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知的障がいのある方も使いやすいサービスを目指して スマートフォンを利用した、知的障がいのある方の社会生活支援機能の実地検証を実施

2013年3月16日、ソフトバンクモバイル株式会社は、スマートフォンに専用のインターフェースを設け、知的障がいのある方が連絡や自分の居場所などを簡単に確認できる機能、移動やトラブル発生時の手助けになる機能など、社会生活をサポートするサービスの提供を目的とした実地検証を行いました。これは障がい者の雇用に積極的に取り組んでいるソフトバンク・フレームワークス株式会社、株式会社アイエスエフネットハーモニー、富士ソフト企画株式会社、NPO法人 自立支援センターむくの4者協力の下、知的障がいのある方の日常生活における問題点などをお聞きし、スマートフォンが果たせる役割や必要な機能について検討した結果、考案された機能を検証するものです。実地検証は、知的障がいのある協力者(以下「協力者」)とその保護者にご協力いただき実施しました。

実地検証の様子

画面の矢印が利用者を誘導する「ARナビゲーション機能」

最初に検証したのは、スマートフォンのカメラを通して表示させた目の前の風景に対し、事前に設定した目的地の方向を矢印で示して道案内する「ARナビゲーション」機能です。利用者が地図を見なくても、目的地までのルートを直感的に把握できる点が特徴です。実地検証ではいくつかのチームに分かれ、さまざまなルートを検証しました。

協力者はまず、スマートフォンの画面の機能一覧から「ARナビゲーション」を選択し、事前に登録された周辺の施設情報から目的地を選択し、カメラを起動させます。画面上にはカメラを通して映し出される実際の風景と、その上に目的地の方向を示す矢印、そして目的地までの距離が表示されます。その後協力者は、画面上で矢印の示す方向に向かって出発し、途中の交差点などでは矢印が示す方向から進む方向を判断しながら歩行することで、ほぼ迷うことなく目的地に到着することができました。

画面に矢印が表示されます

「予定」と「実際の行動」の差異から異常を察知する「行動判定機能」

次に検証した「行動判定機能」は、利用者があらかじめ設定した目的地までの時間帯ごとの移動手段と違う行動を取ると、利用者本人に注意を促し、同時に保護者へ通知されるというものです。スマートフォンが利用者の歩くリズムや動くスピードなどから「停止」「歩行」「車」「電車」の4つの状態を推測し、予定されている行動との比較で違いを判断し、利用者が「道に迷ってしまった」「電車を乗り過ごしてしまった」などの状態を察知して、利用者に想定されるリスクを回避することを目的としています。

実地検証では、スマートフォンを携帯する協力者と、その保護者がペアになって行われました。協力者は「予定の行動」を登録したスマートフォンを片手に外出し、保護者はインターネットにアクセスできる環境で待機。そして、「電車に乗って移動しているはずの協力者が電車に乗っていない場合」と、「電車を降りているはずの協力者が電車を乗り過ごした場合」の2つのケースを想定し検証を行いました。想定した「予定外の行動」となるどちらのケースも、保護者が登録したメールアドレスには協力者の「状態」(「停止」「歩行」「車」「電車」のいずれかの状態を示すアイコン)と「位置情報」が通知され、協力者自身には、スマートフォンの画面に確認用メッセージが表示されました。

これらの実地検証を通して、保護者の皆さまからは、「子どもが思ったよりスマートフォンを使うことができて驚いた。これまでは親の分かるものしか渡すことができなかったが、このような機能であれば子どもが理解して使えて、連絡や意思疎通の助けになるのではないか」「スマートフォンにすごく興味を持って使っている姿を見て、情報端末は本人の可能性を広げるものだと目の当たりにしてとても感激した。複雑な機能は理解が難しいが、シンプルかつ楽しい他の機能も入っているのでぜひ利用したい」など、高い評価をいただきました。

ソフトバンクグループではこのたびの検証結果を集計し、知的障がいのある方の自立や就労に役立つ機能の検証や、使いやすいサービスや仕組みを創出すべく、検討を進めてまいります。

(掲載日:2013年6月17日)