も多いかもしれません。このような姿勢だと、スマホを目から30cm以上離すのは難しく、近距離で画面を見続ける可能性が高くなります。ブルーライトを浴びることによって睡眠の質が落ちてしまうなど、他の点でも良くない影響があるため、夜間や寝る直前のスマホ使用はなるべく控えましょう」

スマホ急性内斜視が多い世代は?

日本弱視斜視学会は、6〜36歳までの急性内斜視患者を「12歳以下」「13〜18歳」「18〜36歳」の3群に分けて調査を実施。この3群の人数比はおよそ1:1:1であり、全体で見ると10代の患者が非常に多いことが分かっています。中でも小学5〜6年生や中学生の発症者が多く、スマホを買い与えられる時期と重なっているのではないかと推測されています。最近では、乳児や幼児も急性内斜視を発症するケースがあり、吉田先生が勤務する国立成育医療研究センターにおける最年少の患者は1歳11ヵ月だそう。若年層のスマホ利用について保護者や周囲の人が注意深く見守る必要があります。

知っておきたい、「内斜視」が起こるメカニズムと治療法

目を動かす筋肉は全部で6種類あり、目を内側に向ける筋肉は「内直筋」と呼ばれています。「スマホ急性内斜視」は、この内直筋の力が強くなり、目の位置を整えるバランスが崩れることで発症します。では、なぜ内直筋の力が強くなり、目の位置を整えるバランスが崩れてしまうのでしょうか? そのメカニズムについて見ていきましょう。

目が内側に寄るのは脳からのシグナルのせい?

人間は、30cmより近くの物を見るとき、ピントを合わせたり(調整)、目を寄せたり(輻輳:ふくそう)します。スマホを近距離で長時間見ると、この調節と輻輳のバランスが崩れてしまい、目を内側に寄せるよう脳から内直筋に対して出されるシグナルが強くなるのです。この状態が長時間維持されると、内直筋の力が強くなり、「急性内斜視」を発症します。

目が内側に寄るのは脳からのシグナルのせい?

吉田先生

「もともと、目を内側に寄せる力は幼少期のほうが強く、大人になるに従って、外側に向ける力が強くなっていきます。また、大人よりも幼少期のほうが、目が内側に寄った状態に適応しやすいことがわかっています。このような条件が重なって、年少者や10代の若者に『スマホ急性内斜視』が増えていると考えられます」

スマホ急性内斜視になってしまったときの治療法は…?

スマホやパソコンなどを長時間使用している人の場合、それを制限するだけで、寄り目の角度がゆるやかになり、症状が治ることもあるそうです。複視が常に起こるなど症状が進み、デジタル機器の使用を制限するだけで治らない場合は、次の2つの方法で治療を行っていきます。

1. プリズム治療

プリズム治療とは、光を曲げる膜(プリズム)を貼ったり組み込んだりしたメガネを使用する治療法のこと。プリズムメガネを長期間かけ続けることによって、複視の症状や寄り目が改善されます。

2. 斜視手術

斜視手術とは、内直筋などの位置を外科手術でずらし、目を元の位置に戻す治療法のこと。斜視の角度が大きい場合に有効です。

吉田先生

「プリズム治療は、症状が改善するまで、光を曲げる角度を少しずつ弱めていく地道な治療法です。人にもよりますが、終了まで1〜2年ほどかかかることもめずらしくありません。わずかな角度の斜視を治すのに効果的な治療法であり、手術を避けられることから、『スマホ急性内斜視』のケースではプリズム治療が有効な可能性があります」

正しい姿勢で時間を決めて! 今日からできる「スマホ急性内斜視」の予防法

いつ発症するかわからないのが、「スマホ急性内斜視」の怖いところ。物が2つに見えることで、学習や仕事、生活に影響が出ることもあります。そのような事態に陥らないための予防法について、吉田先生に教えていただきました。

予防法① スマホは目から「30cm」以上離し、正しい姿勢で使う

正しい姿勢で時間を決めて! 今日からできる「スマホ急性内斜視」の予防法

私たちの目は、見る対象が近いほど、内側に寄せる力も強くなります。スマホの画面は小さく、つい覗き込むように見てしまいますが、内直筋に負担をかけないためにも、なるべく視線に対して垂直の位置にスマホを持ち、顔から30cm以上離してイスに座りながら使うことを心がけましょう。

予防法② 1日の理想のスマホ使用時間は3〜4時間まで

正しい姿勢で時間を決めて! 今日からできる「スマホ急性内斜視」の予防法

スマホなどのデジタル機器の1日の合計使用時間は3〜4時間が理想であり、それを大幅に超えると「スマホ急性内斜視」を発症しやすいと言われています。予防のためにも、1日何時間スマホを見ているかチェックし、長時間連続使用しているようであればなるべく使用時間を制限するよう心がけましょう。

予防法③ 20〜30分に1回目線を外して遠くを見る

正しい姿勢で時間を決めて! 今日からできる「スマホ急性内斜視」の予防法

スマホを連続使用せず、20〜30分に1回は必ず目線を外し、20秒以上遠くを見るようにしましょう。2m以上先の景色を見ることで、目の緊張が緩和され、調節と輻輳のバランスが整います。

子どもの急性内斜視が増えている! 家庭で気をつけるべきこと

吉田先生が勤務する国立成育医療研究センターでも、「スマホ急性内斜視」の子どもが年々増えているそうです。最後に、子どもがいる家庭でできる対策について教えていただきました。

スマホやタブレットの使う際のルールを決める

子どもの目を守るためにも、日頃から親子で話し合って使用する時のルールを決めましょう。1日の使用時間だけでなく、必ず座った姿勢で使うなど、家庭ごとにルールを設けることが大切です。

子どもがスマホを持つタイミングで、家族のスマホルールを決めよう!

