日本は「地震大国」といわれるほど地震の多い国。
大きな地震が起こるたび、「次は一体どこで起こるの?」と不安になりますよね。
地震を予知することは困難ですが、その発生メカニズムを知ることが地震防災の第一歩です。また、海底で地震が起こると津波が発生します。津波の襲来を予測することはできないでしょうか。
人間社会にとってとても重要なこれらのテーマ、世界中の研究者によって多くの研究が行われています。
その一つが、東京大学地震研究所などが参加する研究グループによる、GPS技術を活用して海底の地殻の動きや津波を常時観測するというもの。
なんと! この研究に、ソフトバンクの衛星携帯電話を用いたソリューションが活用されているんです!
衛星通信の利用で地殻変動の常時観測が可能に
この実験は、高知県の足摺岬沖およそ35キロにあるブイに、海底に取り付けた機器との距離などを超音波で測る装置を搭載して、海底の地殻変動の状況を常時観測。そこで得られたデータを衛星通信で送るというもの。
ソフトバンクは、衛星通信回線や衛星携帯電話の提供だけでなく、通信状況のコントロールなどのサポートも行う予定なんだとか。
衛星携帯電話といえば、通信用人工衛星を直接経由して音声通話やデータ通信を行うため、通信インフラが整備されていないような山間部や、陸上の基地局から電波が届かない海上でも通話できることが最大の特長。そのため、東日本大震災以降、災害時の非常用通信手段としても注目されていますが、今回の研究では、その長所を生かして「衛星携帯電話 201TH」のパケット通信機能を利用した実験を行うのだそうです。
これまで海底の地殻変動の観測では、海上保安庁などが船で年に数回行うのに限られていて、常時観測は行われていなかったため、今回衛星通信による実験が成功すれば、常に最新の観測データを得られることになり、海溝型の巨大地震が発生するメカニズムの解明につながると、各方面から期待されています。
研究グループによれば、研究は2016年11月から2020年までの約5年間行われ、得られたデータも今後インターネットで公開していくとのこと。
地震や津波による災害のない未来はやってくるのでしょうか?
衛星携帯電話などの通信技術がさまざまな分野でどのように活用されていくのか、注目したいですね。
(掲載日:2016年11月2日)
文:ソフトバンクニュース 編集部