社員のキャリア形成をサポートするために何ができるのか。
事業が急拡大していく中で、新規事業や成長事業にチャレンジしたいと思っている社員をどうやって集めればよいのか。
ソフトバンクが出した答えの一つが、意欲ある社員自ら手を挙げ、オープンにチャレンジできる人事制度、「全社FA制度」です。
導入から1年が経ち、その取り組みや現状について人事責任者である長崎 健一本部長に話しを聞いてみましたよ。
組織の壁に風穴を
これまで取り組んできた制度と何が違うのでしょうか?

従来の取り組みで、ソフトバンクが運用を開始して10年になる「ジョブポスティング」制度があります。ロボットやパブリッククラウド、フィンテックなど新規事業や成長事業に意欲ある社員を集めるというもので、2015年度は約180名の社員がこの制度を使い、新しい業務に就いています。
その一方で、ある事業部門でトライアル実施した際に、「A本部に所属しているが別の事業部門のB本部で働いてみたい」という声や、「よりオープンにチャレンジできる制度を」という声があがったっため、2015年度から全ての本部を対象とした「全社FA制度」を実施することになったんです
実施してみて、その成果はどうでしたか?
1,400名の応募があったのですが、これはFA対象者としての応募資格を持つ社員の約10%に当たります。まず、これほど多くの社員が、こういう機会を待っていたということに驚きましたね。
そして177名が実際にFAで異動し、新しいキャリアに一歩を踏み出すことができたということに、大きな価値があったと考えています。
実際に異動した社員や受け入れた部門からは、どんな声が挙がっていますか?
FAで実際に異動した社員にアンケートを採ったところ、多くが「前からやりたいと思っていた業務ができる」「チャレンジしたことで新しい発見があった」という前向きなコメントでした。
受け入れた部門からも「今まで接点のなかった業務なのに活躍している」「自部門になかった視点やスキルで成果を出してくれている」といった話をよく聞きます。全く違う業務をしていた社員を受け入れたことで刺激になったり、新しい観点が生まれたのだと思います。
これからの10年を見据えて
ソフトバンクの人事ポリシーとは?

私たちは、人事本部として大事にすべきことを「人事ポリシー」 として三つに明文化しました。
一つ目は「勝ち続ける組織の実現」です。会社として業績を上げ、永続的に成長するためには欠かせない人事の役割ですが、少なくとも現時点では業績目標を達成できていますので、「人事ポリシー」を良い形で実現できていると思っています。
二つ目の「挑戦する人にチャンスを」については、「ジョブポスティング」や「全社FA制度」など自主性を尊重する施策を取り入れています。それだけでなく、今後も社員の挑戦をいろいろな形でサポートするべく、企画を検討しています。
最後は、「成果に正しく報いる」です。しっかりした評価制度とその運用を整えることがポイントだと考えています。
社員のキャリア形成について、どのような方向性で考えていますか?
成長事業を支えていくために、既存事業の働き方も変化しつつあります。
昨年から「Half & Twice」、つまり「ITをフル活用し、半分のリソースで生産性を2倍にし、さらに半分のリソースを成長事業へ振り向ける」という考え方を打ち出しています。
そうした状況の中では、社員一人一人も「どのように会社と共に成長し、貢献していくか」ということをしっかり考える必要があります。そのため、最低でも年に1回は上司とキャリアについて話し合う場として「自己申告」という制度を設け、社員がキャリア形成について考えることを支援していますが、このような機会をより充実させていきたいですね。
また、社員の成長と組織の活性化のため、全社的なジョブローテーションのルールづくりも検討するとともに、昨年から、「キャリアカレッジ 」という施策を始めました。これはシリーズ形式のイベントで、セミナーやパネルディスカッション、ワークショップなどの場を提供することで、社員がキャリア形成について考えるきっかけにしてもらおうという取り組みです。
人事としては、「社員にどのように成長してほしいか」というメッセージを伝える場にもしていきたいと考えています。
「まだまだいろんな施策があるんです」と話し足りない様子の長崎本部長。
チャレンジを応援できる仕組み・風土づくりを人事として精一杯応援していくこと。
責任者自らが新しいことに挑戦しているからこそ、組織も活気づくんでしょうね!
(掲載日:2016年11月01日)
文:ソフトバンクニュース 編集部