春休みや進学、入学のタイミングでスマホを買い与えるというご家庭も多いはず。そこで、子どもが初めてスマホを持つタイミングで、スマホの使い方ルールを話し合ってみませんか? スマホの使用時間や、ネット・SNSを使う際の注意点やマナーを改めて話し合うことで、家族間だけでなく、ネット・SNSでのトラブルを回避することができます。

動画を見るときは大きな画面で見る

映画や動画など長時間のコンテンツを見せるときは、テレビなどのできるだけ大きな画面に映すのがおススメです。画面が見やすく、適切な距離を保ちながら鑑賞することができます。

子どもの異変を見逃さない

子どもが映った写真が内斜視のように見えたり、子どもが急に「物が2つ見える」と言ったりしたときは、眼科に行って相談してみてください。

吉田先生

「日頃から親子でコミュニケーションを取ってよく観察することが重要です。また、急性内斜視とは異なりますが、紫外線には近視の抑制作用があり、医学的にも証明されています。外で十分遊ばせることも、子どもの目を守ることにつながると思います」

子どもの急性内斜視が増えている!家庭で気をつけるべきこと

目の健康を守るために、スマホの使い方を見直そう

年齢に関わらずスマホを使う時代、「スマホ急性内斜視」は、誰もが発症する可能性があると言えるでしょう。時間があると、ついSNSを見たり、ゲームアプリを開いたりしてしまいますが、目に負担をかけないためにも、「自分ルール」を決めて楽しみたいですね。今回ご紹介した予防法を参考にして、目の健康を守っていきましょう。

間違った姿勢、スマホの長時間使用でスマホ首・ストレートネックの恐れも? あわせてチェックしよう!

間違った姿勢、スマホの長時間使用でスマホ首・ストレートネックの恐れも? 合わせてチェックしよう!

「スマホ急性内斜視」のほかに、長時間のスマホの使用や間違った姿勢での使用が原因で「スマホ首」や「ストレートネック」で悩む人が増えています。スマホ首・ストレートネックの原因や対策、今すぐにできるスマホ首予備軍のセルフチェックの方法を専門家に聞きました。

あなたは「スマホ首」や「ストレートネック」になってない? 専門家が教える正しい姿勢&解消ストレッチ方法

(掲載日:2023年3月22日)
文:佐藤由衣
編集:エクスライト
イラスト:POP CORN STUDIO

【長周期地震動】~1分で分かるキーワード #81

【長周期地震動】~1分で分かるキーワード #81

大きな地震で生じる、周期(揺れが1往復するのにかかる時間)が長い大きな揺れのこと

大規模地震発生時に高層ビルで発生しやすい長く大きな揺れ

地震が起きるとさまざまな周期を持つ揺れ(地震動)が発生します。地震動には、ガタガタと小刻みに揺れる短い周期の揺れや、船に乗っているような大きくゆっくりとした長い周期の揺れがあり、周期の長い揺れを「長周期地震動」と言います。「長周期地震動」の特徴として、震源が浅く大きな地震ほど発生しやすく、高層階の建物ほど揺れやすい特性があります。これは、建物には固有の揺れやすい周期(固有周期)があり、地震の周期と建物の固有周期が一致すると「共振」し、建物が長時間にわたり大きく揺れます。他にも、短い周期の揺れに比べ遠くまで伝わりやすく、震源地から遠く離れた場所でも大きく揺れる場合があります。

高層ビル内における、地震発生時の人の行動の困難さの程度や、家具などの転倒被害の程度の大きさを表した指標を「長周期地震動階級」と言い、4つの区分に分けられます。

階級1
  • 室内にいるほとんどの人が揺れを感じる
  • ブラインドなど吊り下げるものが大きく揺れる
階級2
  • 大きな揺れを感じ、物につかまりたいと感じる、物につかまらないと歩行が難しいなど行動に支障を感じる
  • キャスター付きの家具などがわずかに動く。棚にある物が落ちることがある
階級3
  • 立っていることが困難になる
  • キャスター付きの家具などが大きく動く、固定していない家具などが移動することがあり、不安定なものは倒れることがある
階級4
  • 立っていることができず、動くことができない
  • キャスター付きの家具など大きく動き、転倒するものがある。固定していない家具などの大半が移動し、倒れるものもある

気象庁では、2023年2月から新たに長周期地震動の階級が3以上を予想した地域に緊急地震速報を発表しています。ソフトバンクなど携帯電話事業者は、気象庁が配信する「緊急地震速報」や「津波警報」、地方公共団体が配信する「災害・避難情報」などを対象エリアにいるお客さまに配信するサービス「緊急速報メール」を提供しています。

長周期地震動の関連情報

(掲載日:2023年3月22日)
文:ソフトバンクニュース編集部